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円相の芸術工学[詳細]

目次著者紹介シリーズ概要


10のレクチャーがひもとくイメージの技法

自然の○、情報の○、文化の○、曼荼羅の○、タオの○、
脳の○、心の○、風水の○、遊びの○、禅の○、
○マルの時代。




■目次より

Lecture  [自然と円相]  高木隆司
円を発想の基本にして自然の諸相を読み解く
Lecture  [脳とコンピュータの円相]  甘利俊一
「脳を考える脳を考える…」情報幾何学の円相を探る
Lecture  [情報と円相]  西垣 通
自己言及的(オートポイエーシス)な生物社会をめぐる情報の円環構造
Lecture  [混合体と円相]  今福龍太
動き、味わう、身体が知覚するクレオールの道
Lecture  [分裂病の円相学]  香山リカ
全存在をかけて、こころの円環を閉じるとき
Lecture  [円相の人類学、あるいは円相の中の時空]  岩田慶治
ここがそこであり、生と死が同時に見える場所の不思議
Lecture  [マンダラと円相]  杉浦康平
「花と壷」─豊饒と再生を支える二つの円相
Lecture  [円相と空間秩序]  齊木崇人
東アジアの国々に脈打つ風水の空間秩序形成技術
Lecture  [円相と太極図]  三浦国雄
万物生成のダイナミズムを内包する太極
Lecture  [円相と十牛図]  上田閑照
「花が咲き、川が流れる」無我の境位から、存在が開かれる



■著者紹介 (所属・役職は刊行時のもの)

高木隆司(たかぎ・りゅうじ)
1940年、広島生まれ。5歳の時、つまり昭和20年終戦の年に“きのこ雲”を見た記憶が「流体」研究につながったのか、東京大学に進み物理学の素粒子論を、さらに流体力学を専攻する。著書に『「かたち」の探究』(ダイヤモンド社・1978)があり、その後に本書は『形的奥義』として中国語訳も出版された。『流れの物理』(朝倉書店)、『かたちの不思議』(講談社)、『かたちの数理』(朝倉書店)、『物理学』(海游舎)など、およびD.W.トムソン著『生物の形』(東京大学出版会)をはじめとする訳書や共著が多数ある。現在、東京農工大学教授、理学博士。「形の文化会」「形の科学会」に所属し、’94年11月に開催された国際シンポジウム[かたちの知・知のかたち]の企画に尽力した。

甘利俊一(あまり・しゅんいち)
1936年、東京生まれ。東京大学工学部応用物理学科に学び、卒業後も連続体力学および情報理論や神経回路網理論などの研究を続けてきた。現在、東京大学工学部計数工学科教授。統計学、システム理論、情報理論に共通の理論的基盤を与える「情報幾何学」を提唱し、目下この理論を建設しつつある。 著書に『神経回路網の数理』(産業図書)、『ニューロコンピュータ』(読売新聞社)、『神経回路モデルとコネクショニズム』(東京大学出版会)、『バイオコンピュータ』(岩波書店)、共著に『脳とニューラルネット』(朝倉書店)、『脳科学の現在』(中公新書)、『脳を考える脳』(朝日出版社)などがある。

西垣 通(にしがき・とおる)
1948年、東京生まれ。東京大学工学部計数工学科卒。(株)日立製作所主任研究員、米国スタンフォード大学客員研究員を経て、現在、明治大学教授。工学博士。情報工学、情報文化論を専攻し、情報・機械・文化の問題を研究テーマとする。’94年、1年間のフランス遊学を終えて帰国。引き続きマルチメディア論やグループウェア論を展開中。 情報処理学会論文賞(’79)、著書『デジタル・ナルシス』(岩波書店)でサントリー学芸賞(’91)を受賞。この他の著書に『ペシミスティック・サイボーグ』(青土社)、『麗人伝説』(リブロポート)、『秘術としてのAI思考』(ちくまライブラリー)、『文科系のコンピュータ事始め』(有斐閣)、『マルチメディア』(岩波新書)などがある。

香山リカ(かやま・りか)
1960年、北海道生まれ。東京医科大学卒業後、北海道大学精神医学課程の研修を経て精神科医となる。フランスの精神分析学でも知られるジャック・ラカンの理論に傾倒しつつも、独自の理解と方法による治療法を実践する。子供の頃に遊んだリカちゃん人形にちなむペンネームで、現代思想、ファッション、TVゲームなど、軽やかに領域を超える執筆活動を展開する。 著書に『リカちゃんコンプレックス』(太田出版)、『リカちゃんのサイコのお部屋』(扶桑社)、『おかしくってもダイジョーブ』(早川書房)、『自転車旅行主義』(青土社)などがある。時代を見すえ、心の病を特殊のものとしない精神科医の姿勢は、同世代から、またさらに若い層から圧倒的な支持を得ている。

今福龍太(いまふく・りゅうた)
1955年、東京生まれ。東京大学卒業後、’82年よりメキシコに住み、中央高原のタラスコ族をはじめとするインディオ社会の祭りや宗教儀礼を調査。のちにテキサス大学大学院人類学科博士課程修了。その間、メキシコ北部およびアメリカ南西部一帯の国境文化を研究。カリブ海、そしてブラジルを魂の故郷とする。みずから移動を繰り返しつつ、交雑し移動の途にある文化の変容と生成の動きを新しい非本質主義的な世界認識へつなげようと試みる、アクチュアルな文化人類学者。主な著書に『荒野のロマネスク』(筑摩書房)、『感覚の天使たちへ』(平凡社)、『クレオール主義』(青土社)、『移り住む魂たち』(中央公論社)、『遠い挿話』(青弓社)等がある。現在、中部大学国際関係学部教授。

齊木崇人(さいき・たかひと)
1948年、広島生まれ。広島工業大学建築学科を卒業後、東京大学の研究生となる。建築家として、保育園や小学校、研究施設や公園などの設計を手掛けつつ、’87年には筑波大学講師となる。現在は神戸芸術工科大学教授であり、環境デザイン学科、および大学院を指導する。韓国の集落にみられる空間の秩序形成や風水術にひかれ、しばしばフィールドワークのため各地を訪れている。 著書に『スイスの住居・集落・街』(丸善)、共著に『図説「集落」その空間と計画』(都市文化社)、『住のエコロジー』(NHK出版)などがある。阪神大震災で壊れた街並の復興に向けて立ち上がり、新しい都市の建設計画に積極的に取り組む。

杉浦康平(すぎうら・こうへい)
1932年、東京生まれ。東京芸術大学建築学科卒、グラフィックデザイナー。’60年代には西ドイツのウルム造形大学客員教授として渡欧。その頃よりアジアの図像に対する関心が深まり、曼荼羅の展覧会の企画・構成から造本までを手掛け、さらに音楽や文様の世界についても造詣が深い。著書に『日本のかたち・アジアのかたち』(三省堂)、共著に『ヴィジュアルコミュニケーション』(講談社)、『文字の宇宙』(写研)、『星の本』(福音館書店)、『アジアの宇宙観』(講談社)他があり、季刊「銀花」や講談社現代新書をはじめとするブックデザインは多数。1989年より神戸芸術工科大学教授となり、視覚情報デザイン学科、および大学院の教鞭をとる。

岩田慶治(いわた・けいじ)
1922年、横浜生まれ。京都大学文学部史学科卒。地理学から人類学、民俗学へ研究分野を広げ、東南アジアを中心とするフィールドワークを基盤に、人間の文化に組み込まれた神以前の「カミ」との出会い、草木虫魚の魂に満ちたアニミズムの世界へ、さらに人間と森羅万象が自在に入れ替りながら遊戯する空間、シンクロニシティの空間へと深い思索の眼をそそぐ。国立民族学博物館名誉教授。 『カミの人類学』『草木虫魚の人類学』(講談社)、『花の宇宙誌』『道元の見た宇宙』(青土社)、『コスモスの思想』(岩波書店)、『アニミズム時代』(法藏館)など著書多数。現在、『岩田慶治著作集』全8巻(講談社)を刊行中。

三浦國雄(みうら・くにお)
1941年、大阪生まれ。大阪市立大学文学部中国学科卒。京都大学人文科学研究所助手、東北大学助教授をへて、現在、大阪市立大学文学部教授。専攻は中国・朝鮮思想史。早くから風水地理説、気功、養生論など、中国文化における「気」に着目し、気と身体という場との関わりを追求、先鋭的な研究活動を続けている。 著書に『朱子集』(吉川幸次郎氏との共著 朝日新聞社)、『朱子』(講談社)、『王安石』(集英社)、『易経』(角川書店)、『中国人のトポス』(平凡社)、『気の中国文化——気功・養生・風水・易』(創元社)、『風水論集』(共編、凱風社)、『風水探源』(監訳、人文書院)などがある。

上田閑照(うえだ・しずてる)
1926年、東京生まれ。京都大学文学部卒。宗教哲学を専攻する。ドイツのマールブルク大学に留学し、文学博士号取得。京都大学名誉教授、花園大学客員教授。禅研究の第一人者であり、エックハルトなどドイツ神秘主義研究でも知られる。東洋と西欧を統合する視点から、世界、人間存在を考察する。 著書に『禅仏教−根源的人間』(岩波書店)、『十牛図−自己の現象学』(共著、筑摩書房)、『マイスター・エックハルト』(講談社)、『ドイツ神秘主義研究』(編著、創文社)、『生きるということ——経験と自覚』(人文書院)、『西田幾多郎を読む』(岩波書店)、『場所』(弘文堂)、『経験と自覚——西田哲学の「場所」を求めて』(岩波書店)などがある。




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