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縄文の地霊[詳細]
個人史における三、四歳以前の無意識と化した精神の根底を支えるものに相当するのが、
日本民族における文字記録以前の原始古代の精神史であり、
わけても縄文時代はそれに属し、
しかも従来考えられてきた高度な精神活動を保持していた可能性がある。

「序章◎意識化の縄文」より



■目次より

序章 意識下の縄文 原点としての縄文に向けて
第1部 神話の深層
第1章 饗(アエ) 信仰の祖型としての「アエ」
    古事記から縄文へ祖霊としての動物「カシハデ」の役割
第2章 産霊(ムスヒ) 精霊の出現と石神
    「サク」と「イシ」黄泉の国への入口
    オホアナムヂの再生「ニハ」の構築
第3章 火瓮(ホベ)なす火の山 スサノヲの秘密
    放浪する噴火の神浅間型、神奈備型、そして古墳へ
第4章 火の精霊 火と意志の蜜月時代
    縄文の中心的精霊斬殺されるカグツチ
第5章 火の山を鎮める カグツチ神話とヲロチ神話
    二つの神話の対応関係と縄文祭祀祭儀の再現
第6章 若返るアマテラス フトミテグラの原像
    大伴氏の呪術蘇生する太陽
    勾玉と鏡と幣「サカキ」のシンボリズム
第2部 呪物と呪術
第7章 土器 大地母の子宮から境界神へ
    聖なる容器祖霊としての埋甕地下世界との媒体循環する二元性
第8章 入墨と装身具 装飾の本来の意味

    聖霊との交流延長する身体入墨の呪力と効用縄文の食物観
第9章 土偶 精霊の依代と悪霊
    医療を目的とした呪物出土状況の特殊性
    容器としての人形石棒による土偶破壊
第10章 霊速人(チハヤビト) 縄文のシャーマン
    アマゾンの呪術師霊の本質と生命潮流
    脱魂型シャーマンの系譜直観像による世界認識
第11章 太陽と月 神御衣(カムミソ)と再生
    天体と暦太陽の衣月の皮を剥ぐ古代大陸文化の流入
第12章 仮装 実体としての祖霊
    部分と全体の論理系統発生と共生夢の力集団的無意識と直観像
第3部 地霊と文様
第13章 大地母と穀霊 豊饒の祭儀
    穀物の誕生耕作の罪世界の二面性
    エレウシスの密儀/祭祀土器の重層した意味
第14章 中国の大地母神 形象性への示唆
    仰韶の彩陶蛇から蛙へ龍の精頭蓋骨の形象手足の強調
第15章 アフリカの火神 エシュ神をめぐって
    攪乱する炎の神ヨルバ族の説話からキマイラの超越性/歯のある膣
第16章 土器模様のモチーフ ホメオティック因子とミュータント因子
    モチーフの反復と変異三叉文と縄文/変異のライン/蛇頭双環文/
    渦巻文囲まれた渦巻三叉文囲まれた沈線条文
第17章 土器模様のテーマ 解読の試み
    文様の構成法土器の時空からの要請体軸の決定
    モチーフ構成における相同あるいは相応性
    大地母と蛇にかかわるモチーフ構成の相同・相応性
    ミミヅク把手付深鉢と御所前人面深鉢との相同性からのテーマ解読
    下ノ原遺跡出土深鉢(井戸尻沁ョ)の文様内なる文様
第18章 死と再生の時空 比喩の彼方に
    共生的無意識霊魂の直観像大地母への憧憬




■著者紹介:西宮紘 (にしのみや・こう)

1941年生まれ。京都大学理学部物理学科卒。在学中からローレンツ変換式によって超光速領域を論理化、虚空間論を構想する。リルケの詩にふれて波動空間を直観し、素粒子論的世界観から華厳世界へと思索の翼を拡げる。著書はほかに『空海:火輪の時空』(朝日出版社)、『鬼神の世紀』(工作舎)、『ヒメとヒコの時代』(「女と男の時空」1、共著、藤原書店)、『多時空論:脳・生命・宇宙』(藤原書店)などがある。


■関連図書

鬼神の世紀 「いさなき」空間と弥生祭祀 西宮紘 3200円
地下他界 蒼き神々の系譜 萩原秀三郎 2400円
鬼から聞いた遷都の秘訣 地震・風水・ネットワーク 荒俣宏+小松和彦 1600円
妖怪草紙 あやしきものたちの消息 荒俣宏+小松和彦 2800円
経済の誕生 富と異人のフォークロア 小松和彦+栗本慎一郎 1456円
怪奇鳥獣図巻 大陸からやって来た異形の鬼神たち 伊藤清司=監修・解説 3200円
本朝巨木伝 日本人と「大きな木」のものがたり 牧野和春 2200円


■書評

『京都新聞』(1992年6月16日)
「戦後考古学の目覚ましい成果として、縄文時代文化の様相が次第に明らかにされつつある。しかし無文字社会の性質から、おびただしい遺跡遺物の発見にもかかわらず、解明されるのは主として物質的、経済的側面で、信仰、意識、世界観といった精神的側面については、依然として不明のところが多い。本書はこの面についての探究を意図したものである。
 著者は発掘資料と古事記の神話、それに比較文化学的資料を駆使しながら、当時の意識の根底に、両性具有の非人格神、大地母神の存在を想定し、祭り用土器の用途に再生と豊じょうの呪術を見ている。
 そしてそれらに付けられた文様を検討し、その反復と変容に注意しながら、渦巻、沈線文といった幾何学模様や、人面、蛇その他の具象的文様の意味の解明に努め、そこに大地母神や祖霊の顕現を見る。……
 著者は縄文時代の意識が、個人にとっての幼児期のそれと同じく、記憶の上で失われていても私たちの心の奥深く浸透していて、無意識の中に民族共有の心の根底を支えていると考える。そしてその根底に立ち返ることが、袋小路に入った現代文明の病を乗り越えるすべを与えるという」



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