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データ・マフィア[詳細]
Die Datenmafia

目次著者紹介書評


プライバシーを盗むスパイ・ソフト「プロミス」。
その痕跡を国家が消そうとしている!!


1991年3月、スパイ・ソフト「プロミス」について宣誓供述したM・リコノシュートが、 突然、身に覚えのない罪で逮捕され、30年の懲役を言い渡される……
1991年8月、「プロミス」事件を追っていたジャーナリスト、ダニーキャソラーロが、 ホテルの浴室で死体となって発見される……
1991年11月、「プロミス」販売の代理人をつとめるメディア王、R・マックスェルが、自身のクルーザーの甲板から姿を消し、水死体となって回収される。……
1993年7月大量の「プロミス」資料を入手していた弁護士ポール・ウィルシャーが、 自宅の書斎で不可解な自殺を遂げる。……

イラン、イラク、ソ連、リビア、そして日本にも売られた「プロミス」の実体とは?



■目次より

第1章 ネットワークの海賊たち
    ソフトウェアの穴:「トロヤの木馬」の秘密
    オンライン・リサーチ:データベースのホットな情報
    情報戦争:底引き網

第2章 略奪されたソフトウェア
    ダニー・キャソラーロ:あるジャーナリストの死
      オクトパスの触手
    インスロー社:国家が仕組んだ倒産劇
      権力カルテル
    プロミス・ソフトウェア:秘密情報機関の底引き網
      秘密のビジネス
    トラップ・ドア:プログラムの悪意
      目的は殺人  
    M・リコノシュート:コンピュータと麻薬を好む魔法使いの弟子
      祖国のための取引
    アール・W・ブライアン:ミスター「キャッシュ」
      ターンテーブルとしての「イラン」

第3章 死の黒幕
    ウィリアム・ケーシー:政治的陰謀のプロフェッショナル
    オリバー・ノース:神と祖国
      「暴露」のドミノ効果/アメリカの繁栄のために
    イタリア国立労働銀行(BNL):イラク武装のための農業証券
      被告席の政府
    BCCI :世界最大のマネーロンダリング
      金と権力と情報/クリントンの影
    アリ・ベン=メナシェ:諜報員と武器商人の二つの顔
      秘密諜報員として/
      イランの武器商人、サイード・メフディ・カシャニ/
      イスラエルには諜報ソフト/イラクには化学兵器
    ラフィ・エイタン:冷酷無慈悲なアンチ・テロリスト
      国家テロリズム
    ロバート・マックスェル:巨大な張り子の虎
      栄光/没落

第4章 オンライン・スパイ:国家の名のもとに
    国家安全保障局(NSA):世界最大の諜報工場
      地下の戦利品コレクション/ペルトン事件/ターゲット/
      クリッパーチップ/核シェルターの中の小隊たち/
      アイブリング上空のUFO/監視せよ!/
      データ・ハイウエイに潜む盗賊たち/ペンタゴンのハグバード/
      KGB資金/教訓
    ドイツ連邦秘密諜報部(BNL):祖国のためにすべてを盗聴
      エーテル用掃除機/ハルト山地の秘密情報機関/一番になれ!/
      平服で/警報機が鳴ったら/多くを知って何も語らず/
      グローバル・ネットの潜入者/スイスの裏通り/
      大きな耳と小さな魚/ビッグブラザーからの素敵な挨拶



■著者紹介

:E・R・コッホ Egmont R. Koch
1950年生まれ。ハノーファー工科大学にて生化学と生物学を専攻。1972年よりジャーナリストとして活動。独自の調査による数多くのドキュメント・テレビ番組を制作。著書はほかに『Das geheime Kartell. BND, Schalk, Stasi & Co.』がある。

:J・シュペルバー Egmont R. Koch
1943年生まれ。ハノーファー近郊のギムナジウム教師、英語学と歴史を専攻。1980年代以来、ジャーナリスティックな活動を続ける。主なテーマは「ニューテクノロジー」。




■書評

『河北新報』『宮崎日日新聞』『北海タイムズ』ほか(1998年3月29日)
コンピューターに侵入するハッカーの被害が報告されるようになったが、本書は米国とイスラエルの情報機関が世界的な規模で繰り広げたハッカー行為こそ恐ろしいと告発する。
 ソフト会社が発売した情報収集ソフトが米国の司法省にだまし取られたとされる事件が発端。このソフトを組み込んだコンピューターが世界中にばらまかれ、こっそり仕掛けた「ソフトの穴」から情報が盗み取られたというのだ。
 国家機関による個人や団体の監視と管理の一端が、ドイツ人ジャーナリストの手で明らかにされる。

加藤弘一氏(DOS/V magazine 1998年5月15日)
偽装殺人や武器密輸、政府機関の陰謀が登場する正真正銘のスパイ事件を扱っている。NSA、モサド、さらにはイラン、コントラ事件のノース中佐まで登場するのだから、役者に不足はない。
 ……連邦政府によって押収されたプロミスは、いろいろな機関で拡張版が作られ、世界各地で使われるようになるが、この拡張版には「トロイの木馬」が組み込まれており、ネットワークから侵入できたというのだ。プロミスを使った国の行政情報は、米国の情報機関に筒抜けになってしまうわけである。にわかには信じられない話だが、1987年に明るみに出たNASAやドイツのマックス・プランク研究所へのハッキング事件は、プロミスに仕込まれた「トロイの木馬」を利用したものだったというし、この事件を追跡していたジャーナリストが「謎の死」を遂げているというから、いよいよキナ臭い。



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