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1月の新刊 松岡正剛
『うたかたの国』


『うたかたの国』

1月の新刊は、松岡正剛『うたかたの国──日本は歌でできている』

  • 音が聴こえてこない文字は無力だ。文字というもの、もともと音から生まれてきたからである。
  • そもそも日本における「うた」とは何なのか。すべての日本的構想の起源なのではあるまいか。
  • ぼくは日本の和歌や物語は文芸というより、日本文化の大切なものを保持しておく情報編集装置だったと思っているし、文様や模様や色どりはそれを明示するための必要不可欠な表象だったと思っている。
  • つまり『源氏』の主語は光源氏でも数々の登場人物でもなく、「うた」を通した「もの」だったのです。
  • いまのわれわれのカラダは、声を封印してスタートを切ってしまった近代のカラダであり近代の知である。その奥にある声の響きを取り出せたときには、近代を一気に超えられる可能性がある。

    『花鳥風月の科学』『空海の夢』など、数多の著作で日本文化を問うてきた松岡正剛氏。袖振る万葉からJ-POPまで、百月一首から琉歌まで、氏の詩歌・歌謡論をリミックス。いわば『にほんとニッポン』の文学版。「うた」に日本的構想の起源をみ、歌を忘れた現代人のために贈る書。



    ■目次より

    はじめに

    【ひぃ】 うたの苗床——音と声と霊

    方法の声
      五七の韻律/オノマトペイアの凄み/型を「やつす」/神々の原郷と見立て…
    目当てと景色
      ムスビの形態共鳴/「おとづれ」を待つ/お客様は神様です…
    文字霊か言霊か
      増殖するアヤ/物語の原型/語り部の時代/語り部の編集方法/文字霊到来…

    【ふぅ】 記紀万葉のモダリティ——古代

    袖振る万葉
      『古事記』『日本書紀』の意図と様式/万葉の呪術/万葉仮名システム…
    代作と枕詞
      文芸にむかう呪詞/人麻呂の「安騎野の冬猟歌」/枕詞の自覚/「まにまに」の間…
    漢詩を少々
      陶淵明の「神」/李賀の「鬼」/蘇東坡の「澄」…

    【みぃ】 仮名とあわせと無常感——平安

    擬装する貫之
      和歌という方法/貫之登場、道真退場/真名序と仮名序/付託の歌…
    浄土と女房
      ヒメたちの「あはれ」/清少納言の「あてなるもの」/アーカイブとしての『源氏』…
    いろはと五十音
      風の文字/「書」の発揚/無常は速い/良寛の音韻論/読経の真行草…

    【よ】 百月一首——うたの幕間まくあい

    【いつ】 数寄の周辺——中世

    消息の拡大
      「女手の自覚」と「風の文化」/準備される数寄/西行の花/「虚」から出て「虚」へ
    古今と今様
      流行する歌謡/歌謡曲の起源/「達磨歌」への太鼓判/『百人一首』の真相…
    すさびと念仏
      数寄の最後/非執着の執着/芸能ディレクター集団「時衆」/道元の山水…
    連歌の時分
      物狂い—能の前景/幽玄の本質/狂言の言霊/一休文化圏/連歌から茶の湯へ…

    【むぅ】 道行三百年——近世

    俳諧の企み
      近松の情と無常/西鶴阿蘭陀流/芭蕉の革命/「滑稽」から「風雅」へ/一茶の大小…
    歌う国学
      真淵の「わりなきねがい」/宣長の命懸け/三味線の言葉/「心中」弾圧と新内…

    【なな】 封印された言葉——近現代

    断絶の近世
      言葉の文明開化/露伴の贈り物/漢詩の漱石/子規の加速度/言葉の生きざま…
    寅と鬼と童
      茂吉の無辺/ココア色のアナキスト/与謝野晶子に脱帽/第七官界の文学…
    世紀の背中
      琉歌と折口/「こぶし」の東西/『月下の一群』感覚/寺山修司の唄いかた…

    人名索引
    作品索引
    あとがき



    ■著者紹介:
    松岡正剛 (まつおか・せいごう)

    1944年1月25日、京都に生まれる。早稲田大学中退後、高校生のための読書誌「ハイスクール・ライフ」編集長を経て、1971年、オブジェ・マガジン「遊」創刊とともに、工作舎を設立。80年代初頭より日本美術文化全集「アート・ジャパネスク」の総合編集を担当。1982年に工作舎より独立、87年、編集工学研究所を設立。2000年から、ウェブ上ブックナビゲーション「千夜千冊」をスタート、現在も継続中である。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。2020年オープンした角川武蔵野ミュージアム館長。俳号「玄月」。

    松岡正剛さん





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