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夢魔のレシピ[詳細]
女性性さえも、
ここでは象形文字による戯れ、
鳥の目の中の輝き。

アンドレ・ブルトン


女性シュルレアリストの画家 レメディオス・バロによる
夢幻とブラックな遊び心あふれるテクストと作品を集成。
秘伝の「夢のレシピ」、専門家を真似た疑似学術論文「ホモ・ローダンス」、
自作30作品へのコメント(バロ自身によるバロ展)に加えて、
書簡、インタヴュー、レオノーラ・キャリントンとの交流を綴る訳者解説も収録。
日本初公開の レメディオス・バロ展(1999年6月-11月)開催記念出版。





■目次より

1 夢のレシピ
◎エロティックな夢をかきたてるレシピ
◎アドバイスとレシピ
◎悪夢と不眠症とベッドの下の砂地獄を追い払うレシピとアドバイス
◎夢の記述 1〜10
◎自動記述 テクスト1〜3
◎プロジェクト覚書 1〜3

2 魔女のテクスト
◎ホモ・ローダンス
◎ある科学者への手紙
◎「家庭内の物の相互依存とそれぞれが日常生活に与える影響の観察者たち」のグループを支持する者の苦悩
◎ある魂への手紙
◎ガードナー氏への手紙
◎劇の草案
◎愛人トロムプソン夫人は偶然に、ケントの領土に浸透する巨大な湿気の水源を発見する
◎カルシド・マルティン・デ・ビルボア騎士

3 イメージの実験室──バロ自身によるバロ展
1啓示または時計職人 2隠者 3笛を吹くひと  4中身泥棒 5トレーラーハウス 6共感 7発見  8ベローナを編むひと 9三人の運命 10女性の幸せへ  11手品師 12ハーモニー 13婦人服仕立屋  14放浪者 15イグナシオ・チャベス医師の肖像  16簡潔 17世界の創造または小宇宙  18予期せぬ訪問者 19ロコモシオン・カピラール   20人物 21遭遇 22遭遇 23アナロゴ山登頂   24精神分析医のオフィスを出る女 25擬態  26三部作(塔へ/地球のマントを刺繍して/逃亡)  27突然変異した地質学者の発見 28反抗する植物  29召命 30無重力現象

4 地球の想い出──バロのアルバム
◎インタビュー
◎スペインの女友達への手紙
◎哲学者ゴンザレスと歴史家デ・ラ・ガルサへの手紙
◎母への手紙  1,2
◎知らないひとへの手紙

5 メキシコの魔法の庭──バロとキャリントン  野中雅代





■著者紹介:レメディオス・バロ  Remedios Varo

◎1908年スペインに生まれる。15歳で美術学校に入学するが飽きたらず、21歳で同級生と結婚してフランスに遊学、シュルレアリスムにふれる。帰国後スペイン内乱が起こり、義勇兵としてやってきたシュルレアリスト詩人バンジャマン・ペレと恋に落ちてパリにわたり、ブルトンらと交流する。

◎41年、戦下のヨーロッパからメキシコに亡命。レオノーラ・キャリントンをはじめとする亡命シュルレアリストたちとボヘミアン生活を送る。ペレ帰国後もひとりメキシコに留まり、1955年メキシコの美術界に衝撃的なデビューを果たす。63年、心臓発作で急逝。

◎64年以降、数回にわたり回顧展や国際的な個展が開かれ、死後ますます評価は高まっている。また、文学でもトマス・ピチョンの『競売ナンバー49の叫び』(1966)では重要な隠喩としてバロの「地球のマントを刺繍して」が登場。創造の女神の活動は止むことはない。

◎今回の「レメディオス・バロ展」は日本初。1999年6月 新宿伊勢丹美術館、8月 名古屋電気文化会館、10月 神奈川県立近代美術館で開催され、大好評のうちに終了。代表作60余点が公開され、精緻なテクニックに裏付けられたバロの詩情あふれる世界が明かされた。



■バロとキャリントン

◎レメディオス・バロとレオノーラ・キャリントンは女性シュルレアリストの双璧。二人は30年代にパリのアンドレ・ブルトンのサークルで知り合い、男性シュルレアリストの想像力を喚起しながら、それぞれ自らの創造力を磨き、40年代には別々の経緯でメキシコにたどり着いて再会、親密な友情を育みながら創作活動をつづけた。

◎バロはキャリントンの影響を強くうけ、妖しい美しさ漂う神秘的な画風も共通する。




■工作舎の「幻想とアートのはざま」関連図書

シュルレアリスムは絵画ばかりでなく、小説、評論など広範囲にわたる芸術運動でした。シュルレアリスト画家が絵筆をペンに持ち替えた作品として、バロとキャリントンの交友ぶりがそのまま素敵な老女の冒険物語になった『耳ラッパ』もお薦め。また、幻想画家の女王フィニの幻想小説もあります。ご一緒にどうぞ。

恐怖の館  世にも不思議な物語 レオノーラ・キャリントン 2600円
耳ラッパ  幻の聖杯物語 レオノーラ・キャリントン 2000円
夢先案内猫  フィニのワンダーランド・トリップ レオノール・フィニ 1400円




■関連情報

◎2003年、バロとキャリントンの絵画再来日!
「フリーダ・カーロとその時代─メキシコの女性シュルレアリストたち─」展

フリーダ・カーロのほか、レオノーラ・キャリントン、レメディオス・バロら才気あふれる女性画家たちの作品により、女性シュルレアリストたちの軌跡を紹介。

2003年 東急文化村ザ・ミュージアム(7月19日-9月7日)
     大阪サントリー美術館(9月13日-10月26日)
     名古屋市立美術館(11月1日-12月21日)
2004年 高知県立美術館(1月4日-2月22日)



■関連WEB

三島久典氏(1999年7月20日「表紙の言葉」より)
(『夢魔のレシピ』54頁の「プロジェクト1」の言葉をひいて)
文・絵とも、ロートレアモンの「ミシンとこうもり傘が手術台の上で出逢う」の雰囲気そのものである。 この砂を侵蝕していく水のヴィジョンは美しい。……タルコフスキーの映画にありそうな、そして、ガストン・バシュラールが引用しそうな、静かな風景。 全文は>>> 

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