[詳細]キーワード検索HOME
 目次 著者紹介関連図書書評目録へ戻る(定価ほか)


銀河の時代(下[詳細]

地球には、「長い過去(ディープタイム)」がある………
18世紀、ライエルによる地質学的時間の探求、
ダーウィンの自然淘汰による進化論は、宇宙論を新たなステップへと導いた。
第二部[時間]は、人がいかにして地球と宇宙の歴史の深さを知るようになったのかを跡づける。
さらに第三部[創造]では、量子論の誕生にはじまる
宇宙の起源をめぐる考察が展開する。

地球というささやかな世界に住みながら、
はるかに大きな宇宙の姿をつなぎあわせてきた私たちは、
今やっと、宇宙の基本的な事実のいくつかを知るようになった。
この課程こそ宇宙論の「思春期(カミング・オブ・エイジ)」と呼ぶにふさわしい──


■目次より

【下巻】
第Ⅱ部 時間

第12章 石の教え
    果てしのない循環/キリスト教から見た宇宙の歴史/石の言語を読む/
    多様な種の発見/激変説と斉一説/ライエルと開いた科学
第13章 地球の年齢
    ダーウィンの時を行く旅/ビーグル号への道/『種の起原』/ダーウィンの恐れ/
    『種の起原』の出版/宗教界からの反発/地球の年齢/太陽の年齢/
    放射性元素の発見/放射性元素による年代測定/核エネルギーと核兵器
第14章 原子と星の進化
    原子の内部構造/ヘルツシュプルング= ラッセル図/
    クローン障壁と量子のトンネル効果/ハンス・ベーテ/核融合反応と太陽の年齢/
    天の川生態学/ガモフとビッグバン/ホイルと定常宇宙論/
    星の錬金術/星の死と人間
第15章 量子とその不満
    素粒子世界の不確定性/不確定性に対するアインシュタインの不満/
    ボゾンとフェルミオン/四つの力/孤立する重力
第16章 完成の噂
    科学的な美と対称性/自然の法則と不変性/ゲージ場の理論/八道説と量子色力学/
    電弱統一理論への道/統一された電磁気力と弱い力/
    フェルミラボ vs CERN/カルロ・ルビアの野心/大統一理論/
    ひも理論/理論と実験のはざま

部 創造
第17章 歴史的視点
    宇宙論と素粒子物理学の合体/過去をのぞき込む/時の階段を上る/
    謎につつまれた宇宙の幼児期/ビッグバンの「遺物」を探せ
第18章 宇宙の起源
    天地創造の物語/真空創造/宇宙は平らか?/グースとインフレーション/   
    インフレーション宇宙モデル/量子創造とホーキング/空間の量子化
第19章 精神と物質
    人間と宇宙/地球外生命(ET)を捜す/ET はいるのかいないのか/
    宇宙ネットワークをつくる
第20章 なくならない謎
    宇宙を知る「無知」を知る/人はなぜ宇宙を理解できるのか?/
    生命の選択に賭ける

上巻>>>




■著者紹介:ティモシー・フェリス Timothy Ferris

1942年、フロリダ州マイアミに生まれる。ノースウェスタン大学卒業後、『エスクワイヤ』、『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ各誌紙で執筆活動を展開して数々の賞を受賞。テレビの科学啓蒙番組にも貢献するサイエンスライターにしてカリフォルニア大学バークレイ校のジャーナリズム学科教授。
天文学、物理学のみならず、哲学、宗教など、人類の「全知性」にかかわる宇宙論の集大成ともいうべき本書は、執筆に12年をかけた渾身の1冊。アメリカ物理学会賞受賞および『ニューヨーク・タイムズ』『ボストン・グローブ』各紙でベスト・ブックに選出される。


■関連書籍

アインシュタインの部屋 天才たちの奇妙な楽園 上下 E・レジス 各1800円
不死テクノロジー 科学がSFを超える日 E・レジス 2500円
地球外生命論争1750-1900 カントからロウエルまでのETをめぐる思想大全 M・クロウ 20000円
世界の複数性についての対話 ロケット不要の宇宙旅行 フォントネル 1900円
ケプラーの憂鬱  孤独な天文学者の半生 J・バンヴィル 2500円
星界小品集 ゼンマイ仕掛けのスペースオペラ P・シェーアバルト 1600円
夜の魂 天文学逍遙 C・レイモ 2000円
夜の国 心の森羅万象をめぐって L・アイズリー 2500円
星投げびと コスタベルの浜辺から L・アイズリー 2600円
子午線 メートル異聞 D・ゲージュ 2427円
■書評

金子務氏(「こんなに面白いモダン・サイエンス」『マリ・クレール』1992年12月)
「副題に「宇宙論博物誌」とあるように、アメリカの科学ライターによる古代のプラトン、アリストテレスから現代のホーキング、ファインマンまでの宇宙論の流れを、概観したもの。豊富なエピソードがいろいろな知識を教えてくれる。哲学者プラトンがレスリングをしたとき、「肩幅が広い」のでその名がついたとか、チコ・ブラーエはビールを飲みすぎて死んだとかである。輝く太陽面を黒い点のようになって通過する金星を観測すれば、それをものさしとして地球・太陽間の正確な値がわかる。この18世紀の観測から、太陽系の大きさが古代の全宇宙の大きさの百倍以上になったのだから、いかに天文観測が重要かがわかる。下巻では、地球という星の歴史を調べ、その年代を測定する方法などを吟味している。ダーウィンもライエルもガモフももれなく語り、宇宙の起源を語るために、それこそ量子論の基本問題にまで手をのばすという、手広さをもっている。もちろんET(地球外生命)問題も見逃すわけはない。しかし最後に宇宙を知ることは、われわれの無知を知ることだとくくっている。ルネ・マグリットの『これはパイプではない』というパイプの絵同様に、宇宙についての人類の知識は思春期になったにすぎない、という。インフレーション理論も量子宇宙論も、やっと宇宙理解の緒についた証しにすぎないのかもしれない」



注文
目録ヘ戻るこの頁のはじめに戻る