デカルトの生涯 校訂完訳版 [詳細]
17世紀 学芸の共和国興隆期の一大パノラマ
デカルト研究の源泉
原著刊行は1691年。デカルトの人と思想について17世紀に書かれた最も詳細で浩瀚な伝記。実生活の負の側面や17世紀の社会情勢までも緻密に描き、後世のデカルト解釈に多大な影響を与えた。デカルトの名のもとに、17世紀を総覧した空前絶後の書。
【上巻】
日本語版への緒論 アニー・ビトボル =エスペリエス
献呈書簡
序
上巻概要一覧(各章の概要と該当頁)
デカルト年譜
はしがき/王の允許
第一部 デカルトの身に誕生から先入見を捨てるまでに起こったこと
第1章〜14章
第二部 学院での先入見を捨て去ってからオランダに定住するまでに起こったこと
第1章〜14章
第三部 デカルトがフランスを離れ、オランダに引きこもってから、自分の著作の刊行を決心するまでの出来事
第1章〜14章
第四部 哲学に関する『試論』の刊行からユトレヒト大学で生じた事件に至るまでにデカルトに起きたこと
第1章〜第16章
【下巻】
下巻概要一覧(各章の概要と該当頁)
第五部 ユトレヒトの教授たちと知り合った時から『形而上学的省察』出版までに、彼の身に起こったこと
第1章〜12章
第六部 『形而上学的省察』の出版から『自然学の原理』の出版にいたるまでに起こったこと
第1章〜14章
第七部 『哲学原理』の出版から彼の死までに起こったこと
第1章〜23章
第八部 彼の身体と精神の特質。自宅での彼の生活、および他人とのかかわりにおける生活。彼の品行。意見。宗教。彼の人柄と書いたものに、文句をつけられる点があったこと。そして一般に、彼の生涯の話の年譜に入れることができなかったすべてのこと
第1章〜10章
付録:ヴィオゲ神父の証言/ヴィオゲ神父の書簡
地図/デカルト家系図/16〜18世紀ヨーロッパ王朝系図
総索引
訳者解説 山田弘明
訳者あとがき 香川知晶
アドリエン・バイエ Adrien Baillet(1649-1706)
パリの名家ラモワニョン家の図書館司書・著述家。35巻におよぶ蔵書目録や『著述家たちの主要な著作についての学者たちの見解』(全9巻、1685-86)など、精力的な執筆活動の集大成として本書『デカルトの生涯』(1691)を上梓、デカルトの伝記作家としての名を不動のものとする。
アニー・ビトボル =エスペリエス BITBOL- HESPÉRIÈS, Annie
1950年生まれ。Membre de l’Équipe Descartes(パリ大学デカルト研究所員)。著書:Le principe de vie chez Descartes(J. Vrin, 1990)、論文:Descartes face à la mélancolie de la Princesse Élisabeth, in B. Melkevik et J.-M. Narbonne éd., Une philosophie dans l’histoire, hommages à Raymond Klibansky (Québec, Presses Univ. Laval, 2000), De toute la nature de l’homme: de L’Homme à la Description du corps humain…, in G. Belgioioso et V. Carraud éd., Les Passions de l’âme et leur réception philosophique (Brepols, 2020)、編著:René Descartes, Le Monde, L’Homme (Éd. du Seuil, 1996).
山田 弘明(やまだ ひろあき)
1945年生まれ。名古屋大学名誉教授。著書:『デカルト哲学の根本問題』(知泉書館 2009)、『デカルトと哲学書簡』(同 2018)、論文: Interaction entre l’âme et le corps,in G.Belgioioso et V. Carraud éd., Les Passions de l’âme et leur réception philosophique,(Brepols, 2020)。
訳書:デカルト『方法序説』『省察』『哲学原理』(以上、ちくま学芸文庫)、共訳書:『デカルト全書簡集』(知泉書館 2012-16)、『ライプニッツ著作集 第II期[1]哲学書簡』(工作舎 2015)、『デカルト医学論集』(法政大学出版局 2017)、『デカルト数学・自然学論集』(同 2018)、アントワーヌ・アルノー/ピエール・ニコル『ポール・ロワイヤル論理学』(同 2021)など多数。
香川 知晶(かがわ ちあき)
1951年生まれ。筑波大学大学院哲学・思想研究科単位取得退学。山梨大学名誉教授。著書:『命は誰のものか 増補改訂版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2021)、共編著:『生命倫理の源流 戦後日本社会とバイオエシックス』(岩波書店 2014)、共訳書:『デカルト医学論集』(法政大学出版局 2017)など。
小沢 明也(おがわ としや)
1962年生まれ。北海道大学文学研究科博士後期課程単位取得。修士(文学)。東洋大学非常勤講師。論文:「デカルトにおけるソクラテス的反転—ドゥビトの確実性からスムの必然性へ」『哲學』42号(法政大学出版局 1992)。共訳書:『デカルト全書簡集』(知泉書館 2012-2016)、アントワーヌ・アルノー/ピエール・ニコル『ポール・ロワイヤル論理学』(法政大学出版局 2021)ほか。
今井 悠介(いまい ゆうすけ)
1984年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。静岡県立大学非常勤講師。主な論文:「存在論とデカルト哲学の抗争 クラウベルク『オントソフィア』における端初と体系の問題」(『哲学雑誌』第128巻第800号、2016)、「思惟における分離可能性と区別 近世スコラとデカルトの区別論」(『フランス哲学・思想研究』20、2015)など。
●2022.4.1 週刊読書人 巻頭対談=山田弘明・香川知晶
哲学者の生涯と同時代の総合的歴史研究
A・バイエ『デカルトの生涯 校訂完訳版 上・下』(工作舎)刊行を機に
香川 …この伝記の貴重さは、バイエしか知らないデカルトのテキスト、デカルト自身の生活・個人史に関わる部分が述べられていることにあります、とくに有名なのは、1619年11月10日にデカルトが見た夢の話です。…
(中略)
山田 失われたデカルトの書簡や著作を紹介し、当時の時代状況を明らかにしている点は貴重です。加えて、青春遍歴や友人・家族など彼の哲学の周辺が詳細に語られ、死についても感動的に語られています。さらにデカルト哲学の諸問題の分析や解釈もあり、とくに心身の区別が哲学の生命線であると見ている点は現代でも通用すると思います。
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週刊読書人2022年4月1号一面:クリックすると読書人サイトにリンクします
週刊読書人2022年4月1号 6面に半5段広告も出しました
●2022.4.2 東京新聞 紹介
「われ思う、ゆえにわれあり」の命題で知られる西欧近代哲学の祖について、同時代に書かれた最も詳細な伝記。…これまでは要約版の翻訳しかなかった。
●2022.3.6 ウラゲツブログ
…圧倒的な労作が、工作舎さんらしい美麗な造本設計で、A5判2段組函入2巻本がたったの本体価格12,000円という、思わず手が震える安さ。売切必至と思われますので、後悔しない内に入手されることをお薦めします。[全文はウラゲツブログへ]
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