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ヴァレラ他『身体化された心』増刷出来


身体化された心書

「オートポイエーシス」のフランシスコ・ヴァレラ自らが「最も重要な著書」と語る名著、『身体化された心』の第5刷が9月にできました。

世界は、われわれから独立して存在するのか? 仏教思想をもとに、従来の認知科学の前提に根本的な疑問を投げかけ、認知を「身体としてある行為」と見るエナクティブ(行動化)・アプローチを提唱します。




■目次より

序論

第1部 出発の根拠

 第1章 根元的な循環性:反省する科学者の心
     既定条件
     認知科学とは何か?
     循環する認知科学
     本書のテーマ
 第2章 「人間経験」とは何か
     科学と現象学的な伝統
     現象学の瓦解
     非西洋的な哲学伝統
     三昧(マインドフルネス)/覚(アウェアネス)の方法を用いた経験の検討
     経験の分析における反省の役割
     実験と経験分析

第2部 認知主義の多様性

 第3章 記号:認知主義の仮説
     不確かな基礎
     認知主義仮説の定義
     認知主義の現れ
      人工知能における認知主義/認知主義と脳
      心理学における認知主義/認知主義と精神分析
     認知主義と人間経験
     経験と計算する心
 第4章 嵐の私(I:アイ)
     「自己」の意味
     五蘊のなかに自己を捜すこと
      色蘊:身体
      受蘊:感受作用
      想蘊:表象
      行蘊:形成作用
      識蘊:意識
     刹那と脳
     自己のない五蘊

第3部 創発の多様性

 第5章 創発特性とコネクショニズム
     自己組織化:ある選択肢の根源
     コネクショニストの戦略
     創発と自己組織化
     今日のコネクショニズム
     ニューロンの創発
     記号の退場
     記号と創発を関連づけること
 第6章 自己のない心
     心の社会
     対象関係論の社会
     縁起(共依存的な生起)
      1.無明(無知)
      2.行(意思作用)
      3.識(意識)
      4.名色(みょうしき)(心身の複合体)
      5.六処(六入、六つの感覚)
      6.触(接触)
      7.受(感覚)
      8.愛(渇望)
      9.取(執着)
      10.有(転成)
      11.生(誕生)
      12.老死
     ダルマ分析
      1.触(接触)
      2.受(体感)
      3.想(識別)
      4.思(意思)
      5.意(注意)
     三昧と自由
     自己のない心:分割されたエージェント
     世界に留意(マインド)すること

第4部 中道へのステップ

 第7章 デカルト主義の不安
     不満の感覚
     表象再考
     デカルト主義の不安
     中道へのステップ
 第8章 行為からの産出:身体としてある認知
     常識の回復
     自己組織化の再検討
     ケーススタディとしての色
      色の出現/知覚される属性としての色
      色はどこにあるのか/カテゴリーとしての色
     身体としてある行為としての認知
      ハイデガー流の精神分析
     自然選択への退却
 第9章 進化の道程とナチュラル・ドリフト
     適応主義:生物変移の考え方
     様々なメカニズム
      連鎖と多面発現性/発生/ランダム遺伝子ドリフト/平衡状態/選択の単位
     斬新な進化/認知観を求めて
     進化:生態学と発生の同調傾向
     ナチュラル・ドリフトとしての進化から学ぶこと
     エナクティブ・アプローチの定義
     エナクティブ認知科学
     結論

第5部 根拠なき世界

 第10章 中道
     無根拠性の喚起
     ナーガールジュナと中観派の伝統
     二つの真理
     現代思想における無根拠性
      間(entre‐deux)の欠如/
      解釈主義/
      変容の可能性
 第11章 踏みしめつつ道をつくること
     循環している科学と経験
     ニヒリズムと惑星思考の必要性
     西谷啓治
     倫理と人間の変容
      社会科学からの視点/       慈悲:根拠なき世界
      結論

訳者あとがき
付録/注/参考文献/索引



■著者紹介

フランシスコ・ヴァレラ Francisco Varela
1946年、チリに生まれる。生物学者(認知科学)。フランス国立科学研究センター研究部長。邦訳書に『オートポイエーシス』『知恵の樹』(共にマトゥラーナとの共著)がある。2001年5月、パリにて死去。






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