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『季刊インターコミュニケーション No.40』(2002.1)の特集:未来図書の巻頭口絵を牛若丸出版がこれから出版する本が飾ることになり、秘蔵?の企画を惜しげもなく並べたのがはじまりだった。まず、カメラマン(写像家と云わないと機嫌が悪いのだが……)の佐々木光さんが親戚の看護婦さんから情報を得て、どうやら千葉県のほうに医療博物館のあるらしいことがわかった。早速、みんな(佐々木、松田、米澤、佐々木さんの助手の今井の4人)で千葉県印旛沼にある医科器械資料館ロケハンにいくことにした。やっとたどりついて、建物に入るなり、陳列のための手入れが何もなされていないことにびっくり。が、それがまた興味を高めた。あたかも血糊のついていそうな手術台や使い終わった心臓ペースメーカー、さびついた手術器具、どれもほこりがうっすら溜まっているようで、猟奇的な気分にさせられ、それがまた官能をくすぐった。それでは、とここの手術器具を中心に、佐々木さんの一点凝視の写真集をつくることに決めた。このウワサを聞きつけた医療機器専門家の十河さんが協力を申し出てくれたので、お願いすることにした。すべての器具のキャプションと20世紀後半から使われている器具や豚の眼球は十河さんが手配してくれたものである。豚の眼球の撮影のときは、嫌悪感に満ちあふれた周囲の眼を尻目に十河さんが肉殺ぎなどもしてく
れて、周囲を大いに感動させてくれた。そして、米澤敬さんが少年時代のうんこにまつわる話からはじまる、いつものテイストと少し違った、一皮剥けたような洒脱な文を寄せてくれた。かくして、これらとは別進行でマツダオフィスの中村くんの協力で医療年表を作成していたので、一気に本のデザインに入った。
まず層をなした感じ、薄い皮膜を剥ぐような感じがほしくて8ページずつ紙も変えて写真と文章が交互にくるようにした。写真ページはコート紙にツヤニスをしいてツヤがあってちょっとザラッとしたかんじがでるようにした。文章ページは、逆にやや薄いグリーンぽい色の中質紙で写真ページとの差がでるようにした。小口から眺めると何枚かの層が浮かび上がってくるしくみである。表紙は上製のチリをカットしたできるだけ厚いボール紙を使うことにした。印刷の文唱堂の佐藤さんによると1冊ずつカットしないとボール紙が割れるという。裁断ひとつとっても大変である。1折りだけ色校を試しでとったが、あとはすべてCTP(Computer
to Press)で製版なしで直か刷版方式をとった。簡易色校でしか写真がみられないので、印刷立ち会いに行って調子を整え、おもいきりインクを盛ってもらうことにした。その結果、かなり満足度の高い仕上がりになったように思う。CTPのよさは、写真がいかに明るくてもデータが残っていさえすれば濃度をアップできるということである。インクは最初の刷りだしのときの約1.5倍ほどまで盛った。カバーは最初、ヘルンバインの包帯少女に触発されて、包帯っぽい紙を使おうと考えていた。それが、だんだん皮膚っぽいかんじをめざすようになり、現状のスウェーデンの包装紙としてよく使われるコルスネスを選ぶこととなった。市販用のカバーはグリーングレーだが、限定版は赤茶で血だまりのような色である。限定版ももうほとんどなくなってしまった。
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