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16-a 黒雲母

「賢治と鉱物」本文:黒雲母
黒雲母の自形結晶 1.黒雲母の自形結晶
閃長岩ペグマタイトから産出した巨大な6角柱状結晶。六角の面に沿って剥離し、鏡のように光沢の強い平面をつくる。
カナダ オンタリオ州 カーディフ産
左右長18cm
GSJ M36745

黒雲母(写真1,2)は様々な火成岩や変成岩に含まれて広く産出します。結晶構造中の鉄とマグネシウムの比が大きいほど色が濃くなります。黒雲母は、他の雲母族鉱物と同様に、二次元的に広がる鉄、マグネシウム、アルミニウムの珪酸塩層が、カリウムイオンによって引き締められた結晶構造をもっています。珪酸塩層同士の凝集力が相対的に弱いため、珪酸塩層に平行に薄く剥げます。

雲母仲間の白雲母は、電気絶縁体や耐熱窓材として広く利用されていますが、黒雲母は工業的にはほとんど利用されていません。鉄を多く含む黒雲母には導電性があり、また窓材としては透明度が足りないことがその理由と考えられます。薄く剥げて金色の鱗粉状になることから、内装用建材の装飾コーティング材として使われることがあります。

黒雲母を含む岩石が地表に現れて風雨にさらされると、黒雲母の層間からカリウムが溶け出しヒドロニウムイオン(H3O+)が入り込みます。これを加熱すると、層間の水が水蒸気となって膨張し黒雲母の層間を押し広げます。その様子が、あたかも蛭が這うようであることから蛭石(写真3)という名称があります。新鮮な黒雲母には用途が少ないのですが、風化して分解しかけた黒雲母は、加熱処理によって、多孔質で軽い素材に生まれ変わります。蛭石は、壁に吹き付けることによって部屋の吸音性と断熱性を高めるために利用されています。

黒雲母がより高い温度条件で水和すると、緑泥石に変化し、そのために緑味が増します。

2.黒雲母
花崗岩ペグマタイトから産出したもので、一部が変質して緑泥石を生じている。剥離面に直角な方向から撮影したもの。
北朝鮮咸鏡南道下元川面興慶里産
左右長約9.5cm
GSJ M34493
黒雲母
加水黒雲母 3.加水黒雲母
黒雲母のカリウムが溶け出して、その代わりに水分子が入ったもの。加熱するとにょろにょろと伸びるため、蛭石のニックネームがある。画面下の六角柱は加熱前、アコーディオンのように伸びたものが加熱後の姿。
山梨県東山梨郡大和村初鹿野 古部産
画面の左右が2cm
GSJ M2134


黒雲母の鉱物学的性質
グループ珪酸塩鉱物(シートシリケート)
結晶の形 六角柱状、六角板状
化学組成 K(Mg, Fe2+)3(AlSi3O10)(F,OH)2
黒色〜褐色、濃緑色
硬さ(モース) 2.5〜3
比重2.9〜3.4
劈開一方向に完全
屈折率1.56〜1.70
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