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「デレク・ベイリーを聴く会」vol.04報告

熱気に包まれた会場
激しい雷雨を吹き飛ばす熱気に包まれたサウンドカフェ・ズミ。 (撮影:北里義之)

この3月から月イチ開催で始まった「デレク・ベイリーを聴く会」も、いよいよvol.4を迎えました。6月29日(日)、折からの雷雨で、電車の遅延があったにもかかわらず、吉祥寺のサウンドカフェ・ズミは、すし詰め状態。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。vol.01の様子vol.02の様子vol.03の様子

今回の特別ゲストは、40年以上にわたって日本のフリーミュージック・シーンを牽引してきたギタリスト、今井和雄さん。70年代に高柳昌行氏、小杉武久氏に師事し、演奏活動をスタート。90年代以降、デレク・ベイリーとも縁が深いリー・コニッツ、バール・フィリップス、ハン・ベニンクらとも共演を行ない、2013年には英国の音楽雑誌The Wire(♯355 September 2013)で、これまでの活動が大きくフィーチャーされました。

前回に引き続き、1970年にレコーディングされたアルバムの中から、集団即興演奏のGroupcomposing (ICP 006)、ベイリー自らが設立したレーベル「インカス」の一枚目となるThe Topography of the Lungs (Incus 1)、ECMでの初のレコーディングMusic Improvisation Company (ECM 1005)、1971年のデイヴ・ホランドとのレコーディングImprovisation for Cello and Guitar (ECM 1013)などを聴いていきました。[リストpdf]

今回のハイライトは、何といっても今井さんのギター実演による解説。デレク・ベイリーが使っていたのと同種のフルアコースティック・タイプのギターで、奏法の秘密に迫っていただきました。「デレク・ベイリーは、ギターの特性をみごとに活かした演奏をしていて、その意味で実に音楽的」とご指摘。さらに、デレク・ベイリーが12音技法で作曲した作品「Three Pieces for Guitar」(Pieces for Guitar, Tzadik TZ 7080に収録)の譜面を分析、試演していただき、ベイリーが20世紀初頭の作曲家、アントン・ヴェーベルンからいかに影響を受けていたかも明らかにされました。参考のために、ロバート・クラフト指揮のヴェーベルン『3つの歌曲』作品18も聴きました。

また、同時代の現代音楽で使われたギター楽曲の例として、スペイン出身でブーレーズやシュトックハウゼンに師事した作曲家トマス・マルコ、ロック・シーンとのつながりもある英国の作曲家デヴィッド・ベッドフォード、今井さんがお好きだというキューバの作曲家/ギタリストのレオ・ブローウェルらの貴重な譜面の数々も披露。ブラジル出身の鬼才音楽家エグベルト・ジスモンチがヴェーベルンに捧げた楽曲の譜面なども見せていただきました。

ほかにもベイリーが使っていたギター・ピック、多用していたフットペダル(英国のベンチャーズ、シャドウズも多用)など、ギタリストならではの話題も盛りだくさんで、あっという間の2時間半でした。

本格的に話すと、一晩はかかるということでしたので、今井さんには、ぜひギターを手に、再度のご登場をお願いしたいと考えています。みなさまのリクエストもお待ちします。


今井和雄氏と泉秀樹氏
愛用のギターでデレク・ベイリーの奏法を解説する今井和雄氏。
左端はサウンドカフェ・ズミのオーナー、泉秀樹氏。 (撮影:H.I.)


今井和雄氏
今井和雄氏はLive Space plan-Bで、ソロワークス公演を続けている。 2012年のvol.61の模様はThe Wireのサイトで閲覧可能。 2014年7月27日(日)にはvol.64「転ぶ、転がる、音」を開催。 (撮影:北里義之)

山崎春美氏
モデレーターの一人、著述家・編集者・ミュージシャンの山崎春美氏。現在、連続トークイベント「山崎春美のこむらがえる夜」を主催。2014年8月23日(土)、ネイキッドロフトにて、いとうせいこう氏をお迎えして第三夜を開催。 (撮影:北里義之)

渡邊未帆さん
モデレーターの一人、音楽学者の渡邊未帆さん。泉秀樹氏が出演する音楽専門衛星デジタルラジオMUSIC BIRDのプログラム「Free Music Archive」の制作と聞き役を務める。 (撮影:北里義之)

サウンドカフェ・ズミのオーディオ・システム
サウンドカフェ・ズミのオーディオ・システムをご紹介。上はプリアンプのAccuphase C-280、下はCDプレーヤーのWadia16。どちらもデレク・ベイリーのギター音の質感をみごとに表現してくれる。(撮影:G.I.)

さて、次回vol.05では、特別ゲストに批評家の平井玄さんをお迎えします。満席の場合はお立ち見の可能性がありますので、できるだけ事前のご予約をお願いします。


「デレク・ベイリーを聴く会 」70年代の音源[3]
ゲスト:平井 玄(批評家)
2014年7月26日(日)18:00〜

会場:Sound Cafe dzumi サウンドカフェ・ズミ(吉祥寺)
 JR吉祥寺駅南口より徒歩5分
 武蔵野市御殿山1-2-3 キヨノビル7F tel:0422-72-7822
入場料:1500円(ドリンク付)
先着20名 要事前予約:event.dzumi[a]jcom.home.ne.jp([a]を@に変えてください)
件名「デレク・ベイリー」、氏名、人数、お電話番号をご連絡ください。


デレク・ベイリーを聴く会vol.05



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