工作舎ロゴ 9月の新刊『巡礼としての絵画』


メディチ家の人々(マギの旅行より)

メディチ家の人々を描いた壁画

『巡礼としての絵画』が、もうじき9月25日に発売となる。メインテーマは、メディチ家邸宅(メディチ宮)内の礼拝堂壁面に描かれた「マギの旅行」。キリストに対面すべくベツレヘムに赴く3人のマギ(東方三博士)の行列が描かれる。マギたち、すなわち、カスパール、バルタザール、メルキオールがそれぞれ三壁面に描かれ、礼拝堂を四分の三周する、長大で華やかな絵画である。特に東壁の「カスパール」を中心とした一行には、メディチ家の主要人物が描かれ、重要視されてきた。

上の部分図で説明すると、一番右がピエロ(コジモの息子)、ひとり置いて左隣がコジモ。黒い服を着て、赤い帽子をかぶり、視線をこちらに向けているのがわかるだろう。その左隣の白馬にまたがった若者が、礼拝堂完成時に招かれたミラノ公の長男ガレアッツォ・マリア・スフォルツァ。その左斜め上の若者がコジモの孫、ロレンツォ・イル・マニフィコと同定されている。

当時の人々も礼拝堂に足を踏み入れると、この東壁から観始めることになる。コジモらは自らの姿や近親者の肖像に注目し、容易に感情移入できたろう。そして南、西壁をつたい、北壁の祭壇画へと導かれる。そこには幼児キリストが描かれ、画中の行列とともにキリストに対面することになる。これは代替の巡礼である。複数の絵画の配置、鑑賞者の「参加」によって、戦略的な図像プログラムとして構成されていることを明かす画期的な書となった。ぜひご一読あれ。










ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha