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11月の新刊 倉谷滋著『分節幻想』


分節幻想

11月の新刊は、気鋭の生物学者・倉谷滋氏の書き下ろし『分節幻想―動物のボディプランの起源をめぐる科学思想史』

生物学でもっとも注目を集める進化発生学では、形態学が息づいているという。18世紀末にゲーテらに創始されたあの形態学である。
形態学では動物や植物の形の多様性を理解するためにからだの分節パターンを重視し、頭部のような特殊な構造はからだの変形と考えていた。「幻想」から生み出された「頭部分節論」はその後の進化論によって駆逐されたかに見えた。しかし分節性への指向は、時代とともに表現を変え、今、発生の謎を解く鍵となった。18世紀以来の進化と発生学の歴史のなかで「アタマの起源」を探る大著。

詳細な目次は以下をご覧ください。発売は11月30日予定。A5判上製、864頁、本体9000円+税です。




■目次

 はじめに――地上に降り立つイデア

第1章 観念論の時代

 ゲーテからオーウェンへ
   「羊」をめぐる思考実験と椎骨説の誕生/メタメリズムとメタモルフォーゼ
   構造主義的形態学/原型と祖先

 オーウェン
   原動物/原型と相同性/原型の内容
   デフォルトとしての椎骨/原型的構成

 原型と相同性、グレードとクレード
   【コラム】頭部分節性事始め/【注】

第2章 比較発生学と比較解剖学の時代
――比較発生学の興隆からグッドリッチまで

   脊椎動物の咽頭胚/原型と発生

 先験論的比較発生学
   メッケルとセール/ラトケ、ベーア、ライヘルト

 頭部分節の否定、そして「前成頭蓋発生学」の誕生
   ハクスレーの原型/原型から祖先へ[椎骨説の否定]
   ハクスレーの誤り/椎骨説の生還
   【コラム】パーカーと軟骨頭蓋解剖学

 分節の起源
   分節と体腔/バルフォー、マスターマン、セジウィック

 ヘッケル

 ゲーゲンバウアーと比較解剖学
   脊柱部分と非脊柱部分・脳神経と脊髄神経/脳神経の概観
   末梢神経系と頭部分節性/頭蓋[新生部分と変形部分]

 バルフォーと頭部分節
   頭腔/サメ以外

 ヴァン=ヴィージェ――体性と臓性
   【コラム】組織学研究法

 プラットの小胞と頭部分節の数
   前頭腔の謎

 フロリープ――頭部と体幹の境界
   後頭骨/頭部と体幹の境界

 ガウプと軟骨頭蓋の比較解剖学
   耳小骨/神経頭蓋

 後頭骨のホメオティックシフト――フュールブリンガーからグッドリッチへ
   分節番号と相同性/フュールブリンガー/トランスポジション

 鰓と頭腔
   鰓の進化/メタメリズムと鰓

 グッドリッチと頭部分節説の二〇世紀的結論

 誰が分節論者か?
   【注】

第3章 もう一つの流れ、神経系の分節理論

 神経分節と頭部分節性
   末梢神経/神経管

 神経分節
   ローシーとヒル

 ジョンストン
   ジョンストンのモデル

 ニールと神経分節
   ニールと神経分節の頭部分節論的考察

 ベルグクイストと多角形モデル

 二〇世紀末のロンボメア論争
   菱脳分節と咽頭弓/菱脳研究の限界と前脳/神経分節の統合的理解

 もう一つの前脳モデル――スペイン学派と日米の共同研究
   神経管の前端/【注】

第4章 グッドリッチ以降――混迷の時代

 円口類の位置と意義
   系統関係/円口類の原始形質/中胚葉
   【コラム】理想形態としてのヤツメウナギ

 ド=ビアと前成頭蓋博物館
   ヘテロクロニー論/口と梁軟骨

 ゼヴェルツォッフの系統進化的ヴィジョン
   ゼヴェルツォッフのヘテロクロニー論と頭部問題
   無頭類段階とグレード的進化/第二のグレード、原有頭動物
   内鰓類と外鰓類の分岐[グレード的進化] /顎口類の進化

 アリスと梁軟骨

 ポルトマンと頭蓋の一次構築プラン

 ジョリー――ゼヴェルツォッフを継ぐもの
   神経頭蓋

 ローマーと二重分節説?
   体性と臓性/進化

 スウェーデン学派――ジャーヴィックとビエリング
   スウェーデンの比較形態学/板鰓類発生学と頭部分節性
   皮骨頭蓋/内臓骨格と脳神経/哺乳類の中耳骨

 形態学の暗黒時代とソミトメアの夢
   ソミトメアをめぐる議論/ソミトメアの評価

 頭腔と頭部中胚葉の分節性
   頭部中胚葉分節?/頭腔とは何か?/前頭腔とは?
   最前端の頭腔と索前板についての覚え書き
   シビレエイにまつわる謎/トラザメ

 遺伝子発現
   中胚葉に発現する遺伝子/頭部に体節はあるか/【注】

第5章 実験発生学の時代

   批判試論/問題

 個体発生プロセスとボディプラン理解
   ランゲ、オルトマン、シュタルク[実験発生学的センスによる頭部の理解]

 形態発生的拘束と分節性
   ソミトメリズム[相同性の創出]

 脊椎動物の頭部分節性を発生機構的に見直す
   菱脳分節/咽頭嚢

 頭部神経堤細胞をめぐる実験発生学と頭部分節性
   両生類/ル=ドワランの影響力/位置的特異化と分節性
   発生的誘導作用としてのエピジェネシスとエピジェネティックス
   脊索頭蓋と索前頭蓋/ノーデンと頭部形成
   鰓弓骨格のメタモルフォーゼとは/頭部神経堤と「エラ」
   実験発生学と分子遺伝学
   種ごとに異なる形態/神経堤の可塑性と自律的分化能
   内胚葉/腹側化シグナルとDlxコード

 皮骨頭蓋の謎
   相同性の問題/皮骨要素の実験発生学/蝶形骨の組成/【注】

第6章 進化発生学の興隆

 進化発生学とは何か
   興隆の背景/進化発生学のツールにまつわる問題
   実験発生学と遺伝学/集団遺伝学的インプットと展望

   現代進化発生学批判試論――ホメオシスとHox
   なぜHoxコードか?/トランスポジション、トランスフォーメーション
   ベイトソン/ホメオティックセレクター遺伝子
   位置価決定システムとしてのHoxコード
   メタモルフォーゼ遺伝子/脊柱を特異化するHox遺伝子

 脊椎動物の起源という問題意識――ガスケルとパッテン
   歴史的背景/仰向けになる祖先/ガスケル/パッテン

 ガンスとノースカットと「新しい頭」
   頭部神経堤とプラコード/神経堤とプラコードの進化

 ナメクジウオとの比較
   ナメクジウオとアンモシーテス幼生/分節的動物としてのナメクジウオ
   頭部と側憩室/ソミトメリズムとブランキオメリズム、背腹軸上の分極
   筋節の比較/進化のシナリオ

   半索動物……ギボシムシ――あるいは第二のナメクジウオ
   背景/脊索動物をもたらしたギボシムシ/ギボシムシの進化発生研究
   ギボシムシ研究の意義と分節性/コ・オプション

 背腹反転
   分子的背景とボディプラン/ギボシムシの示すもの/背腹軸と神経系

 そして、脊索は

 進化を遡る――前口動物
   分類と系統/環形動物/細胞型のプロファイリングと相同性、ボディプラン
   反復説と胚葉説、再び/脊椎動物との類似性/相同か、コ・オプションか
   【コラム】裏と表

 幻想としてのウルバイラテリア
   【コラム】比較形態学体験

 類似した分節

 脊椎動物の作り方に関する謎――背腹反転再び
   【コラム】脊椎動物の起源はヒモムシか?

 祖先的胚形態
   中枢神経/中胚葉

 残された問題
   相同性と分節/側憩室、再び

 相同性をめぐる考察、再び
   細胞型/遺伝子/ファイロタイプと相互作用する相同的単位
   ツリー状システム的考察の陥穽/先験論的認識論を越えて

 結語――ボディプランの進化的ダイナミズムと由緒正しい分節
   相同性の性質/ファイロタイプ再考/【注】

追補 試論
――形態的相同性を記述するための、網目状円環モデル化の試み

 ――反復説の不可能性について
   1|相同性/2|形態的相同性の特殊事情/3|反復
   4|形態の差別化

 円環としての相同性
   1|概念群[文脈の並列化の試み]
   2|発生空間とゲノム空間をとり込んだ相同性のモデル化
   3|円環/4|相互作用とボディプラン進化

 要約と結論
   【注】

 引用・参考文献
 【索引】事項索引/著作・論文・雑誌索引/主要人名索引

 浪漫の行方――あとがきに代えて





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