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本が湧きだす(ほんがわきだす)[詳細]

目次著者紹介関連図書関連情報書評


アジア図版-動物

回顧展の準備に取りかかると、
半世紀のあいだ顧みる機会が
少なかった本たちが
一斉に湧きだしてきたのです……

*「杉浦康平デザインの言葉」シリーズ概要はこちら
アジア図版-鳥

星屑から情報が生まれる…『人間人形時代』|カラー頁『本が湧きだす』
星屑から情報が生まれる…『人間人形時代』(カラー頁より)



■目次より

はじめに

【1】ブックデザインの核心
一枚の紙、宇宙を呑む
一即二即多即一
Color pages ブックデザイン選
メディア論的「必然」としての杉浦デザイン—石田英敬さんとの対話

【2】感覚の地層
耳と静寂
眼球のなかの宇宙
眼球運動的書斎術
熱い宇宙を着てみたい—松岡正剛さんとの対話
1960-70年代の写真集のデザイン

【3】本の活力
エディトリアル・デザインの周縁—赤崎正一さんとの対話
現在進行形のデザインのために—聞き手=戸田ツトムさん、鈴木一誌さん
人類としての記憶—北川フラムさんとの対話

初出一覧
あとがき ブックデザインの道を拓く



きらめく箔、ゆらぐ光……『遊』|カラー頁『本が湧きだす』
きらめく箔、ゆらぐ光……『ライプニッツ著作集』『大百科事典』他(カラー頁より)


■著者紹介:杉浦康平(すぎうら・こうへい)

1932年、東京生まれ・東京藝術大学建築学科卒。グラフィックデザイナー。 現在、神戸芸術工科大学名誉教授、同大のアジアンデザイン研究所所長を歴任。2011年秋、それまでの半世紀余にわたるデザイン作品の寄贈先である武蔵野美術大学美術館・図書館が「杉浦康平・脈動する本」展を主催。ブックデザインの集大成といえる作品群が一堂に会した。引き続きデザインアーカイブ特設サイト「デザイン・コスモス」が構想され、2021年に公開。さらなる更新を計画中。主な受賞に、1997年の毎日芸術賞および紫綬褒章、2019年の旭日小綬章がある。 2018年に『太極球・誕生』と題されたフリッカー本を制作。1990年代からの構想だった「太極図の立体化」が明かされた。

主著に、万物照応劇場シリーズ『日本のかたちアジアのカタチ』(三省堂)、『かたち誕生』『生命の樹・花宇宙』(以上、日本放送出版協会)、『宇宙を呑む』(講談社)、『宇宙を叩く』(工作舎)があり、『文字の美・文字の力』(誠文堂新光社)、『アジアの本・文字・デザイン』(DNPグラフィックデザイン・アーカイブ)がある。また、本書『本が湧きだす』を含む「杉浦康平デザインの言葉」シリーズは、2010年『多主語的なアジア』(工作舎)から刊行をスタートした。2014年には、ダイアグラムと時間をテーマに『空間のシワ・時間のヒダ』(鹿島出版会)ほか、多くの著作がある。



背で見せる、背が語る……『遊』|カラー頁『本が湧きだす』
背で見せる、背が語る……『遊』『季刊銀花』(カラー頁より)



■関連図書(表示価格は税別)

  • 杉浦康平デザインの言葉 第1弾 多主語的なアジア  杉浦康平 工作舎 2800円
  • 杉浦康平デザインの言葉 第2弾 アジアの音・光・夢幻  杉浦康平 工作舎 2800円
  • 杉浦康平デザインの言葉 第3弾 文字の霊力  杉浦康平 工作舎 2800円
  • 宇宙を叩く  杉浦康平 工作舎 3600円
  • 人間人形時代  稲垣足穂 工作舎 2200円
  • 全宇宙誌  松岡正剛+杉浦康平 工作舎 [品切]
  • 神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ  杉浦康平編 工作舎 2500円〜3900円
  • 靈獣が運ぶ アジアの山車  齊木崇人=監修/杉浦康平=企画・構成 工作舎 3200円



  • ■関連情報

    本書には、2010年に紀伊國屋書店「じんぶんや」フェア用に書き下ろした「一枚の紙、宇宙を呑む」が収録されています。そこで、当時の小冊子を再現して紀伊國屋書店新宿本店限定の『本が湧きだす』購入特典としました。
    小冊子には、杉浦康平先生のエッセイ「一枚の紙、宇宙を呑む」に加えて、杉浦先生が選んだ97冊の書影ブックリストがつき、B4表裏2枚にギッシリ詰まった濃い内容です。新宿本店3F-J21にて展開中。

    紀伊國屋書店「じんぶんや」小冊子
    紀伊國屋書店新宿本店限定 購入特典「じんぶんや」小冊子




    ■書評

    月刊「大東書道」2023年4月号 古賀弘幸氏(エディター)書評
    杉浦康平『本が湧きだす』を読む
    …『本が湧きだす』の大きなテーマの一つは、「デザイン」という行為が、この相互作用的な「動き」の中で生み出されていくものだ、ということにあると思われます。
    …杉浦氏の書物論のキーワード「一即二即多即一」は、書物が「一」として綴られた物体としてあるばかりではなく、さまざまな記号が集まり、多くの素材が束ねられたものであり、さらに何千何万という読者の手の中で開かれ、彼らのそれまでの記憶とさまざまに混じりあいながら時として視覚だけではなく、触覚的あるいは聴覚的なものとしても経験され、つまり「多」的なものとして複数化されていくことに注目したものです。
    …このようにして、人間の経験や記憶を外在化した技術とメディアは人間との間でさまざまに相互的に変化し、複数化していきます。杉浦氏のデザイン手法にはこうした人間と対象との「動的な」関係性への強い関心があり、それが私たちを揺さぶり続けているのだと思います。

    週刊読書人 2023年2月10日号 大田暁雄氏(武蔵野美術大学准教授)書評
    コスモスとしての書物 生身の人間を中心にデザインを見直す
    …杉浦が半世紀以上にわたって取り組んできたブックデザインの仕事を振り返り、現実的な仕事と格闘する中でどのようなデザイン語法を見出そうとしてきたのかを語ったものである。具体的なブックデザインの事例がカラー図版とともに48頁にわたって解説されている点も、魅力の一つであろう。
    …本書では、彼が設計的な思考と曖昧で多元的な東洋的思考とを合一しようとした軌跡が語られる。例えば、音楽家・小杉武久の紙を使ったパフォーマンスに衝撃を受けた話に始まる「一枚の紙、宇宙を呑む」の章では、書物にも使われる《紙》という物質が変形を被ることで、宇宙を内包するようになるという話が展開される。全紙の紙を何回折れば文庫本ができるのか。さらに「折る」という行為を何回繰り返せば紙の厚みが地球と月の距離に達するのか。非常に単純な計算から驚くべき事実を開陳してみせる様は。すぐれて設計的である。…
    …生身の人間を中心に据えて、もう一度デザインを見直さなければならない。西洋を拒絶するわけでもなく、純粋に東洋に回帰するわけでもない。むしろそれらがお互いに響き合うような社会をどのようにデザインすることができるのか。…杉浦の重視する《曖昧さ》の問題は、日々重みを増すばかりではないだろうか。 [週刊読書人データ版]

    ブレーン 2023年2月号 紹介
    1960年代前半から今日までの杉浦康平の執筆原稿・取材記事などから、その言葉を精選・集成した「デザインの言葉」シリーズ第4弾。…書き下ろしのあとがきも。

    アイデア 2023年1月特大号(No.400)
    雑誌「アイデア」2023年1月特大号(No.400)の特集にて、武蔵野美術大学 美術館・図書館ウェブサイト「杉浦康平デザインアーカイブ:デザイン・コスモス」と同館の村井威史さんのインタビューが16ページにわたって取り上げられました。また、巻末には『本が湧きだす』も紹介。「…まさに"本が湧きだす"瞬間を紙に定着させたような様相」と。






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