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イルカの夢時間[詳細]

かすかに聴こえる。……かなり遠い。森の奥の小さな妖精たちの歌声のように。
他のことに気をとられたら、たちまちきこえなくなるその声。
しかも人間は呼吸という不可欠の行為のために、エネルギーのほとんどを使い果たさなければならないのだ。
なんて不器用で、この海の生物と心を通わせるのに不向きな存在なんだろう。
でも、イルカの方は、ちっともそうは思っていないらしい。
いま一頭が私の足の裏をつついた。
ブラボー!
宇宙の片隅で、ひとりと20頭が一体化しようとしている。



■目次より

Ⅰ ターキー音頭
  16歳ころの決心に始まる/七面鳥との異種間音楽
Ⅱ シャーマンの神話
  トーテムになった動物たち/イルカを呼ぶ棒の贈りもの
 キヴァーと壱岐
  11歳のころの無邪気な残虐/イルカの血で染まった日本の海/
  イルカは人間を信じている/海を見る目が変わりつつある
Ⅳ 旅立ちの儀式
  アダン少年をクジラの海へ/ホエール・シンガーが歌う/
  弔いの日に「ハーブの詩」を/波に身をゆだね「オマタクウイアセ」/
  カナリアの低い声のように/コククジラとの友情の歴史/わたしが動くとクジラも動く
  間奏曲 理想的な関係
Ⅴ 標本学派と共感派
  人間に変身したオルカ/聴衆はジャングルのサルたち/動物学のパラダイム・シフト
Ⅵ 見よ、光の輪を
  超感覚が未知の能力を開く/雄鹿のビューグリング/バッファローの群の中で
Ⅶ クモの巣と摩天楼
  生物の「知能」とは何か/ミトコンドリアに敬意を
 オルカがカモメに話したこと
  オルカとのジャム・セッション/愛情深くもあり、殺し屋でもあり/
  カモメの意識の本質/夢のような出来事
Ⅸ ヒト=イルカ・コミュニティー
  ガイアの道へ/イルカからのサイン/イルカの時間を生きる




■著者紹介:ジム・ノルマン Jim Nollman

1947年、米国マサチューセッツ州に生まれる。タフツ大学で英文学を専攻して学位を得た後、ギタープレーヤーとなり、コンセプチュアル・ミュージシャンとして活動。イルカやクジラ、オオカミやバッファローなど野生動物たちとのセッション暦は20年を超える。
1994年4月、第4回・国際イルカ・クジラ会議の講演者として、また長崎県で開催のイルカ・サミットに参加のため来日。異種間コミュニケーションの大切さを語り伝える。
ワシントン州の小島に暮らし、コンサルティング会社「インタースピーシーズ・コミュニケーション」を主宰。著書に『地球の庭を耕すと』(工作舎)、『地球は人間のものではない』(晶文社)がある。WWF(世界野生生物基金)やヒューマン・ドルフィン基金など、多くの自然保護団体から支援を得ている。


■関連書籍

地球の庭を耕すと 植物と話す12か月 J・ノルマン 1900円
あなたの帰りがわかる犬 人間とペットを結ぶ不思議な力 R・シェルドレイク 2600円
鳥たちの舞うとき 市民科学者の最後のメッセージ 高木仁三郎 1600円
植物たちの秘密の言葉 植物のコミュニケーション J-M・ペルト 2200円
花の知恵 メーテルリンクによる珠玉の博物誌 M・メーテルリンク 1600円
植物の神秘生活 緑の賢者たちの新しい博物誌 P・トムプキンズ+C・バード 3800円
地球生命圏 「ガイア」はこの本からはじまった J・E・ラヴロック 2400円
ガイアの時代 エコロジカルな自然観の原点 J・E・ラヴロック 2330円
コルテスの海 ノーベル文学賞作家の航海日誌 J・スタインベック 2500円
7/10(セブン・テンス) 海の博物誌 J・ハミルトン=パターソン 2900円
音楽の霊性 ニューエイジ・ミュージックの彼方に P・バスティアン 2900円
ドラム・マジック リズム宇宙への旅 ミッキー・ハート 2500円

■書評

宮本亜門氏(『週刊文春』1992年9月3日)
「著者のジム・ノルマンという人は、学者でミュージシャン、そしてこの本の副題にもなっている「異種間コミュニケーション」のパイオニアでもある人です。彼が様々な場所で、動物達と交流する姿をありのままに描いているドキュメンタリーなんですが、その実体験だけを語る強さに僕は感服しました。たとえば、海の生き物と接するために彼は木箱に入って何日も海を漂流するんです。動物の中に分け入っていくわけですね。そういう姿を見ていると、今までの動物学者や動物の描き方というのは、人間の視点でしか見ていなかったんじゃないかという想いが強くなるんです。自然に対しても同じです。
 そして、もっと言えば、人間は間違った生き方をしているんじゃないか。僕なんか、舞台の上に人工的なものを作ってそこに自然を感じたり、そういうのって、どこか無理があるのではないかとか。……
 この本に出逢ったことで、僕は明らかにもがき始めたんです。食べ残した物はどこへ行くんだろう? こうやって使っているシャワーの水はどこへ行くんだろう? もはや、そういうことを考え始めた自分の心に蓋をすることができなくなってしまったんですね。……
 この本に出逢わない方が楽だったと思うこともありますよ(笑)。新しい本ですが、僕のバイブルです」

秋元康氏(『産経新聞』1991年9月12日夕刊)
「ジム・ノルマンは、イルカや七面鳥やホエザルやシカやバッファローやクジラやオルカとの対話を、独特の音楽を使って試み、そして、ここに科学的記述を残している。
 しかし、それよりも、特筆したいのはここにジム・ノルマンの生きざまが描かれているということである。「現代文化はとかく、何でも分析し、結論を引き出し、判断を下そうとする。そのために多くの人々が、神秘の不思議な力を尊重する健全な心を失ってはいないだろうか。なぞは解かれるためにだけあるのか。一歩下がって、不思議な世界を称賛することがあってもよいではないか」……
 ジム・ノルマンは、偉大な音楽家であり、新しい言葉を持った詩人なのかもしれない」



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