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10月の新刊2 遠藤 徹 『ゾンビと資本主義』


『ゾンビと資本主義』

10月の新刊2点目は、 遠藤徹『ゾンビと資本主義—主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』

19世紀にハイチのヴードゥー教の「生ける死者」として現れた「ゾンビ」。理性も知性ももたず人を襲い、嚙まれた者も同類になっていく──映画でお馴染みのゾンビのあり方に、この世/主体/資本主義/人種/ジェンダーの枠組みから逃避する道の可能性を見出す。多彩な現代思想の手法を駆使して、ゾンビ表象が担う意味をあぶりだした知的冒険の書。

著者の遠藤徹さんは、『スーパーマンの誕生』(新評論)などのアメリカ文化論でも知られている同志社大学教授ですが、「姉飼」で第10回日本ホラー小説大賞を受賞し、ホラー作家としても活躍する方です。

四六判上製、356頁、本体2500円。どうぞお楽しみに。



■目次

プロローグ:ゾンビを待ちながら

第1章:この世からの緊急避難

1──観客がゾンビを産み出した
2──アメリカ=ゾンビ
3──鏡としてのゾンビ
4──災害多幸症

第2章:主体からの緊急避難

1──解放としてのゾンビ身体
2──意味から碇を上げる
3──どちらでもあり、どちらでもない
4──ゼットピア

第3章:資本主義からの緊急避難

1──反専有の魔術
2──資本主義が/とゾンビ
3──2000年代のゾンビ

第4章:人種からの緊急避難

1──白いゾンビの出現
2──黒人の変容
3──ハイパーホワイトの登場
4──オリエンタル・ゾンビ
5──ゾンビ王オバマ

第5章:性からの緊急避難

1──ゾンベイビー
2──セクシャル・ゾンビ・ナンバー・ワン
3──ロマンチック・ゾンビ
4──リキッド・モダニティとゾンビ

第6章:緊急避難口から振り返る

1──「それじゃあ、ゾンビになってみよう」
2──映像を見るということ

エピローグ:真正ゾンビのほうへ



■著者紹介:遠藤 徹 (えんどう・とおる)

◎1961年生まれ。東京大学文学部英米文学科・農学部農業経済学科卒業、早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程満期退学。2013年から同志社大学グローバル地域文化学部教授。研究テーマは英文学、身体論、文化論(アメリカ・ポップカルチャー)など多岐にわたる。

◎評論著作に『溶解論:不定形のエロス』(水声社、1997)、、『ポスト・ヒューマン・ボディーズ』(青弓社、1998)、『プラスチックの文化史:可塑性物質の神話学』(水声社、2000)、『ケミカル・メタモルフォーシス』(河出書房新社、2005)、『スーパーマンの誕生:KKK、自警主義、優生学』、『バットマンの死:ポスト9/11のアメリカ社会とスーパーヒーロー』(以上新評論、2017、2018)。

◎翻訳書にE・P・エヴァンズ『殺人罪で死刑になった豚:動物裁判にみる中世史』(青弓社、1995)、S・バン編『怪物の黙示録:『フランケンシュタイン』を読む』(青弓社、1997)、M・ジャコヴィック『恐怖の臨界:ホラーの政治学』(青弓社、1997)、D・J・スカル/E・サヴァダ『『フリークス』を撮った男トッド・ブラウニング伝』(共訳、水声社、1999)などがある。

◎小説も執筆し、短編小説「姉飼」で第10回日本ホラー小説大賞を受賞、「麝香猫」で第35回川端康成文学賞候補となる。主な小説作品に『姉飼』『壊れた少女を拾ったので』『おがみむし』『戦争大臣』(以上角川ホラー文庫、2006〜2011)、『ネル』(早川書房、2009)、『むかでろりん』(集英社、2007)、『贄の王』(未知谷、2014)、『七福神戦争』『極道ピンポン』(以上、五月書房新社、2018)などがある。





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