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あなたの帰りがわかる犬[詳細]

目次本文より著者紹介関連図書書評


動物の中には既知の感覚を越えた
知覚能力をもっているものが確かにいる!

「わたしたちが一番よく知っている動物たちこそ、
わたしたちに多くのことを教えてくれるのだ。
キュートで、可愛くて、慰めや悦びとなってくれるだけではない、
新たな生命観を教えてもくれるのである。」
(まえがきより)




■目次より

はじめに
序論

第1部 ヒトと動物の絆

●第1章 動物の家畜化
◎ヒトと動物の絆の歴史 ◎イヌの家畜化 ◎他の種の家畜化 ◎ペットの飼育 ◎ 動物間の社会的な絆 ◎社会的な絆の本質

第2部 飼主がいつ家路についたかがわかる動物たち

●第2章 イヌ
◎日課にすぎないのでは? ◎飼主が近づくのを嗅ぎ分けるのか? ◎飼主が近づくのを聞きとるのか? ◎バス、電車、飛行機で帰る場合 ◎テレパシー反応の様々な様式 ◎休暇や長期不在から帰る場合 ◎イヌと人間の絆 ◎テレパシーなのか、予知なのか? ◎考えが変わるときに起こること ◎飼主がいつ帰路についたかがわかるイヌの一般性 ◎多くのイヌが反応“しない”理由 ◎品種による違いはあるのか? ◎イヌの行動日誌 ◎ジェイティーの予期行動 ◎ジェイティーを使ったビデオ実験
●第3章 ネコ
◎ヒトが帰途にあることを知る能力 ◎日誌をつけること ◎忌避反応 ◎イヌとネコの比較 ◎休暇や長期不在からの帰宅
●第4章 オウム、ウマ、その他の動物
◎オウム ◎オウム科の仲間 ◎ニワトリ、ガチョウ、フクロウ ◎爬虫類と魚類 ◎モルモット、フェレット、他の小動物 ◎サル ◎ウマ ◎ヒツジ ◎ヒト

第3部 動物の共感作用

●第5章 慰めと癒しの動物
◎ペットを飼うことは健康によい ◎慰めるネコ ◎献身的なイヌ ◎自殺を防ぐ動物 ◎セラピストとしての動物 ◎カウンセラーとしてのペット ◎死後も忠実なイヌ
●第6章 遠くの災難への反応
◎イヌと遠方での事故 ◎飼主が死んだときに吠えるイヌ ◎飼主が死ぬとイヌが遠吠えをする理由 ◎遠くの災難に対するネコの反応 ◎遠くで動物が死んだときの人間の反応 ◎他者の死を感知する人間

第4部 意図、呼び声、テレパシー

●第7章 意図をつかむこと
◎「心を読む」動物 ◎獣医へ連れていかれる前に消えるネコ ◎他の忌避反応 ◎散歩を予知するイヌ ◎車で連れてゆかれることがわかるイヌ ◎飼主が当分戻らないことを感知するペット ◎これから餌をもらえることがわかる ◎ウマ ◎ボノボ(ピグミーチンパンジー)
●第8章 テレパシーの呼び声と命令
◎動物のテレパシー体験の一般性 ◎ネコを呼び出すこと ◎イヌ ◎ウラジミール・ベクテレフの実験 ◎盲導犬 ◎ウマ ◎双方向のコミュニケーション ◎人間を呼ぶネコ ◎迷いネコの呼び声 ◎窮地にあるイヌ ◎窮地にあるウマ、ウシ、他の動物 ◎動物のことばがわかる人間 ◎テレパシーの電話コール ◎電話に応えるネコ ◎イヌと電話 ◎特定の人物からの電話であることがわかる人々 ◎電話のテレパシーに関する研究
●第9章 動物同士のテレパシー
◎超個体としての社会性昆虫 ◎魚の群れ ◎鳥の群れ ◎群れ内部のテレパシー ◎ウマをつかった実験 ◎イヌとウサギをつかった実験 ◎動物のテレパシーに共通した特徴 ◎テレパシーは離れたところでしか作用しないのか?

第5部 方向感覚

●第10章 奇跡の旅
◎帰還するイヌ、ネコ、ウマ ◎他の帰還する動物 ◎帰還するネコやイヌをつかった実験 ◎ペプシをつかった実験:複数の目的地 ◎方向感覚 ◎野生動物や野生化した動物の縄張り ◎ハトの帰巣 ◎人間の方向感覚
●第11章 渡りと記憶
◎太陽、恒星、方位感覚 ◎海を渡るもの ◎方向感覚、形態場、先祖の記憶 ◎渡り鳥を用いた実験 ◎新たな渡りパターンの発展
●第12章 帰途にあることがわかる動物たち
◎車で移動する動物 ◎馴染みの目的地につくこと ◎いつもと違う経路をとる場合 ◎馴染みの場所と見知らぬ場所 場所よりも人間に反応する場合 ◎テレパシーを検証する簡単な実験
●第13章 遠方にいる飼主を見つけるペット
◎においによって見つけたのか? ◎遠方にいる人間を見つけること ◎飼主の墓を見つけるイヌ ◎仲間を見つける動物 ◎仲間との絆と場所への絆

第6部 動物は予告する

●第14章 発作、昏睡、突然死の予知
◎危険・恐怖・警告 ◎てんかんとは何か? ◎イヌの予告行動 ◎アンドリュー・エドニーの先端的な研究 ◎ネコとウサギ ◎発作警告犬の訓練 ◎どうしてわかるのか? ◎ペットと糖尿病 ◎癌の診断 ◎他の病気を警告する動物 ◎突然死の予感
●第15章 地震や災害の予感
◎地震の予知 ◎カリフォルニア州の動物をもちいた研究 ◎動物に基づいた地震警報システム ◎地震予知のメカニズム ◎嵐の警告 ◎空襲の警告 ◎他の予知現象 ◎ヒトの事前認知力

第7部 結論

●第16章 動物の能力と人間の心
◎動物の知覚とサイキック研究 ◎意図のパワー ◎見つめられている感覚 ◎動物の不可解な能力の解明 ◎不可視の相互連結 ◎形態場 ◎動物からの教訓
●付録A:研究へ参加する方法
◎動物との体験談を書くこと ◎個人体験を書くこと ◎動物の行動について日誌をつけること ◎独自のデータベースを作成すること ◎知覚の鋭いペットに関する調査研究 ◎ペットに関する実験 ◎見つめられている感覚に関する実験 ◎テレパシーの電話コールに関する実験
●付録B:ジェイティーを使った実験
◎データの分析 ◎三〇回の通常帰宅実験 ◎帰宅時間を無作為にしたビデオ実験 ◎ジェイティーが他の環境下に置かれた実験
●付録C:形態場
◎形成的因果作用の仮説 ◎量子物理学との関連 ◎形態場に関する実験 ◎生物学における形態共鳴 ◎人間の学習における形態共鳴 ◎人間のパフォーマンスの経時変化 ◎形態場の意義



■本文より

飼主が電車やバスで帰ってくるときを感知するイヌよりさらに驚かされるのは、飛行機で帰ってくるときを感知するイヌであろう。この種の逸話は第二次世界大戦の頃に多いが、当時はイヌを軍用飛行場で飼うことが一部のパイロットに許されていた。例えば、飛行中隊長のマックス・エイトケンは、第68飛行中隊の基地でラブラドルを飼っていた。彼に仕えていたエドワード・ウルフの話では、「飛行中隊の一機か二機が飛行作戦から帰還してくると、それまでゴミ溜まりにじっとしていた彼の黒いラブラドルがすっくと立ちあがり、外へ猪突猛進するんだ。ははん、マックス・エイトケンのお帰りだな、とみんなわかったものさ」。
滑空中隊のパイロットである飼主に対して反応するイヌに関する似たような報告も受けとったが、滑空機の場合はほとんど音がしないのである。
少なくとも一つの事例で、イヌが特定の飛行機の爆音に反応しているのではないかという可能性が検証された。この事例もラブラドルだが、英国空軍の将官である飼主の帰還に反応するのである。「彼は、ご主人様が飛立つのをじっと眺めてから、じっとしてときを待ちました」とは、J・グリーニィ氏の報告である。「同じ飛行機が戻ってきても、犬はピクリともしませんでした。どうやらしくじったな、と誰もが思いました。しかし、間違ったのは人間たちで、その犬ではなかったのです。彼の主人はそのなかにいなかったのですから。しばらくして、違う飛行機がいつもとは反対の方角から近づいてきました。すると奴さんは飛び上がり、興奮して尻尾を振るじゃありませんか。そうです、待ち人はそれに乗っていたのでした」。(本文より)




■著者紹介:ルパート・シェルドレイク Rupert Sheldrake

ケンブリッジ大学で自然科学を修めた後、ハーヴァード大学で1年間哲学と科学史を学ぶ。ふたたびケンブリッジに戻り、生化学で博士号を取得。1967年から73年まで、同大学で生化学と細胞生物学の研究員・講師をつとめながら植物発生学や細胞老化の研究を推進。英国王立協会会員。
処女作『生命のニューサイエンス』(1981年、邦訳1986年)は『ニューサイエンティスト』誌をはじめアーサー・ケストラーやライアル・ワトソンなど、来るべき科学を見つめる人たちから称賛された。1994年に刊行された『世界を変える七つの実験』はイギリスおよびインドでベストセラーとなり、同年の英国社会創造研究所のベストブック賞を受賞。アメリカPBSのテレビシリーズでも中心テーマがとりあげられ、話題を呼んだ。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 生命のニューサイエンス  ルパート・シェルドレイク 工作舎 1986年 2200円
  • 世界を変える七つの実験  ルパート・シェルドレイク 工作舎 1997年 2200円
  • 犬たちの知られざる超能力  ジョエル・ドゥハッス 早川書房 2002年 1500円 
  • ソロモンの指輪  コンラート・ローレンツ 早川文庫NF 1998年 580円 
  • 動物たちの不思議な事件簿  ユージン・リンデン 紀伊国屋書店 2001年 2000円 
  • 犬たちの隠された生活  エリザベス・マーシャル トーマス 草思社 1995年 1600円 
  • 猫たちの隠された生活  エリザベス・マーシャル トーマス 草思社 1995年 1600円



  • ■書評

    bk1 書評
    ペットを愛するすべての人に贈る必読書
    『世界を変える七つの実験』という意欲的な前作が出版されてから6年、その第1章で論じられていた「ペットは飼い主がいつ家路についたかを感知する?」をスペシャル・フィーチャーしたのがこの本です。工作舎のHPで近刊予告されていたので、シェルドレイク・ファンのボクとしてはとても待ち遠しい刊行でした。シェルドレイク博士は5年の歳月を費やし、不思議な能力を発揮する動物たちの事例をイギリス国内外から徹底的に収拾して、今回その調査研究結果を惜しげもなく読者に披露してくれています。 bk1サイト全文へ >>>

    東京新聞「今週の本棚」(2003.2.27)
    …身近だからこそタブー視され、研究されてこなかったペットたちの不思議な力を、まじめに突き止めようとする科学者が、5年をかけ集めた事例とそこから導き出した考察。うちのポチ、隣のミャーコに学ぶ未知の感覚の世界。

    『ダ・ヴィンチ』(2003.4月号「絶対読んでトクする20冊」)
    ペットを飼った経験がある人だったら、彼らの不思議な能力については気づいているだろう。…これらの不思議な能力をオカルトや神秘主義ではなく科学的に語っているのが本書である。飼い主とペットの関係で不思議な能力を発揮する場合、筆者はテレパシーだと書いている。確かにそういう現象があることはよくわかるのだが、具体的にいったいどんな能力なのかということはまだまだこれからのようだ。読後、ひょっとしたら人間も昔は持っていたかもしれない能力に思いを馳せた。そういう意味でもロマンあふれる本であった。

    『愛犬ジャーナル』(2003.3月号)
    …数多く収録したエピソードは微笑ましいものもあれば、涙を誘うものもあり、読み物としても十分楽しめる内容になっています。

    塩野米松氏書評(2003.2.2 産経新聞)
    人間とペットの不思議な絆
    …こうした能力は不思議ではあるが、まともな研究対象にされたことはなかった。それは相手がペットだったからだ。しかし、ときにはまともに取り上げた研究者もいた。この本の著者もその一人である…

    井狩春男氏(週刊ダイヤモンド 2002.12.28/2008.1.4合併号)
    たいがいのことは、まだ全部わかっていない。医学にしても、わからないことは、あまりにも多い。わからないことだらけだから、それを探ろうとする本たちが読まれることになる。この本もそうだ。──タイトルのように、ペットは飼主の帰宅を予知する。電車やバスで帰ってくる時間を感知するのはよくある話だが、飛行機で帰ってくる時間まで感知してしまうイヌがいるというのはオドロキである──「身近な動物たちの不可解な能力を科学的に解明」する本だが、オモシロく読める。ペット自体が身近で、それに、売れる定番の「謎、不思議」が絡んで、90ポイント。




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