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空想文学千一夜[詳細]
天使や悪魔や妖精が登場しない物語にも、
幻想や神秘はしっかりと棲みついているものです。
そして科学も哲学も、われわれの空想力をいくらかでも
刺激してくれるかぎり、やっぱりそれらは、
あやしくもはかないひとつの
物語であることにちがいありません。
今宵は、本読みまぼろし堂店主ことアラマタ・ヒロシが、
美しき幽けきシェヘラザードとなって、あなたを
不可思議に満ちた物語の世界へと、ご案内いたします。


■目次より

0 フェアリー・アナトミー

1 幻想の見取図
  1.01 世界幻想怪奇文学小史
  1.02 大衆小説としての幻想怪奇小説
  1.03 幻想文学における世界像拡大の歴史
  1.04 宇宙文学の系譜
  1.05 妹背山禁愚庭訓 別名、モダン・ホラー理解困難之由来
  1.06 幻想物語の機能 カイヨワ『妖精物語からSFへ』をめぐって

2 ヒロイック・ファンタジーの熱中時代
  2.01 新しい冒険世界
  2.02 ヒロイック・ファンタジーの源流
  2.03 コナン蘇る
  2.04 英雄製造者のテーゼ
  
3 ダンセイニとケルティック・ルネサンス
  3.01 ケルトの神秘世界
  3.02 苦闘と愉悦の幻想奇跡
  3.03 タルホとダンセイニ
  3.04 北方の昏い星 フィオナ・マクラウドとスコットランドのケルト民族について
  30.5 W・B・イエイツ案内

4 ク・リトル・リトル神話創造史

  4.01 ウィアード・テールズ時代の埋もれた作家たち
  4.02 文化現象としてのラヴクラフト
  4.03 ラヴクラフトとかれの昏い友愛団
  4.04 システム化される怪奇文学

5 ゴシック!
  5.01 大衆ロマンの方から ポオとゴシック小説
  5.02 異端の成立 ウィリアム・ベックフォード
  5.03 月光と鮮血に浸されたページ アン・ラドクリフ/M・G・ルイス
  5.04 人間悪の創世紀 C・R・マチューリン
  5.05 ヴィクトリア期の夢に寄せて T・P・プレスト
  5.06 戦慄の創造者

6 読むほどに狂ほし
  6.01 「宇宙の運行」に挑戦した孤独な魂 オラフ・ステープルドン
  6.02 ウェルズのふしぎな系譜学 H・G・ウェルズ①
  6.03 『透明人間』:転機の小説 H・G・ウェルズ②
  6.04 拡大する小説家 H・G・ウェルズ③
  6.05 無垢の幼な子と年老いた賢者のために アンデルセン①
  6.06 子供を読者にして人生の深い意味を見出させる アンデルセン②
  6.07 愛の結晶を歌ったナイチンゲール アンデルセン③
  6.08 失い、帰還する旅としての冒険 W・H・ホジスン①
  6.09 時をへだてた愛のロマンス W・H・ホジスン②
  6.10 現代オカルトの幻景 フリッツ・ライバー
  6.11 ファンタシウム系宇宙文学覚書 稲垣足穂①
  6.12 ぼくらはタルホを読みふけったあと、この世へ生まれでる 稲垣足穂②
  6.13 霊気を吐いたタルホの「青い火」 稲垣足穂③
  6.14 かものはし 稲垣足穂④
  6.15 ヤプー的ユートピアによせて 沼昭三
  6.16 “絶対的無矛盾”の存在 渋澤龍彦

7 普遍と終末
  7.01 ゲットーからチャイナタウンへ 『見えない都市』の隠喩
  7.02 破滅の彼岸に
  7.03 イメージ・コズモスの音と光
  7.04 世界言語と宇宙意識
  7.05 暗号学左派 あるいは空間の言語について
  7.06 煉瓦積みの言語・模型の文学
  7.07 シェイクスピアの宇宙方程式
  7.08 ジョン・ディーのモナド論
  7.09 マッチ売りの少女とまだらの笛吹き

00 何年たっても変化しない幻想文学ファイナルベスト

あとがきにかえて ダンセイニ城での一時間




■著者紹介:荒俣宏 Hiroshi Aramata

本読みまぼろし堂、またの名を団精二、本野虫太郎、号して游魚亭。1947年東京生まれ、東京育ち。少年時代は、幻想文学と海水魚と少女漫画をこよなく愛す日々をおくる。日魯漁業コンピュータ・ルームに就職後、数か月遅れて慶應義塾大学法学部を卒業。サラリーマン時代より英米幻想文学の訳出紹介をはじめ、現在にいたるまで、神秘学、博物学、幻想科学、産業考古学、路上観察学、図像学、小説など幅広いフィールドで活躍。現代文明の「忘れもの」に光をあて続けてきた。図版図書コレクターとして海外にも知られる一方、小説『帝都物語』では、東京論としても評価をえた。著作は『別世界通信』『理科系の文学誌』『大博物学時代』『想像力博物館』『本読みまぼろし堂目録』をはじめ、約200点を超える。


■関連図書

本読みまぼろし堂目録 店主推奨700冊ブックガイド 荒俣宏 2500円
理科系の文学誌 幻想科学派宣言 荒俣宏 3200円
大博物学時代 進化と超進化の夢 荒俣宏 3200円
ビュフォンの博物誌 全図版をカラー復刻 荒俣宏=監修 12000円
エラズマス・ダーウィン チャールズの祖父の破天荒な生涯  荒俣宏=序文 6500円
キルヒャーの世界図鑑 よみがえる普遍の夢 渋澤龍彦+中野美代子+荒俣宏=付論 2900円
鬼から聞いた遷都の秘訣 地震・風水・ネットワーク 荒俣宏+小松和彦 1600円
妖怪草紙 あやしきものたちの消息 荒俣宏+小松和彦 2800円
怪奇鳥獣図巻 大陸からやって来た異形の鬼神たち 伊藤清司=監修・解説 3200円
星界小品集 ゼンマイ仕掛けのスペースオペラ P・シェーアバルト 1600円
人間人形時代 穴のあいたタルホ・ブック 稲垣足穂 2200円
女神のストッキング エロスの反宇宙 天野哲夫(沼昭三) 1900円


■書評

『FINE VIDEO』(1995年6月)
 「いつもながら、何故こんなに膨大な冊数を読破できるのか、感心を通り越して、驚嘆してしまう読書の達人、鉄人である荒俣氏の最新刊。氏を追いかけていると、著作を一冊読む前に、次の新刊が出てしまうくらい読者サイドも多忙になる。ほんとに凄い人。
 今回のテーマは幻想文学。「指輪物語」や「ウロボロス」といったファンタジーから、「オトラント城綺譚」「ヴァテック」などのゴシック・ロマンスで内野守備は完璧。さらにライプニッツ、シェイクスピア、ケプラーに外野を守らせる豪華な布陣だ。それにしても80%は知らない、または読んでいない書物のオンパレード。すっかり浸れば、大系と荒俣マジックの極意の一部を掴めるかも。4割近く理解すれば、あなたも空想文学界のイチローだ。知らずに読んでも、本好き人は楽しからずや(O)」



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