工作舎ロゴ 『古書の森 逍遙』著者・黒岩比佐子さん死去


黒岩比佐子さん

黒岩比佐子さんを悼む

『古書の森 逍遥』の著者・黒岩比佐子さんが11月17日に急逝されました。つつしんでご冥福をお祈りいたします。
昨年膵臓がんを宣告され、病と闘いながら、小社『『古書の森 逍遥』(6月刊)、講談社『パンとペン』(10月刊)を上梓されました。読売新聞の読書委員を務め、同じ委員仲間の片山杜秀さんが追悼記事を記されています。

2010.11.18 読売新聞「埋もれた歴史 書物愛で発掘」 片山杜秀氏

本に溺れていたい人だった。神保町の古書市でお会いするときは本当に楽しそう。山のように買っても自力で持ち帰れるように、リュックサックを携えている。まぶしいほど元気だった。
また、書物をおろそかにせぬ人だった。本紙の読書面の掲載本を決める委員会。黒岩さんは選んだ本のメモを丁寧に取り、プレゼンテーションに備える。芸事のお稽古のようにひたむき。まわりの空気が凛とした。
病魔に蝕まれてからは、本を推す際の発言時間が心持ち長くなった。最後の出席は10月19日。いつも通りに熱弁をふるわれた。生きていたい。読みたい。気持ちがひしひしと伝わった。
黒岩さんはそんな書物への愛を著述と見事に結びつけた。特に明治時代にこだわりつつ、学者の見すごしがちな雑本の類いを古書市などで丹念に集める。そこから忘れられた事実を膨大に発掘し、専門家から一般読書人までを等しく驚かせ魅了してやまない歴史物語を編み上げる。その技は冴え渡る一方だった。(後略)


USTREAM ピーマンTVにて追悼番組

黒岩さんの急逝の報を受け、11月20日、USTREAMにて追悼番組が配信されました。 ピーマンTV「本の現場シリーズ 緊急追悼番組 黒岩比佐子さんとの日々――担当編集者3人が語る」。『明治のお嬢さま』(角川選書)、『古書の森 逍遙』(工作舎)、『パンとペン』(講談社)の各担当編集者が、命の炎が消えるまで、ノンフィクション作家としての矜持を守りぬいた黒岩比佐子さんの姿を、語り合いました。
現在アーカイブで視聴でき、この録画視聴者数は1000人を超えたそうです。また、11/25夜にも完全版の再配信が予定されているそうですので、ぜひご覧ください。
ピーマンTV:http://p-man.tv
USTREAMアーカイブ:「緊急追悼番組 黒岩比佐子さんとの日々――担当編集者3人が語る」




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