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世界の複数性についての対話[詳細]

目次著者紹介関連図書関連情報書評



宇宙の辺境に棲む人間への警鐘

「人間中心的な、人間の思い上がった態度にたいする批判、風刺、嘲笑が随所に見られること等々を付け加えると、この何でもない科学啓蒙書の中に、どれほど多くの爆弾、劇約が仕掛けられているかがお分かり頂けただろうか。この作品の、このような紙背にかくされたものの探索も、この傑作の大きな魅力のひとつにちがいない」
赤木昭三(本書解説より)




■目次より

序章 自然の掌握 パラダイムと問題点
第1夜 地球は自転し、また太陽の回りを回る惑星であること
第2夜 月は人の住む地球であること
第3夜 月世界の特徴および他の惑星にも人が住んでいること
第4夜 金星、水星、火星、木星、土星の世界の特徴
第5夜 恒星はすべて太陽で、それぞれがその世界を照らしていること
第6夜 これまでの対話で示された考えの正しさを確認させる新しい考えと天空においてなされた最近の発見
解説 赤木昭三
付:[ダイヤグラム] 複数世界論の系譜──地球中心主義を超える別世界への旅



■著者紹介:ベルナール・ル・ボヴィエ・ド・フォントネル
 Bernard Le Bovier de Fontenelle

1657年2月11日、ルアン高等学院の弁護士を父に、悲劇作家コルネイユの妹を母に生をうける。最後のリベルタンにして最初の啓蒙思想家。1757年1月9日、百歳の誕生日を33日後に控え永眠。
前半生は『新篇使者の対話』(1683)や『世界の複数性についての対話』(1686)の著者として文壇で活躍。1699年、王立科学アカデミーの終身書記に就任以降はサロン文化と科学界のオルガナイザーとして精力的に活動する。ライプニッツやニュートンの弔辞など、後代の範となる頌辞ややアカデミー史を残すかたわら、宗教批判の書『神話の起源』(1714)を地下出版するなど、自らの思想の裡にも終生多元性を保持した。
『世界の複数性についての対話』は出版されるや、たちまち大ヒット。著者存命中に33回、その後も現在まで40回近くは刊行されている。翻訳も30種類の英訳を筆頭に、イタリア、ドイツ、オランダ、近代ギリシア、ロシア、スペインの各国語版があり、歴史的ベストセラーとして広く愛読されている。




■関連図書(表示価格は税別)

  • 地球外生命論争 カントからロウエルまでの世界の複数性をめぐる思想大全 20000円
  • 言語の夢想者 17世紀普遍言語から現代SFまで 3200円
  • ペルシャの鏡 ライプニッツの迷宮をめぐる幻想哲学小説  1800円
  • ケプラーの憂鬱  孤独な天文学者の半生  2500円
  • 星界小品集 ゼンマイ仕掛けのスペースオペラ  1600円
  • 夜の魂 天文学逍遙  2000円
  • 夜の国 心の森羅万象をめぐって  2500円
  • 子午線 メートル異聞  2427円
  • 銀河の時代 上・下 宇宙論博物誌  各2200円



  • ■書評

    金子務氏(『図書新聞』1993年1月30日)
    「無限宇宙と原子の無限性という古代人たちの夢想から、世界の複数性という観念は誕生したのだが、その観念をもっとも一般的な魅力あふれる形にしたのがフォントネルであった。17、18世紀の人々の想像力を証言すると同時に、科学と文学を融合させた一つの作品として、本書の価値は大きい」




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