『生命とストレス』増刷
ストレス学説の創設者ハンス・セリエの『生命とストレス—超分子生物学のための事例』が静かに売れ続け、増刷することになりました。
セリエみずからの体験をもとに、科学的発見をめぐる「方法」と「精神」を語る歴史的講義録です。詩人の直観的把握力をもって生命全体にアプローチする重要性を説く名著。
増刷ですが、帯が新しくなります。
ほとんどの疾患は、「適応」からの脱線である。
帯の色も水色に変わり、さわやかになります。4月26日にできます。
■目次より
序文 アルバート・セント = ジェルジ第1講
直観と知性/いったいどちらが魅力的か
「課題発見者」と「課題解明者」
課題発見者の勝利/メンデルの法則
ペニシリン/「周辺視野」
第2講
私自身の冒険/ストレスとG.A.S./最初の閃き
「まさに病気である症候群」/性周期の非特異的変調
「ストレス」という術語の使いはじめ/脳下垂体摘出がはらむ問題
新ホルモンの探索/三徴候/大いなる幸せ/大いなる不幸/新しい視点
学生時代へのフラッシュバック/もしこれがそうなら……!
損傷それ自体を研究できるかもしれない/経験豊かな人の忠告
「ごみくずの薬理学」/バンティング先生の励まし/研究計画を立てるとき
この症候群がいかに非特異的であるか/意味論上の最初の難関/「警告反応」
「抵抗期」/「疲憊期」/木を見て森を見失うな
第3講
適応の病気 コルチコイドはガラス様変性症、すなわち「コラーゲン病」を引き起こす
コルチコイドという用語の必要性/コルチコイド性高血圧/心臓発作/臨床応用
アナフィラキシー様炎症/ふたたび副腎と炎症
アナフィラキシー様炎症によって得られた教訓/ホルモン麻酔法/雑多な実験
何が乳汁分泌を維持するか/「吸乳反射」と偽妊娠
抗ホルモン/副甲状腺と嚢胞形成
第4講
腎性高血圧症/「内分泌性腎臓」/いかにして適度の血管収縮をつくれるか
問題を解く二つの方法/手術の成功をいかにして判定するか
「固い」腎臓をつくる/「肉芽腫嚢」/目標
幸運な事件/「L.A.S. 」/L.A.S.とG.A.S.
いかにしてストレスは特異的変化を引き起こすことができるか
多因性局所病変/組織骨格/心筋内での骨形成
第5講
病因因子と内因/実験的素質/カルシフィラキシー
学生時代へのフラッシュバック/強皮症
局所カルシフィラキシーと全身カルシフィラキシー/カルセルギー/「THP」
「ACN」/一般的仮説/単因性疾患/多因性疾患
異種病原因子がいかにして同一の病変を生ずるのか
なぜ同じ作用因子により異なる病変が引き起こされるのか
一般的仮説の概要と展望/病気の要素/多因性疾患の分類/「病理合成」
ミクロ症候群/「アクトン」と「リアクトン」へのフラッシュバック
レセプターの分類/ミクロ症候群の不可分性/素粒子生物学の瞥見
第6講
課題発見のメカニズム/発見と発展/直観と計画
予測不可能な結果と予測可能な結果/綜合と分析/周辺視野と管状視野
簡素な技術と複雑な技術/多数の標的と少数の標的
徒弟修業と正規の課程/予測不可能な適用と明白に実際的な適用
研究における一般訓練と専門化/驚嘆と満足/中間型
研究における四つの段階/まとめ/解消しがたい双価性
■著者紹介:ハンス・セリエ Hans Selye 1907-1982
1907年、ウィーンに生まれる。1929年、プラハのドイツ大学医学部を卒業。1932年よりジョンズ・ホプキンズ大学衛生化学教室に勤務。カナダのマッギル大学生化学助教授、同組織学準教授をへて、1945年より76年まで、モントリオール大学教授をつとめる。1936年に「全身適応症候群」の概念を提唱し、そこで使用されたストレスという言葉により、一般に「ストレス学説」と呼ばれるようになった。1982年没。