コジモ・デ・メディチが求めた救済の図像プログラム
『巡礼としての絵画』が9月中旬に刊行となる。サブタイトル「メディチ宮のマギ礼拝堂とゴッツォリの語りの技法」のとおり、フィレンツェの観光名所ともなっているメディチ・リッカルディ宮内の礼拝堂の三壁面を飾る「マギの旅行」がメインテーマだ。この絵画はメディチ家の人々が画中に描かれたことでも知られ、歴史書などにもよく引用され、メディチ家の権勢を誇る絵として捉えられていた。
しかし、注文主コジモにはもっと純粋な意図があったことを読み解いていく。
マギ図像とは、星に導かれて東方からベツレヘムへ赴く3人のマギの行列を描き、ベツレヘムで幼子キリストに対面する場面〈マギの礼拝〉と対に描かれるという。メディチ宮マギ礼拝堂には、礼拝するマギの姿はなく、幼子キリストと聖母マリアが描かれる祭壇画「幼児礼拝」が配置される。それは鑑賞者がマギとともに旅行し、マギになりかわって幼子キリストに対面することで救済されると考えた。マギの図像プログラムは、想像上の巡礼〈代替巡礼〉を担っていた。
そこで重要な役割を果たすのは、この図像プログラムを描いたベノッツォ・ゴッツォリだ。絵の中に登場し、鑑賞の仕方を指示する。本書後半では、ゴッツォリの絵画における語りの技法を丹念に追う。カラー24頁、図版100点以上と充実。どうぞお楽しみに。
