工作舎ロゴ 書籍解説

HOME > 書籍 > ジャンル一覧新刊一覧 > 蜜蜂の生活/基本データ




蜜蜂の生活[詳細]
La Vie des Abeilles

目次著者紹介関連図書書評


『青い鳥』の作者メーテルリンクが綴る

献身の博物誌

今西錦司氏=推薦

…思うに、女王蜂の結婚の秘密を暴いた者はほとんどいない。
それは美しい天空の、広大無辺でまばゆいばかりの襞目の中でおこなわれるからだ…
                   (本書5章「結婚飛翔」より)


「蜜蜂荘」と名づけた南フランスの家に住み、
古代ギリシャ以来の蜜蜂に関する 文献を探索するメーテルリンクは、
毎日、蜜蜂の巣にかよいつづける有能な養蜂家でもあった。
その深遠な観察眼、つきることのない想像力と文学的才能により、
社会的昆虫の生態を克明に、きらびやかに描きだすこととなった。




■目次より

第1章 巣箱の前に立って
勤勉な蜜蜂たちの、香り高い精神や神秘にふれるために、私たちはその巣をこじあけなければならなかった。
第2章 分封(巣別れ)
抗しがたい魅惑の時、分封、それは密の祭典、種族と未来の勝利、そして犠牲者への熱狂である。
第3章 都市の建設
この街は地表から突き立つ人間の街のようではなく、空から下に降りてゆく逆円錐形の逆立ちした街だ。
第4章 若い女王蜂たち
彼女は自分の競争相手の挑戦を耳にするや、自らの運命と女王の義務を知って勇敢に応酬する。
第5章 結婚飛翔
太陽が光りきらめくとき、一万匹以上の求婚者の行列から選ばれたたった一匹だけが女王と合体し、同時に死とも合体する。
第6章 雄蜂殺戮
ある朝、待たれていた合言葉が巣箱中にひろまると、おとなしかった働蜂は裁判官と死刑執行者に変貌する。
第7章 種の変化
蜜蜂は自分たちが集めた密を誰が食べるのか知らない。同様に私たちが宇宙に導き入れる精神の力を誰が利用することになるのか、私たちは知らない。



■著者紹介:モーリス・メーテルリンク Maurice Maeterlinck

1862年8月29日、ベルギーのガンに生まれる。イエズス会の名門サント・バルブ校からガン大学に進学。法律を学び、弁護士になるためパリへ。そこでヴェリエ・ド・リラダンをはじめとする象徴主義運動の指導的詩人たちと出会い、文学に傾倒。89年、第一詩集『温室』を発表。最初の戯曲『マレーヌ王女』、さらにドビュッシーの作曲で知られる『ペリアスとメリザンド』を発表するにいたって、19世紀末の文壇に踊り出る。世界的に有名な戯曲『青い鳥』は1906年の作。1911年ノーベル文学賞受賞。49年没。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 白蟻の生活  モーリス・メーテルリンク  工作舎 1800円
  • 蟻の生活  モーリス・メーテルリンク  工作舎 1900円
  • 花の知恵 モーリス・メーテルリンク 1600円
  • ガラス蜘蛛 モーリス・メーテルリンク 1800円
  • 生物関連図書
  • ネイチャーライティング関連図書



  • ■書評

    2005.10.23 BS朝日「亜細亜見聞録」で紹介
    BS朝日「亜細亜見聞録」は大人のための上質な旅番組。案内人はアジアをこよなく愛する名物編集者・石川次郎氏です。 10/23(日)に放送された「中国青海省・黄金の天空に舞う」では、石川次郎氏が『蜜蜂の生活』を読むシーンからはじまります。蜜蜂の生態に惹かれ、養蜂が盛んな中国青海省へ。広大な菜の花畑に飛び交う蜜蜂の姿が、ハイビジョンの美しい映像となって放映されました。番組の随所に本書からの引用も! おかげさまで反響あります。

    今西錦司氏(生物学)
    メーテルリンクも学問的野人であった。生命観の揺らぐ今日、彼の未来的古典が復活する意義

    高橋巌氏(神秘学)
    シュタイナーにも蜜蜂の研究があって、神秘家の相似た魂をみる思いだ。生命現象を神秘学の観点から考えようとする読者にひろくすすめたい。

    馬場喜敬氏(哲学)
    『モンナ・ヴァンナ』と『ペレアスとメリザンド』の作者メーテルリンクの描いた蜜蜂の世界には人間の魂の原風景も染めこまれている。




    ALL RIGHTS RESERVED. © 工作舎 kousakusha