[詳細] キーワード検索HOME
 目次 著者紹介関連図書書評目録へ戻る(定価ほか)


不死テクノロジー[詳細]




■目次より

マニア:世紀末のマッド・サイエンティストたち
  冷凍か死か:アルコー延命協会
  分子サイズの修復ロボット:エリック・ドレクスラー
  電脳人間天国:ハンス・モラヴェック
  20世紀末の傲慢性躁鬱病
  もはや前進あるのみ


1 トルーアクス:寄せ集めロケットで宇宙へ行こう!
  民間宇宙飛行時代を呼ぶ男
  アナポリスのロケット屋
  ゴダート vs トルーアクス
  空飛ぶオートバイ
  テスト飛行は惨劇寸前
  10万ドルで貴方も宇宙へ!


2 ラグランジュのふるさと:L5結社の仲間たち
  ジェラルド・K・オニールと宇宙の巨大都市
  アリゾナのハイテク・スーパー爆弾カップル
  地球 vs スペース・コロニー
  ガニメデの宇宙農場
  L5結社誕生
  宇宙植民 vs 環境保護


3 首が飛ぶぞ:恐怖と希望のクライオニクス
  キース・ヘンソンとクライオニクス
  危うし! アルコー!
  『アメージング・ストーリーズ』から『不死の展望』へ
  蘇った猫、犬、蛙
  「胎児の冷凍保存は人類の尊厳に対する罪」
  マイケル・ダーウィンとクライオニクスの進化


4 豊富全能株式会社:ナノテクノロジーと人類の未来
  ファインマンとナノテクノロジー
  ドレクスラー、オニールに会う
  モーター仕掛けのDNA
  脳と記憶の復活
  アセンブラーの「うす気味悪い問題」
  1942年のナノテクSF小説


5 ポスト生物人間:「心」の超文明をめざして
  「人間性」を超えて生きる
  心は情報である:アーサー・C・クラークとシャノン
  ロボットになりたい!
  電子旅行とバックアップコピー
  全知全能は日常茶飯事
  「魂」の子供たち


6 人工生命4-Hショー:第1回AL会議
  原爆のふるさと、人工生命のふるさとになる
  時計仕掛けのオートマトン
  ドルイド教「ミーム」の繁殖
  人工生命の生みの親、ラングトン
  肉体をもったコンピュータ・ウイルス
  「ウラヌス」こそ成果、進歩の証し


7 よりよい宇宙操縦のヒント:天然資源としての星
  太陽を分解する!?
  ダイソン球、光帆、人工超新星:マクロ工学の冒険
  デーヴィッド・トムソン怒る
  スペース・コロニーは楽園ではない
  古代ポリネシア人の航海術に学ぶ
  「土星の環を救え」? 未来のエコロジー論争


8 不可能という言葉は死んだ:宇宙工学とSF
  フォワードの「型破りの物理学」
  光帆のアイディア
  ウェーバー、ノーベル賞を取り逃がす
  2人の重力狂:ウェーバーとフォワード
  フリー・フォール・パビリオンへようこそ
  タイム・トラベル:現在・過去・未来がなくなる日


9 みんな愉快にやろうじゃないか:はるかなる縁パーティ
  銀河系の向こうで会いましょう
  宇宙の死の宣告
  意識と知性は宇宙の救世主
  宇宙のエネルギー源:ブラックホールから宇宙銀行まで
  罪って何? 「縁を超える」思想家たち
  「問題はすべて解決できる」

エピローグ:マッド・サイエンティストその後
  ドレクスラーとナノテク学者その後
  ハンス・モラヴェックその後
  アーサー・C・クラークその後
  人工生命会議その後
  デイブ・クリスウェルその後
  フランク・ティプラーその後、そして本当の終わり




■著者紹介:エド・レジス Ed Regis

メリーランド州在住のサイエンスライター。哲学博士。趣味は飛行機、パイロットの個人免許をもつ。1985年、地球外生命についてのアンソロジーを編集してケンブリッジ大学出版局より刊行、アカデミズムの側からSF的なテーマに接近する。1987年、プリンストン高等研究所を舞台に天才たちの人間ドラマを描いた『アインシュタインの部屋』が世界的ベストセラーとなり、一躍時の人となる。2作目の本書ではクライオニクスから人工生命まで、永遠の命を追求する究極のテクノロジーをドキュメント。3作目の『ナノテクの楽園』では、本書にも登場するナノテクノロジーの発想者エリック・ドレクスラーが決してマッド・サイエンティストではないことを明らかにしながら、超微小エンジニアリングの醍醐味を余すところなく描き出す。
 邦訳はほかに『ウィルス・ハンター CDCの疫学者たちと謎の伝染病を追う』(早川書房)、『悪魔の生物学 日米英・秘密生物兵器計画の真実』(河出書房新社)がある。




■関連図書

アインシュタインの部屋  天才たちの奇妙な楽園 E・レジス 上・下 各1800円
ナノテクの楽園  万物創造機械の誕生 E・レジス 2800円
思考の道具箱  情報・数・空間・論理・無限 R・ラッカー 3800円
四次元の冒険  幾何学・宇宙・想像力 R・ラッカー 2806円
プラニバース  二次元生物との遭遇 A・K・デュードニー 2903円
奇天烈紳士録  あっぱれな人生と奇妙な信念 J・ミッチェル 2500円
眠りの魔術師メスマー  モーツアルトを癒した男 J・チュイリエ 2900円
エラズマス・ダーウィン  破天荒な発明家・詩人・医者の生涯 D・キング = ヘレ 6500円
大博物学者ビュフォン  18世紀フランスの変貌する自然観 J・ロジェ 6500円
ダーウィン 世界を変えたナチュラリストの決定版伝記 A・デズモンド+J・ムーア 18000円
ロシアの博物学者たち  マルサスぬきの進化論の系譜 D・P・トーデス 3800円
地球外生命論争1750-1900  カントからロウエルまでのETをめぐる思想大全 M・クロウ 20000円




■書評

佐倉統氏(『科学』1993年9月)
「著者エド・レジスは、前作『アインシュタインの部屋』でも軽妙な冴えた筆致で科学者たちを活写していたが、今回はもっと過激に、科学や技術そのものにも焦点をあて、それを繰り出す世紀末の“マッド・サイエンティスト”たちの挙動を横糸に、豪快なテンポでハード・サイエンス・ルポルタージュを織りあげた。 取り上げているテーマは幅広く、宇宙旅行・宇宙植民から始まって、死体の冷凍蘇生(クライオニクス)、ナノテクノロジー、人工生命、恒星間飛行から、はては太陽や銀河を人間に都合のいいように“開発”しようという宇宙工学にまで及んでいる。
 しかし、一見雑然としたこれらのトピックスの裏には、“人間って何なの? これからどうなるの?”という、問いかけが一貫して流れている。そのため、記述には求心力があり、グイグイと一気に読んでしまった。もちろん、その問いかけに対する答は簡単にはみつからないわけで、著者もいくつかの考え方には懐疑的なようだ。たとえば、人間の心や精神が全部コンピュータの中にはいってしまうという予測(ハンス・モラヴェック)には相当批判的である。太陽を押しつぶす技術(デイヴ・クリスウェル)や、人間がそのうち宇宙と一体になるという予測(フリーマン・ダイソン)あたりになると、なかばあきれたという感じすらも伝わってくる。 けれども、著者は、これらの荒唐無稽な論議の向こうに脈々と息づいている可能性、科学技術によって人間が変革されてしまう可能性を、しっかり見据えている。すべてのテーマは、結局そこに合流していくのだ」

中村融氏(『SFマガジン』1993年11月)
「これはめっぽう面白い本である。常識はずれの科学者たちの肖像に、最先端科学の話題を巧みに折りこんだ第一級の科学解説であると同時に、科学の諸分野に共通し、それらをつないでいる「ある夢」を浮きぼりにしてみせた洞察の書でもあるのだ。
 その夢とは「人類を、宇宙に進出して活躍する不死の魂にすること」。それを伝統的なありふれた科学の力で実現させようというのだから、聞いただけで元気が出てくるではないか。
 あつかわれる分野は、宇宙植民、冷凍睡眠、ナノテクノロジー、電脳生物、宇宙工学、最先端物理と多岐にわたり、登場するのは、ナノテクノロジーの旗手エリック・ドレクスラー、電脳生物の提唱者ハンス・モラヴェック、L5協会のヘンスン夫妻、太陽分解計画の発案者デイヴ・クリスウェル、おなじみフリーマン・ダイスン、ロバート・フォワードなど。しかし、どの人物も複数の分野にまたがって顔を出す。というのも、不死と宇宙進出は密接にからみあっているからだ。不死身の人間が狭い地球にあふれることは目に見えているし、寿命のはかない人間が広大な時空に進出できるはずがない。かくして科学の諸分野は、不死テクノロジーという点で手を結ぶ。そおれはたんに個人の不死をめざすだけではない。宇宙の不死をもめざしている。なにしろ、この本に出てくる人たちは、宇宙の熱的死の回避法や陽子崩壊の防止法まで真剣に考えているのだから」



注文
目録ヘ戻るこの頁のはじめに戻る