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アインシュタイン、神を語る[詳細]
Einstein and the Poet

目次著者紹介関連図書書評編集現場


「聖なる好奇心をもちたまえ。
 人生を生きる価値のあるものにするために」

ナチ抬頭/米国亡命/プリンストン高等学術研究所/原爆/預言者アインシュタイン




■目次より

対話1 アインシュタインとの出会い

 序◎ヒトラーとナチの跳梁下で
 最初の対話──  1930年3月4日
不吉な出会い/天体のハーモニー/相対性理論は両刃の剣/あわやテロの犠牲に/迫り来るファシズムの足音

対話2  宇宙的宗教

 序◎米国亡命と新たな信仰との出会い
 二回目の対話──  1943年8月
プリンストンのアインシュタインの部屋/反ナチ活動の挫折と命がけのドイツ脱出/現実的平和主義への転向/物質は実在するのか/自然法則と神/キリスト教の功罪/宇宙的宗教の意義

対話3 アインシュタインの宗教観

 序◎またもシンクロニシティの兆し
 三回目の対話──  1948年9月14日
ユダヤ人、アインシュタイン/相対性理論をめぐる科学者たち/宇宙・神・宗教──それぞれの二つの理論 /ヒトラーの反ユダヤ主義/宇宙的宗教の確立のために/直観とシンクロニシティの導き/良心の教会/宇宙的宗教の教義とは

対話4 世界平和と科学者の責務

 最後の対話──  1954年
ユダヤの聖母/戦前のドイツ指導層の運命/宇宙的女性たち/ドイツ知識人たちの運命/世界連邦政府構想/良心と倫理観/知性よさらば/聖なる好奇心をもつこと/預言者アインシュタイン

エピローグ──  アインシュタインの衣鉢を継いで



■読みどころ

◎ナチ抬頭の1930年から1954年の晩年まで、激変する時代状況の中で、一人の詩人が追い続けたアインシュタインの宗教観。それぞれの対話の時代背景、面会の状況が興味深い。

対話1:ヒトラーの対抗馬としてアインシュタインを担ぎ出すべく面会する。戸外に待つ不審な男におびえ、二人で裏口から抜け出し警察に走る。

対話2:共に米国亡命して再会。アインシュタインが信じる宇宙的宗教に共鳴する。それは宗派を超え、人格神も要らない、宇宙の法則だった。

対話3:熱心なプロテスタントの牧師を同行。アインシュタインは彼の原理主義的発言に頭をかきながら、宇宙的宗教の必要性を語る。

対話4:勉強に挫折した物理学の学生を同行。彼を励ますアインシュタインの言葉が感動をよぶ。

・「疑って何が悪いかね? 私は、人の言うことすべてを疑った。自分で答えを見つけようとしたんだ。」

・「なぜ疑問に思うのか考えないように。答えが出ないからと悩む必要はない。わからないものに説明をつけてしまわないことだ。好奇心には、それなりの理由がある。永遠の神秘、生命の神秘、そして実在の背後にある驚くべき体系の神秘を思うとき、畏怖の念を覚えないかね?」

・「大宇宙と小宇宙の中間に存在することを満足に思うべきだ。じっと我慢し、そして畏怖の念をもつんだ。成功者ではなく、価値ある人間になるように努力するんだ。」

・「孤独になるんだ。そうすれば真実を求めて、あれこれ考える時間ができるよ。聖なる好奇心をもちたまえ。人生を生きる価値のあるものにするんだ。」

◎生身の人間アインシュタインの苦悩、人類愛、世界平和の願いも描き出される。戦争と平和をめぐる思想書でもある。



■著者紹介:ウィリアム・ヘルマンス William Hermanns

ドイツ生まれの詩人。フランクフルト大学で社会学の博士号を取得。渡米後、合衆国戦略事務局(CIAの前身)を経て、ハーヴァード大学、州立サンノゼ大学、スタンフォード大学にて教鞭をとる。スタンフォード大学フーバー研究所名誉教授・客員研究員。他に「ホロコースト(The Holocaust - From A Survivor Of Verdun, Harper & Row,N.Y.,1972)」の著書がある。




■関連図書(表示価格は税別)

  • アインシュタインの部屋 上下    エド・レジス 各1800円
     プリンストン高等研究所に集ったアインシュタイン、オッペンハイマーら大科学者たちの生活を描く。ゲーテルはそこで餓死したそうだ。
  • 二人のアインシュタイン  D・トルブホヴィッチ=ギュリッチ 2400円
     『神を語る』以前のアインシュタインの素顔。負の側面でもある、最初の妻にして共同研究者ミレヴァの伝記。



  • ■書評

    2015.10 ブッククラブ回ニューズレター
    相対性理論などで著名な物理学者アインシュタインと、社会学者、詩人でもある著者が、宇宙的宗教ついて語る。文中に綴られている対話からは、普段表立って語られることのないであろう彼らの内面、哲学などを知ることができる …

    2015.9.26 紀伊民報
    …(翻訳者の)神保さんは古座町(現串本町)出身。エネルギー開発関連事業のシンクタンク研究員だったころに同書を翻訳した。2002年にUターンし、現在は南紀伊熊野ジオパークガイドの会会長を務めるなど地域振興に取り組んでいる。
    神保さんは訳者後書きで「ナショナリズム、民族主義、宗教イデオロギーにとらわれるのをやめて、『原則は人のためにつくられるのであって、原則のために人があるのではない』というアインシュタインの言葉を、いま一度かみしめたい」と述べている。

    2015.8 みるとす
    …理想とそれを打ち砕く現実を見据えながら、天才科学者はそれでも希望を失わない。「信じる価値がのあるものが存在するのか」と問う若者に、「私は人の友愛と個人の独創性を信じている」と答えたアインシュタインは、この世界をヘルマンスとそれに続く若い世代に託す。
    ヘルマンスはアインシュタインを「預言者だ」と言った。
    「人心を変えねばならない」そして「今生きている者は、これから起こることに責任がある」。テロリズムという新たな脅威が出現した現代を生きる私たち一人一人に、アインシュタインの言葉は色あせることなく語りかけてくる。

    2000.11.20 創価学会名誉会長 池田大作氏
    九州で講演し、『アインシュタイン、神を語る』多数引用(聖教新聞記事より)

    2000.10.27 日本教育新聞 野口芳宏氏 (北海道教育大学教授)書評
    「珠玉の言葉に出合えた喜びは大きく、強い」

    サイアス 2000.8月号
    週刊金曜日 2000.6.16号で訳者、雑賀紀彦(神保圭志)氏が自著を語る  再録
    2000.6.23付 週刊読書人 板垣良一氏書評  再録
    2000.6.16 日刊ゲンダイ
    2000.6.14 聖教新聞
    日経サイエンス 2000.7月号
    原子力EYE6月号(日刊工業出版プロジェクト刊)
    2000.5.14 日本経済新聞書評 再録
    2000.4.23 毎日新聞 中村桂子氏書評 再録




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