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断片と全体[詳細]

環境汚染、生態系の破壊、人口過剰、社会不安、
全世界的規模での経済的混乱や政治的混乱……
今日衆知のさまざまな危機は、現代人の断片化された生活様式にこそ起因する。
地球の危機も科学の矛盾も、対症療法的な処置をばらばらに施すだけでは、
決して乗り超えられはしない。
現実とは何か、
思考や言語の陥し穴はどこにあるのか、
われわれはいかにして生くべきかを根源的に問う
量子力学の泰斗による、全体性奪還の試み。



■目次より

PART 1 断片化と全体性

   A 断片的な世界観を超えて
   1 断片化がもたらした現代の危機
   2 世界観の一例としての科学理論
   3 断片的な思考がもたらす幻想
   4 原子論から世界管(ワールド・チューブ)の描像へ
   5 アリストテレスと現代物理学
   6 科学と社会に根をひろげる原子論
   7 断片化に終止符を打つために
   
   B 西洋と東洋の全体性に対する洞察
   1 基準についての古代ギリシアの見解
   2 失われた内的基準
   3 東洋における測定不可能な実在
   4 過去の知恵の継承と現代における独創
   5 全体性への探究

PART 2 言語と思考の機能に対する探究

   A 断片化と全体性
   1 はじめに
   2 思考の実在性について
   3 思考内容と思考機能の間の断片化
   4 世界観の必然的な不完全性について
   5 現代物理学が暗示する、運動と分割不可能な全体性の一次性
   6 「アート」としての芸術、科学、数学
   7 形而上学、および普遍的な適合の運動
   8 真理、形而上学、言語

   B レオモード:言語と思考に関する実験
   1 はじめに
   2 言語に対する探究
   3 レオモードの形式
   4 レオモードにおける真理と事実
   5 レオモードが含意する形而上学
   6 レオモードによる言語機能の検討
   7 さらなる探究と実験の概観

解題にかえて 村上陽一郎





■著者紹介:デヴィッド・ボーム David Bohm 1917-1992

ペンシルヴェニア州生まれ。ペンシルヴェニア州立大学、カリフォルニア工科大学、カリフォルニア大学ローレンス・バークレー研究所などで物理学を学ぶ。1947年プリンストン大学助教授となるが、51年にマーカーシズムの「赤狩り」により排斥され、ブラジルやイスラエルの大学を転々とする。1957年より87年までロンドン、バークベック校理論物理学教授。
1952年初頭より一貫して量子力学の正統とされるコペンハーゲン派の解釈に疑問を提示しつづける。68年7月、ケンブリッジにて非公式のコロキウム「量子力学は越えられるか」をテッド・バスティンとともに企画・推進。G・チュー、C・F・フォン・ヴァイゼッカーらと量子力学の限界と超克の方向を検討する。70年代よりアーサー・ケストラー、フリッチョフ・カプラらのニューサイエンスの旗手たちにより、「ホリスティックな世界観」の理論的バックボーンとして、広くニューエイジ運動に関心を寄せる層に紹介される。79年、大脳生理学のK・プリブラムらとともにフランス国営放送主催のコルドバ・シンポジウム《科学と意識》にも参加。
日本へは1965年、湯川中間子論第1論文30周年記念のときに、揚振寧とともに訪れている。
邦訳書は、『量子論』(みすず書房 1964)、『現代物理学における因果性と偶然性』(東京図書 1969)、『全体性と内蔵秩序』(青土社 1987)、共著に『量子力学は越えられるか』(東京図書 1973)、『波と粒子』(ダイヤモンド社 1979)などがある。




■関連図書

精神と物質 意識と科学的世界観をめぐる考察 E・シュレーディンガー 1900円
自然とギリシャ人 原子論をめぐる古代と現代の対話 E・シュレーディンガー 1900円
シュレーディンガーの思索と生涯 波動のパラダイムを求めて 中村量空 2400円
身体化された心 エナクティブ認知科学と仏教思想 F・ヴァレラ 2800円
アインシュタインの部屋 上下 プリンストン高等研究所に集う天才たち E・レジス 各1800円
アインシュタイン、神を語る 宇宙・科学・宗教・平和 W・ヘルマンス 2200円
タオ自然学 現代物理学の先端から東洋の世紀がはじまる F・カプラ 2200円
新ターニングポイント ポストバブルの指針 F・カプラ 1900円
量子の公案 現代物理学のリーダーたちの神秘観 K・ウィルバー編 2400円
ホロン革命 個と全体のシステム論 A・ケストラー 2800円
自己組織化する宇宙 自然・生命・社会の創発的パラダイム E・ヤンツ 3200円



■ニューエイジのリーダーたちからのエール

フリッチョフ・カプラ氏(『タオ自然学』『新ターニングポイント』著者)
「ボームはつねに「単なる物理学」ではカヴァーしきれない全哲学的思考に挑みつづける、ニューサイエンスの水先案内人だ」
ケン・ウィルバー氏(『空像としての世界』『万物の理論』著者)
「ボームの発想は、ハード・サイエンスを意識の問題に直接向き合わせるという、きわめて真剣で精度の高い試論のひとつである」



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