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個体発生と系統発生[詳細]

グールドは科学理論を説明するだけでなく、科学そのものにもコメントを与える。
しかも明快で機智に富み、学問とエンタテイメントを両立させた。
ニューヨーク・タイムズ

優れて先駆的な著作だ。
しばらくなおざりにされてきた発生の問題に再び脚光を当てる
重要な契機となるだろう
エルンスト・マイヤー

人種差別主義、優生学、IQテストなど19世紀科学の残滓に対するグールドの長年にわたる
ラディカルな戦いぶりは、あっぱれとしか言いようがない。
タイムズ・リテラリー・サプルメント




■目次より

日本語版への序
1 展望
  ヘッケルの生物発生原則の再構築にむけて
Ⅰ 反復説
2 アナクシマンドロスからボネにいたる類推論法の系譜
  反復説の根源はギリシア科学にあり?
  〈進化〉と後成説の対立のなかでの個体発生と系統発生:シャルル・ボネの叙事詩
  ◎付論:〈進化〉の革命
3 思弁的な起源 1793-1860
  自然哲学:発展主義の一つの表われ
  自然哲学派の指導的な反復論者:オーケンとメッケル
  セルとフランスの思弁論者たち:反復説と発生停止説
  フォン・ベーアによる反復説批判
  ルイ・アガシと三重の平行関係
4 進化論の勝利 1859-1900
  進化論と動物学の慣習:ダーウィンとフォン・ベーアの原理の進化
  エルンスト・ヘッケル:個体発生の機構因としての系統発生
  アメリカのネオラマルキズム:進化の原動力としての促進の法則
  ラマルキズムと記憶のアナロジー
  反復説とダーウィニズム
  ◎付論:フォン・ベーアの法則の進化論的な翻訳
5 滲透する影響
  犯罪人類学
  人種差別主義
  子供の発達
  初等教育
  フロイト派の精神分析
6 衰退と凋落と一般化
  巧妙な論法
  経験的な批判:ヘッケルの異時性概念の推移
  フォン・ベーアの批判はどうなってしまったのか?
  慇懃な無視:ルーの発生機構学と生物発生原則
  メンデルの復活とヘッケルの凋落と反復説の一般化
Ⅱ 異時性と幼形進化
7 異時性及び個体発生と系統発生の並行性
  促進と遅滞:ヘッケルの通夜のさなかとその後の混乱
  ド・ビアの異時性カテゴリーの促進と遅滞への還元
  歴史的パラドックス:想定された反復の卓越
  解離性と異時性
  異時性を表わす時計モデル
  ◎付論:解離を多変量で表わすことに関するノート
8 異時性の生態学的及び進化的意義
  頻度による論証
  従来の異時性の意味づけに対する批判
  異時性、生態、生活史戦略
  異時性的な変化の潜在的な起こりやすさとすばやさ:昆虫の変態と両生類の幼形進化
9 プロジェネシスとネオテニー
  昆虫のプロジェネシス
  両生類のネオテニー
  プロジェネシスの生態学的決定要因
  大進化における異時性の役割:プロジェネシスとネオテニーのための対照的な柔軟性
  高等な脊椎動物におけるネオテニーの社会的相関
10 人類の進化における遅滞とネオテニー
  ネオテニーの種子
  ボルクの胎児化説
  議論の伝統
  人類進化における遅滞
  遅滞のマトリックスにおける形態
  遅滞された発育の適応的意義
11 エピローグ



■著者紹介:スティーヴン・J・グールド Stephen Jay Gould (1942-2002)

ニューヨークに生まれ、オハイオ州アンチオック大学卒業後、1967年、コロンビア大学で古生物学にて博士号を取得。1982年、エルドリッジとともに発表した「断続平衡説」により、進化論の正統派とされた漸進説に異をとなえ、世界中の研究者の注目を集めた。
1973年よりハーヴァード大学の地学教授として古生物学、地質学はもとより、科学史から進化生物学の最前線までを渉猟。創造説や擬似科学批判、社会生物学批判の頭目としても精力的に活動する。
1974年1月号より2001年1月号まで『ナチュラルヒストリー』誌に連載したエッセイが『ダーウィン以来』『パンダの親指』『フラミンゴの微笑』『ニワトリの歯』『がんばれカミナリ竜』『八匹の子豚』『干し草のなかの恐竜』『ダ・ヴィンチの二枚貝』(早川書房)としてつぎつぎに邦訳され、日本でも広範な読者を獲得。
単行本『人間の測りまちがい』(河出書房)、『時間の矢・時間の環』(工作舎)、『嵐のなかのハリネズミ』『ワンダフル・ライフ』『フルハウス 生命の全容』『暦と数の話』(早川書房)も、日本版刊行のたびに話題をよぶ。
2002年5月20日逝去。
遺著となった大著『The structure of evolutional theory』も渡辺政隆訳で工作舎刊行予定。



■書評

春日武彦氏(東京新聞 2007/11/18付)
テーマで読み解く現代 精神医学(中) 奇想から深まる理論
…フロイトの精神分析そのものが、発想においてダーウィンの進化論に大きく影響を受けているという。また「個体発生は系統発生を繰り返す」というヘッケルの説(説得力はあるが、現在では否定されている)との類似点を指摘しているのはスティーブン・J・グールドの『個体発生と系統発生』である。ヘッケルの奇想が精神分析に重なってくる意外性は、思考の博物学といったものを我々に連想させる。分厚い一冊であるが、相応の読み応えがある。

三中信宏氏(オンライン書店bk1 2002/05/21)
発生学の歴史を通して生物進化における異時性の意義を論じた名著
エッセイストとして著名なグールドであるが,本書のようながっちりした本にも彼独自の持ち味がそこかしこに見られる.肺癌で惜しまれつつ亡くなったいま,後に残された読者は,彼の残した〈古典〉を再びひもとくことで,失われたものの大きさを痛いほど感じるにちがいない.
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