4月新刊『生物多様性のしくみを解く』
4月の新刊は、生態学者・宮下直さんの『生物多様性のしくみを解く―第六の大量絶滅期の淵から』。トキ、ミヤマシジミ、ベッコウトンボ、カワラノギク、イシカワガエル…かつては身近な存在だった生き物が絶滅の淵にいます。その原因は私たち人間です。多様な生命が満ちあふれる地球に、人為がまねいてしまった「生態系の病」とは? その病状は? 地球上のすべての生物の多様性の意味を知り、そのしくみや関わりを理解して、地球規模の危機の解決を提唱します。口絵カラー8ページ。
本webサイトで2013年10月まで連載した「第6の大量絶滅の時代を救う知恵―人と自然、生物多様性の時空」に加筆して書籍化しました。シカやイノシシなど増えすぎた野生動物問題ともつながり、なぜ生物多様性が必要なのかと、深く共感できます。発売は4月中旬を予定。どうぞお楽しみに。
■目次より
序:人類の出現と病める地球生態系第1章:共通のルーツ
生命の誕生と地球環境の形成種の形態と、それぞれのライフスタイル
多様な生物に、共通するしくみ
共通のルーツから多様な誕生へ
第2章:生態系のしくみ
多くの種が棲める理由I:資源分割 II:「共生」関係 III:食物連鎖
生態系とそのつながり
生態系のバランスと平衡
ネットワークで維持されるバランス
第3章:問題の実態
減り続ける生き物たちI:ニホンオオカミ・・・ II:草原性の蝶たち・・・ III:熱帯林、渡り鳥・・・
増えすぎた生物
I:野生動物 II:外来種 III:共通するしくみ
第4章:対策と治療
生物多様性を守る自然公園生態系の治療
I:トキの野生復帰 II:草原の生物を守る III:外来種の駆除
第5章:多様性の原理
「生物の多様性」は、なぜ必要かI:自然の恵み、生態系の弾力性 II:「ただの虫」や「眠れる番人」
生態系の多様性=場の多様性
多様性の共通原理
■著者紹介
:宮下 直(みやした・ただし)
1961年、長野県飯田市生まれ。伊那谷の豊かな自然に育まれ、子供のころから「生き物博士」と呼ばれた。1985年、東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院農学生命科学研究科、生圏システム学専攻教授(農学博士)。2012年には日本蜘蛛学会会長に就任。日本各地の生態系や生息地のネットワークを科学的に検証し、第六の大量絶滅の危機を回避する方法を探究する。