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書物の灰燼に抗して

4月の新刊 四方田犬彦著『書物の灰燼に抗して』

四方田犬彦さんの新刊、『書物の灰燼に抗して』がいよいよ4月に刊行されます。

「大学院で比較文学を学び、スウィフトの空想旅行記をめぐる学位論文を提出したというのに、わたしは長い間、この本来の専攻である分野について書いた論文エッセーの類を纏めることに怠惰であった」。 そう顧みる四方田さんの「比較文学」を冠した初の書物です。2月に刊行した『パゾリーニ詩集』(みすず書房)の翻訳から生まれたパゾリーニ論をはじめ、ル・クレジオ、アルトー、グリナウェイらを次々と論じ、読み応えある8編で構成。目次はこちら >>>

中でも表題作にもなった「8 書物の灰燼に抗して」が秀逸です。

「あるとき図書館=書斎が突然に焼け崩れて灰燼に帰す。だが書架の深奥に棲み、神聖なる黄金虫のように書物を読み続けては書き続けてきた者たちにとって、それはたかだか地上世界における偶禍にすぎない。燃え崩れた次の瞬間から図書館は、たちどころに記憶のなかの想像上の図書館へと変貌し、視力を喪失した瞬間から眼は記憶の幻視のために再起動をはじめる。

だが、もう一方に亡命者の一群がいることを忘れてはならない。古色蒼然とした図書館からも、莫大な蔵書を誇る書斎からも、無惨に放擲された者。…彼らは世界を世界の深い傷として認識することから、エクリチュールに参入する。もし現実が破綻を来たしてしまったとすれば、彼らはそれを補填するのではなく、逆にあえて突き破ることにしか思考の根拠を置こうとしない。」

前者はボルヘス、ウンベルト・エコらを指し、後者はベンヤミン、アドルノ、サイードらを指します。後者の手法はそれゆえに、断片でありエッセーでした。アカデミズムを拒否しエッセーを礼賛したアドルノに倣い、図書館が燃え崩れ、世界に深い亀裂が走ってしまった今、

「唯一可能な認識のあり方とは、体系的な哲学でも超越者の宣託を待つ悲劇でもなく、一瞬のうちに暗い虚空に全体性の幻を花火のように顕現させ、その後の虚無をわれわれにより印象深く指し示してみせることしかなく、文学において唯一可能なのがエッセーという形式なのだ。」

空爆により廃墟となったサラエヴォの図書館を目にして綴ったテクストですが、3.11の大震災による壊滅的被害を受けた今の日本と重なります。本書の発売は4/28頃を予定します。また、その4/28には、三省堂書店神保町本店にて四方田さんのトークショーを開催いたします。3.11以降の事態を四方田さんがどのように語るのか。どうぞご参加くださいませ。

   
四方田犬彦さんトークショー「書くことの灰燼」
【日時】2011.4.28(木) 開場:18:00〜 開演:18:30〜
【会場】三省堂書店神保町本店 8階特設会場
※8階特設会場へは、正面入口(靖国通り)側エレベーターにてご来場ください。
【お申し込み方法】三省堂書店神保町本店にて『書物の灰燼に抗して』をお買い上げまたは電話にてご予約のお客様、先着100名様に4階レジカウンターにて整理券を配布中。トークショー終了後にサイン会も予定(サインは『書物の灰燼に抗して』のみ対象)。
【お問い合わせ】 三省堂書店神保町本店 4階 03-3233-3312(代) 10: 00〜20:00
三省堂書店サイトヘ >>>



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