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12月の新刊 山下正男
『西欧デモクラシーの哲学的伝統』


『西欧デモクラシーの哲学的伝統』帯

12月の新刊は、山下正男著 『西欧デモクラシーの哲学的伝統—アリストテレスにはじまる』 。論理学の碩学、今年92歳の山下正男先生が思うままに綴る哲学エッセイです。

凡人による健全なコミュニティへ
アリストテレスの哲学は、存在論から労働論、そしてコミュニティ論へとつながる。天才の西欧哲学を通して、日本のデモクラシーを展望する。家族から村、そして国家のあるべき姿を考え、独裁に対抗する術を考える哲学エッセイ。
ヘシオドスの農事詩、ヘーゲルの政治論、マルクスの社会論、パースの批判的常識主義、フッサールの認識論、ハイデッガーの存在論……などを語根や図表を駆使しながら評価・検討し、日本のデモクラシーの向かうべき道を指し示す。

四六判上製、214頁、定価 本体2400円+税。12月27日発売予定。




■目次

1 筆者の素性からお話します
2 この書はデモクラシー擁護のために筆者の持つ全能力を動員して書かれたものです。そしてその先達として先ずアリストテレスを選びます
3 アリストテレスの哲学の本音は存在論でなしに農業労働論だといえます
4 アリストテレスの哲学は労働の哲学だけで終るものではありません。人間の労働には目的というものがあるからです
5 アリストテレスの国家論のもう一つの柱はコミュニティ全員の幸福を目ざす共同体の考えだといえます
6 アリストテレスの国家論には致命的な欠陥があります。つまり彼の国家論は存在論であり, 義務論ではないからです
7 アリストテレスのデモクラシー国家論には国民の軍役についての議論が抜け落ちています
8 以上で本論を終えることにしまして, これからは余論に入ります。
余論:その一 アリストテレスのデモクラシー国家論に対する強力な対立思想がでてきました。そしてそれが社会(society)という奇妙な存在です
9 余論:その二 相互性(mutuality)と共同体(community)とは似たことばですが峻別しなければなりません
10 余論:その三 mercantile(商業本位的)のほうがmutual(相互的)よりもっと反国家的です
11 余論:その四 デモクラシーに至る健全な哲学はアリストテレスの哲学の中に潜んでいます
12 余論:その五 ドイツの著名な哲学者ハイデッガーについての感想を,アリストテレスを参照しながら述べてみます
13 余論:その六 ハイデッガーの師匠筋に当るフッサールについても述べさせていただきます
14 最終章 六つの余論を述べた後に再び本論にもどります。西欧ではデモクラシーの哲学者としてアリストテレスが最初の人物ですがその真意はなかなか読みとられず,それどころかねじ曲げられた哲学が現れました
15 あと書きとして デモクラシーの支えとなる近代哲学としてはアメリカの哲学者パースの批判的常識主義がもっとも強力です



■著者紹介:山下正男 (やました・まさお)

1931年生まれ。京都大学人文科学研究所名誉教授。主な著書に『新しい哲学:前科学時代の哲学から科学時代の哲学へ』(培風館 1967)、『科学時代をどう生きるか:科学と科学でないもの』(講談社現代新書 1967)、『論理学史』(岩波全書 1983)、『論理的に考えること』(岩波ジュニア新書 1985年)、『思想としての動物と植物』(八坂書房 1994)、『思想の中の数学的構造』(ちくま学芸文庫 2006)など。主な翻訳書に、ショルツ『西洋論理学史』(理想社 1960)、カント『前批判期論集 第Ⅰ』《カント全集2》(理想社 1965)、W.C.サモン『論理学』(培風館 1967)、『パース 論文集』《世界の名著 48》(中央公論社 1968)、 W.v.クワイン『論理学の哲学』(培風館 1972)、ライプニッツ 『中国学』《ライプニッツ著作集 第I期10》(工作舎 1991)、 『図解き 論理学哲学史逍遥』(工作舎 2020)などがある。




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