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茶室とインテリア[詳細]

目次 著者紹介関連図書関連情報書評



日本人は、なぜ靴を脱ぐ!?

欧米型ライフスタイルになれ親しんだ日本人も、
玄関を入るとあたりまえのように靴を脱ぎ、
リビングルームではフローリングの床に座りたがる。

これまで長い間、インテリアデザインは、
そんな日本人のベーシックな身体感覚に目をふさぎ続けてきた。
海外において伝統的な日本のライフスタイルへの関心が高まる現在、
あらためて「茶室」や「縄文」、「数寄」や「見立て」などのうちに隠された
日本的デザインのエッセンスを通じ、暮らしの将来を描き出す。

内田繁デザイン茶室



■目次より

第1章 座——脱ぐ文化、座る文化
靴を脱ぐ日本人……… 家具としての住居……… 水平の世界での暮らし……… 神籬(ヒモロギ)と銀座煉瓦街……… うつろい、うつし、うつわ……… 道具としての障子……… 千利休の裏切り……… 身体感覚とインテリア・コーディネーション……… 空間をウツに戻す

第2章 間——柔らかな仕切り
近代建築の冒険……… 壁から解放された西洋……… 「日本的なるもの」をめぐって……… 隙間と異界……… 引きちがい戸の発明……… バリアフリーの問題……… 「狭さ」に遊ぶ

第3章 風——涼味の演出
建築の衣替え……… 床下の風……… 涼しさのデザイン……… 密室のない日本……… 光、闇、音

第4章 水——浄と不浄
聖なる物質……… 湯舟の将来……… 丿貫(へちかん)の企み……… 台所と井戸端会議……… 空間の見立て

第5章 火——炎の記憶
中心軸としての火……… 「家」を繋ぐ……… 炉と竈……… プライバシーのない西洋……… 「ひえかぶる」文化……… 炎のパッケージ……… 闇の防御……… 神様のいない部屋

第6章 談 interlude 小堀遠州の茶室にて——内田繁+小泊重洋
遠州の現代……… 棚の人……… デザイナー遠州……… 茶の湯を娯楽にする

第7章 飾——空間の物語
壁への憧憬……… スーパーフラットの時代……… ソットサスの実験……… アラッドの挑戦……… 「一般」という名の怪物……… 装飾が語りはじめるとき……… 「見立て」と「あわせ」

第8章 祀——祈りと季節
箱としての仏壇……… 厨子のデザイン……… 繰り返しの力……… クリスマスと大黒柱……… 俳句とお正月

第9章 色——彩りの力
美しくない都市……… 色の日本史……… 建築の赤……… 侘びる色、錆びる色……… 風土と色彩……… 藍、茶、鼠……… 空間を彩る……… 近代の白……… 色は匂へど

第10章 心——住まいの将来
文化の根源へ……… 欲望の道具……… 壊れやすさの美……… 「ただいま」を生きる……… 精神の機能性……… 「数寄」の復権……… 空間の数寄、時間の数寄……… 殺す家と救う家

あとがき
扉ドローイング:内田 繁



■著者紹介:内田 繁 (うちだ・しげる)

インテリアデザイナー。1943年 横浜生まれ。毎日デザイン賞、芸術選奨文部大臣賞等受賞。紫綬褒章受章。専門学校桑沢デザイン研究所所長を務める。メトロポリタン美術館(NY)、モントリオール美術館等に永久コレクション多数。日本を代表するデザイナーとして国際的評価を受けるなか、世界各国での講演、国際コンペティションの審査、ミラノ、ニューヨーク、ソウル等での展覧会、世界のデザイナーの参加するデザイン企画のディレクションなど、つねにその活動が新しい時代の潮流を刺激し続けている。
代表作に山本耀司のブティック一連、ホテル イル・パラッツォ、神戸ファッション美術館、茶室「受庵・想庵・行庵」、 クレストタワー一連の内部空間、オリエンタルホテル広島他。著書に『インテリアと日本人』、『茶室とインテリア』『普通のデザイン』『デザインスケープ』『戦後日本デザイン史』など多数。

内田繁の作品[Recommended Image]内田繁のインテリアの世界 >>>



■関連図書(表示価格は税別)

  • 日本人とインテリア 内田 繁 晶文社 2000円
  • 家具の本 内田 繁 晶文社 2840円
  • INTERIOR DESIGN 空間の関係・イメージ・要素 内田 繁 六耀社 3200円
  • デザイン12の扉 内田 繁+松岡正剛が開く 丸善 2500円
  • 普通のデザイン  内田繁  1800円
  • デザインスケープ  内田繁  2400円
  • 空間に恋して  象設計集団=編著  4800円
  • 美の匠たち 佐藤徹郎  2800円
  • 花と華  形の文化誌[6]  2600円
  • 芸道の形  形の文化誌[9] 2500円



  • ■書評

    pen 2006.1/1・15 新年合併号 書評
    靴を脱ぎ、床に座る、日本人の暮らしを振り返る。
    …西洋建築は壁を作り、家具を並べ、常に垂直を意識し、日本建築は水平感覚を重視してきた。しかし千利休は壁で囲んだ茶室を造り、掛け軸を飾るなど、垂直概念を取り入れた。数奇は茶の湯に通じる言葉だが、千利休は、自らの『好き』を追求することで、垂直感覚を昇華。日本における空間概念を確立する上で、大いに参考になる。

    ホームシアターファイル 2006.1・2月号 書評
    日本人はなぜ靴を脱ぐのだろうか? 身体に根づいた伝統的な感覚の秘密
    横山 稔(インテリア・デザイナー、静岡文化芸術大学助教授)

    『茶室とインテリア』では、現在までに数々の茶室をデザインした経験から、インテリアデザインの原点が茶室にあるということを、伝えています。…茶の湯とは、本来自然と対話することでもありました。現代は高層ビルに代表されるような五感を遮断した人工空間の住居やオフィスが都市部に増殖してきています。内部では自然の変化を感じることは難しく、季節の行事や儀礼を生活の中に取り入れることが稀です。本書は現代人のライフスタイルを見つめなおすきっかけを与えてくれます。

    ブレーン 2005.12月号 書評
    …住宅が西洋化しても、なぜ日本人は靴を脱ぐのか? その質問ひとつを考えてみても、東と西の文化とどう日本人が付き合ってきたのか、多くの考察を得ることができる。暮らしの空間を考えることは、そのまま文化を考えることに直結している。






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