
ケプラーの宇宙モデル
4月にいよいよケプラーの主著『宇宙の調和(Harmonice Mundi,1619)』を刊行する。 ティコ・ブラーエの緻密な観測データを元に生まれた「ケプラーの法則」。中でも、第三法則、すなわち「惑星の公転周期の2乗は、太陽からの平均距離の3乗に比例する」は、『調和』にて公表され、後のニュートンに「万有引力の法則」を導かせたという。この歴史的名著が、ラテン語原典より本邦初の完訳となる。 また、長らく品切れにしていた幻の第一作『宇宙の神秘』邦訳も新々装版にて復刊する。
上の図は、『宇宙の神秘』で提唱された、5つの正多面体による宇宙モデル。ケプラーは早々にコペルニクスの地動説を受け入れたうえで、土星までの6つの惑星軌道の大きさは、5つの正多面体(プラトン立体)の外接球と内接球の比に関連すると考えた。すなわち、土星と木星の軌道のあいだに立方体が、木星と火星の軌道のあいだに正四面体が、火星と地球のあいだは正12面体、地球と金星のあいだが正20面体、金星と水星のあいだには正八面体がくると。幾何学的調和を表わした宇宙モデルは、その後の科学で否定された。だが、この美しさは、時代を超え今なお多くの人を魅了する。