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特集・ニューサイエンス 吉福伸逸さんと工作舎

日本にニューサイエンスの思想潮流を紹介・翻訳した吉福伸逸(よしふく・しんいち)さんが、肝臓がんのため他界されました(ハワイ現地時間4月29日午後5時頃)。

1943年生まれの吉福さんは、早稲田大学の学生だった60年代半ばに渡米。バークリー音楽院とカリフォルニア大学バークレー校で学ぶと、当時芽生えつつあったニューエイジ運動に共振。帰国後、ラム・ダス『ビー・ヒア・ナウ』(1979年)、『タオ自然学』(1979年)『ターニング・ポイント』(1984年)、ケン・ウィルバー『無境界』(1986年)、ベイトソン『天使のおそれ』(1988年)など、ニューエイジ/ニューサイエンスの重要書を多数邦訳。次第にトランスパーソナル心理学の実践的推進者としての活動に比重をおき、1989年のハワイ転居後も日本でワークショップや講演活動をつづけていました。

吉福さんが原著者や訳者陣とのダイナミックな連携のうちに訳出した本はいまなお多くの読者の意識の変容をうながしつづけています。工作舎刊行の翻訳書をご紹介します。

品切でも★印の本は数冊在庫がございます。ご入用の方は「オーダーフォーム」にてお問い合せください。
吉福伸逸さん
吉福伸逸さん



タオ自然学

タオ自然
現代物理学の先端から「東洋の世紀」がはじまる

フリッチョフ・カプラ
吉福伸逸+田中三彦+島田裕巳+中山直子=訳
初版1979.11/改訂版1985.10 工作舎

ニューサイエンスを語るうえでは、いかなる意味でもこの『タオ自然学』を無視するわけにはいかない。一般読者に科学に対する新たなヴィジョンを与え、科学の限界と可能性に目を向けさせたという意味で、『タオ自然学』は科学の結界を解き、ふたたび日常の営みへ、一般人の手へ取り戻す大きな触媒となったのである。——吉福伸逸(『意識の科学』訳者あとがきより)


新ターニング・ポイント

新ターニング・ポイント
ポストバブルの指針

フリッチョフ・カプラ
吉福伸逸+田中三彦+上野圭一+菅 靖彦=訳
初版1984.11/新版1995.4 工作舎

700頁を超える『ターニング・ポイント』の要点を凝縮し、最新の情報も織り込んだ日本オリジナル版。「『ターニング・ポイント』で提示された考えはカプラ独自のものというより、70年代後半にカリフォルニアを中心に展開された運動の粋を集めたものである」——吉福伸逸(『非常の知』訳者あとがきより)


非常の知

非常の知
カプラ対話篇

フリッチョフ・カプラ
吉福伸逸+田中三彦+星川 淳+上野圭一=訳
1988.11 工作舎
[品切★]

ハイゼンベルク、ベイトソン、クリシュナムルティら20世紀の巨人たちとの対話であり、カプラが素粒子の舞いを「シヴァの踊り」として最初に体験した1969年から、『ターニング・ポイント』を出版した1982年(原著刊行年)の間に交わされた。カプラの活動を支えた超分野的交流が浮かび上がる。


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グローバル・ブレイン
情報ネットワーク社会と人間の課題

ピーター・ラッセル
吉福伸逸+つる(雨冠+鶴)田栄作+菅靖彦=訳
1985.6 工作舎
[品切★]

ラヴロックのガイア説を情報レベルに応用。「われわれはもはや孤立した個人であるとは感じなくなり、急速に統合するグローバル・ネットワーク、すなわちめざめたグローバル・ブレインの神経細胞の一部であることを知ることになるだろう」(「第5章 進化する現代社会」より)。そしてその先の「ガイアの意識」のめざめとは?


量子の公案

量子の公案
現代物理学のリーダーたちの神秘観

ケン・ウィルバー=編著
田中三彦+吉福伸逸=訳
1987.8 工作舎
[品切]

ハイゼンベルク、シュレーディンガー、アインシュタインら著名物理学者の神秘観を集めたアンソロジー。真実の探究へと駆り立てる「元型的」動機、「聖なる」動機があることを、それぞれの言葉で語る。


意識の科学

意識の科学
ホリスティックなヒーリングへの道

ケネス・ペレティエ
吉福伸逸+スワミ・プレム・プラブッダ=訳
1986.10 工作舎

「著者の生命観に関して訳者は著者ペレティエとまったく同じ立場に立っている」と「訳者あとがき」にて吉福さんが記されている。それはおそらく次の個所が端的に示しているのではないだろうか。

死を考えるとき、包括的な理解にとっての意識の現象学は不可欠である。データの世界からは、バートランド・ラッセルのもっていたような洞察にみちた、真剣な死生観はなかなかでてこないだろう。
「個としての人間存在は川のようなものであるべきだ。最初は小さく、両岸にはさまれて細く、大石や滝をこえて情熱的にほとばしる。しかししだいにその幅をひろげ、…水はより静かに流れて、最後には…海とまじりあい、造作なく個的実体を失うのだ。(ラッセル、1956)」
(「第7章 生と死と再誕」より)


謹んで吉福伸逸さんのご冥福をお祈りいたします。


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