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匂いの魔力[詳細]

目次著者紹介関連図書書評


誘惑する力、差別する力、殺す力、癒す力

近代以前の人々にとって、匂いは快・不快なものだけでなく、
生死をも左右する力があると信じられていた!

異教徒を悪臭だと決めつけ差別した。
ペストの原因は「臭い」だと信じ芳香で予防した。
香料で処理されたエジプトのミイラが薬として珍重され、
偽物のミイラまで作られていた。

神話、宗教、魔術、セックス、誘惑、心理、階級、薬学、セラピー、超自然……
「生命の原理」と分ちがたい芳香物質の歴史をひもときながら、
匂いに潜む力の秘密に迫る。




■目次より

第1部 かぐわしきヒョウからドイツ人の臭汗症まで ──匂いの魅了する力、拒絶する力

1 匂いと捕獲
   匂い、魔術、憑依、守護
   匂いとセックスアピール
    ●体臭と性●香りと誘惑
   匂い、狩り、漁
   かぐわしきヒョウの神話
2 匂いと差別
   胎児は母親の匂いを認識する
   よそ者は臭い

第2部 病魔の臭気

3 匂いの致死力
   ペストの正体
    ●ヒッポクラテスとガレノス●中世とルネッサンス●大気発生源説への反論
    ●外来説●呼吸が大気を汚す!
   伝染病の温床
    ●産業公害のはじまり●ネズミの臭い
4 匂いの治癒力
   ヒッポクラテスの火とテリアカ
   香料の時代
   大砲による消毒
   ミイラの衰退
   樟脳とアロエの流行

第3部 血と芳香──香りの力の源を探る

5 聖なる香り
   さまざまな儀式
    ●エジプトの牛とミイラ●「永遠の香」と「契約の血」
    ●「聖なる液体」とコパール
   聖人の芳香
    ●霊界からの香り●神秘家の香り●血と聖性の香り
6 命の原理──血と香
   命の象徴としての血
   樹液と血の類似性
   血と香のサイクル

第4部 哲学の鼻

7 ギリシア・ラテン哲学における嗅覚と匂いの二面性
8 キリスト教の影響と匂いの凋落
9 モンテーニュの嗅覚
10  17世紀合理主義と匂いの蔑視
11  啓蒙時代における嗅覚の復権
12  カントとヘーゲルの酷評
13  鼻の哲学者
──フォイエルバッハとニーチェ
14  嗅覚の抑圧理論──フロイトとマルクーゼ
15  哲学から詩へ──フーリエ、バシュラール、プルースト



■著者紹介:アニック・ル・ゲレ Annick Le Guere

パリ出身。ソルボンヌ大学で哲学と人類学を学び、文化人類学で博士号取得。パリとブルゴーニュに居をかまえ、香りのスペシャリストとして活躍中。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 感覚の力——バラの香りに始まる  コンスタンス・クラッセン 工作舎 2200円
  • アローマ——匂いの文化史 コンスタンス・クラッセンほか 筑摩書房 2800円
  • におい  ピート・フローンほか 中央公論新社 2100円
  • 匂いの謎  渋谷達明 八坂書房 2400円
  • 匂いの身体論  鈴木隆 八坂書房 2200円
  • 香りで好かれる人匂いで嫌われる人   ルース・ウィンター 竹内書店新社 1800円
  • 匂いの力  八岩まどか 青弓社 2000円
  • 19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろう?  D・プール 青土社 3600円
  • においの歴史  アラン・コルバン 藤原書店 4900円
  • 香料文化誌  C・J・S・トンプソン 八坂書房 2800円
  • 香水——ある人殺しの物語  パトリック・ジュースキント 文藝春秋 1600円



  • ■書評

    2000.7.23 毎日新聞 藤森照信氏書評
    ヨーロッパ人の香水好きについて、体臭が強いから、とか、風呂に日本人ほど入らないから、とか言われるが、それ以上に、中世からルネサンスをへて近代直前まで続いた対ペスト匂い大作戦の残り香なのである。

    ダ・ヴィンチ 2000.7月号

    日刊ゲンダイ 2000.6.17号




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