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10月の新刊
『コンパクトシティはどうつくる?』


『コンパクトシティはどうつくる?』

10月の新刊は、『コンパクトシティはどうつくる?——暮らしてみたいまちづくり』
日本を代表する設計事務所、日建設計のグループ組織として設立された日建設計総合研究所(NSRI)。都市経営、環境・地域社会を構築し、活力ある未来を次世代に残すために活動するシンクタンクです。本書は、そのNSRIの活動を伝える手軽なシリーズ「NSRI選書」の第5弾になります。

コンパクトシティとは?
コンパクトシティは、持続可能な都市づくりの空間形態としてEU諸国で使われ始めた用語。その狙いは、都市により異なります。 人口も施設も何もかも中心拠点などに密度高く集約し、一点集中型の市街地を形成させ、中心拠点以外の居住者を強制的に中心拠点に移住させることだというイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしそれは、かなり極端なイメージであって、日本で考えられているコンパクトシティではありません。

日本では、人口減少と超高齢社会を見据え、また地震や水害など災害に強いまちづくりのために1990年代からコンパクトシティの建設計画に取り組んできました。
本書は、これまでの30年の蓄積と、現在とこれからの取組みを紹介します。

B6判変型/並製、176頁+カラー口絵8頁、本体1200円+税。10月中旬発売予定。



■目次

[刊行に寄せて]  明日の都市へ向けて  饗庭 伸

第1章 どうなる、日本の近未来の都市

1.1 人口減少が進む日本
  進捗状況を冷静に把握する/都市消滅の危機なのか
1.2 超高齢社会の到来がもたらす難問
  世界一速い日本の超高齢化/日常生活が困難となる高齢者の増加/郊外住宅団地の悲劇/地方ではより深刻な状況/都市の持続可能性に黄信号
1.3 リスクに曝される都市
  しなやかな回復力を備えた都市へ
1.4 持続可能な都市づくりのために
  人口減・超高齢社会をチャンスに!/「スマート・シュリンク」という方法/人口減少・高齢化は悪いことなのか/コンパクトシティの必要性/集まって住むことの大切/コンパクトシティとは何か

第2章 人口減少でも元気な都市へ

2.1 コンパクトシティは実現できるのか
  現行の都市計画制度では対応しきれない/立地適正化計画制度の限界/スポンジ化に対応した方策が必要/コンパクトシティ化のための戦略
2.2 大都市でのコンパクトシティ
  東京はすでにコンパクトなのか/都市形成と公共交通との関連/鉄道沿線の個性あふれるまちづくり/駅とその周辺を魅力あるエリアに/東京郊外の公共交通事情/都心居住のための整備が必須/郊外の住宅地と「エリア再生」の意識
2.3 地方都市でのコンパクトシティとは
  50万人規模の経済圏が目安/交通手段と土地利用の一体的なまちづくり/地方都市での拠点づくり/中心市街地の資産(ストック)を活かす/中心市街地を「交流の場」とする/生活の拠点は一つとは限らない/シャッター街、実はまちの「うつわ」/地域の「足」を確保するまちづくり/駅を都市の顔として、人とまちをつなぐ/都市のゆるやかな縮退(シュリンク)方策

第3章 活力あるまちづくり

3.1 えきまち一体化によるターミナルの再生
  生まれ変わる大都市のターミナル駅:東京駅・大阪駅・渋谷駅/にぎわいを駅前に、地方都市の取組み:姫路駅・金沢駅・旭川駅・延岡駅
3.2 まちの価値を高めるまちなか再生
  まちなかにターミナルと広場をつくる:熊本市/既存の施設や空間を活かし、まちの価値向上へ:松山市/民間主導によるエリアマネジメント:東京「大丸有」・札幌駅前/不動産ストックのリノベーション:北九州市・長野市/補助金に頼らない自立する取組み
3.3 コンパクトシティを支える足の確保
  多様な公共交通のサービス/まちの形が「引きこもり」をなくす! /鉄道沿線で取り組むまちづくり(エリアブランディング) :横浜市/海外のコンパクトシティ、その移動事例

第4章  コンパクトシティの夢をかなえよう

4.1 来たるべき未来への透視図
  暮らす人たち自らのまちづくり/人が惹かれる魅力ある拠点づくりを/パブリックスペースを豊かに/新たな移動手段を探り、交通網を整備/「住む」だけの場所から身近な「働く」場所に/まちに活気を生むマネジメント/シェアリングエコノミー時代の到来/インフラのスマートシティ化として取り組む/コンパクトシティへの道をもっと身近なものに
4.2 コンパクトシティ形成の進め方
  集約エリアに引き込む「プル」と「プッシュ」の方策/民間の担い手による地域の課題把握と施策/自治体の垣根を越えた取組みが必要
4.3 技術革新でコンパクトシティはいらなくなる
  自動運転社会が変えるまちの姿
4.4 みんなの気持ちを動かすために
  コンパクトシティの効果や魅力を伝えよう/コンパクトシティのメリットを明快に/市民とともに考え、真の理解を得る



■著者紹介:
竹村 登(たけむら・のぼる)

日建設計総合研究所 理事。大阪大学大学院工学研究科環境工学専攻修士課程修了。1987年に日建設計入社。都市計画・都市ビジョン等策定支援、防災まちづくり、都市・地域活性化のコンサルティングほか、民活導入による自治体プロジェクト推進、環境まちづくり計画等策定などの支援に携わってきた。「持続可能性」、「地域の元気」、「安全・安心」をいかにして実現していくかをテーマに、都市や環境まちづくりのマスタープランや地域活性化に関する調査研究、計画策定支援に注力している。

:日建設計総合研究所(NSRI)

日本を代表する設計会社、株式会社日建設計グループ組織として2006年に設立したシンクタンク。都市経営、環境・エネルギー面から、サスティナブルな都市・地域社会を構築し、魅力的で活力ある未来を次世代に残すために活動中。
日建グループに蓄積された都市、建築、土木等に関する確かな技術とノウハウを活用し、産官学と研究開発協力や人的交流の活性化に努めている。




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