工作舎ロゴ [今週の1枚]


9月の新刊『ライプニッツ著作集 第II期
[2]法学・神学・歴史学』


ライプニッツ著作集 第II期[2]法学・神学・歴史学

9月の新刊2冊目は、『ライプニッツ著作集 第II期』の待望の「第2巻 法学・神学・歴史学──共通善を求めて」。日本では数学や形而上学に比べほとんど取り上げられることがなかった分野です。近年の世界の研究動向を踏まえ、収載作品はすべて本邦初訳。ライプニッツ没後300周年の記念すべき年にふさわしく、意義ある出版となりました。

ライプニッツは、政治的にも宗教的にも混迷をきわめた17・8世紀のヨーロッパにあって、生涯宮廷顧問官として八面六臂の活躍をしたことでも有名です。第2巻が扱う法学・神学・歴史学は、ほぼそのままライプニッツの主要な仕事の変遷でした。
法務官僚として法律改革や裁判などに従事し実務経験を重ねながら、法学の構想を練り上げていったのでした。また、神学は法学の一部であり、国家の秩序は、宇宙を支配する神の実定的秩序に連続している、したがって法の究極的な基礎は神の意志にある、と考えていました。
歴史学に関しては、君主ハノーファー選帝侯エルンスト・アウグストから家史執筆を命ぜられたことが大きく影響します。厳正な史料批判に基づいた執筆姿勢が伝わる論考の数々を訳出しています。

数学・論理学の「理性の真理(必然的真理)」とともに、自然史・生命史をふくむ歴史などの「事実の真理(偶然的真理)」を重視したライプニッツの法学・神学・歴史学をめぐる多彩な探究プロセスが開示されます。

詳細な目次は以下をご覧ください。発売は9月30日予定。A5判上製、452頁、本体8000円+税になります。



■目次

【第1部】法学

1 法学を学習し教授する新方法[1667] 酒井 潔+長綱啓典+町田 一=訳・コラム・解説
  第二部 法学のみに限定された特殊部
  コラム*『法学を学習し教授する新方法』第一部について

2 自然法の諸要素[1669 – 70?] 川添美央子=訳・解説 
  2-1 覚書
  2-2 研究

3 王子の教育についての書簡[1685 – 86] 津崎良典=訳・解説
4 普遍学への序言。ユートピア的な島について[1688?] 長綱啓典=訳・解説
5 善意に満ちた聡明な人々に宛てた覚書[c.1692] 津崎良典=訳・解説
6 正義の共通概念についての省察[1703?] 佐々木能章=訳・解説
  他人の立場[1679?]
7 サン・ピエール師の恒久平和計画にかんする所見[1715] 長綱啓典=訳・解説

【第2部】神学

1 哲学者の告白[1672/73?] 清水洋貴+長綱啓典=訳・解説
2 宗教の平和について[c.1691] 町田 一=訳・解説
3 ボシュエとの往復書簡[1692]  福島清紀=訳・コラム・解説
  コラム*教会再合同計画の背景
  3−1 ライプニッツからボシュエへ
  3−2 ボシュエからライプニッツへ
  3−3 ボシュエからライプニッツへ
  3−4 ライプニッツからボシュエへ
  コラム*和解交渉のゆくえ
4 ウィーン講演──聖なる哲学の創始者としてのギリシア人について[1714]  枝村祥平=訳・解説

【第3部】歴史学

1 ヨハン・アンドレアス・ボーゼ宛書簡[1670] 枝村祥平=訳・解説
2 新アプローチ──諸学問の完成と人間の幸福のための歴史学[1686] 今野諒子=訳・解説
3 『国際法史料集成』序文[1693] 酒井潔=訳・解説
4 歴史学の対象、歴史、方法について[1695/96] 枝村祥平=訳・解説

総解説 ライプニッツの法学、神学、歴史学 酒井 潔

ライプニッツ〔&ボシュエ〕手稿(別丁)





ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha