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自然の死[詳細]
はぐくむ母として、有機的調和に満ちた統一体として、
古代から、女と自然は深く結びついていた。
カンパネラのユートピア、有機的共同体では、
女性も能動的な役割をになっていた。
しかし慈母たる自然の側面、荒れ狂う自然を魔女と見たてたとき、
女性を受動的役割に押しこめ、自然の支配・管理を正当化する機械論が台頭する。
グノーシス派、新プラトン主義の自然魔術、
生気論などが内包した有機的自然観は、
死を迎えようとしていた…



■目次より

序 フリッチョフ・カプラ

はじめに 女とエコロジー

第1章 女としての自然:はぐぐむ地球
    プラトン、アリストテレスの哲学的枠組みのなかで
    グノーシス派の統一的二元論
    ルネサンス期の生命論
    
第2章 農地・沼地・森林:ヨーロッパの生態の変遷
    中世荘園を支えた共同体
    北ヨーロッパに広がる市場と資本主義
    イギリスの農業革命
    
第3章 有機的社会とユートピア:カンパネラ、アンドレーエ、カレンバック
    ユートピアを目指す革命家
    コミューン的共有
    現代のエコトピア構想

第4章 生き物としての世界:ルネサンスの有機体哲学

    新プラトン主義の自然魔術
    テレジオとブルーノの自然主義
    パラケルススの生気論
    
第5章 無秩序としての自然:女と魔女
    無秩序・セックス・魔女の弾劾
    「科学」の魔女論
    自然の階層秩序における女

第6章 生産・生殖と女:受動的役割への転換

    産婆を追い落とす鉗子
    生殖と女の受動的役割
    男優位の受胎理論

第7章 自然を支配する:科学技術と家父長制
    ベーコンによる自然観の転換
    ニュー・アトランティス
    資本主義と科学の連携
    
第8章 機械論的な秩序:自然・社会・人間の新しい統一モデル
    ガッサンディの原子物質論
    デカルトの確実性の追求
    ホッブズの機械論と社会秩序

第9章 権力としての機械論:17世紀の科学技術

    機械宇宙の象徴、時計
    近代科学にむかう五つの前提
    力と秩序による実在の再編成

第10章 自然の管理:人間優位の環境保護
    森林の保護政策
    経営と、人間による財産管理
    管理主義的生態学

第11章 自然を論じた女たち:アン・コンウェイと哲学的フェミニストたち
    アン・コンウェイの一元論的生気論
    モナドロジーの登場
    女と「新しい哲学」

第12章 ライプニッツとニュートン
    ニュートン力学の世界構造
    ライプニッツとニュートンの論争
    有機的世界観の再評価




■著者紹介 :キャロリン・マーチャント Carolyn Merchant

1936年生まれ。ニューヨーク、ロチェスター出身。科学的才能を発掘するための審査では全米トップ・テンに入る秀才ぶりを発揮、ヴァサー大学、ペンシルバニア・ウィスコンシン両州立大学に学ぶ。研究分野は、化学・物理学・哲学・科学史など多岐にわたっている。サンフランシスコ大学で准教授をつとめたのち、現在は、カリフォルニア州立大学、バークレー校で准教授として、人間と自然を包括する環境史、哲学、倫理学を講じている。エコロジーとフェミニズムのテーマは、同時期にバークレー校で教えていたF・カプラに多大な刺激をあたえた。邦訳書はほかに『ラディカル・エコロジー』(産業図書)がある。




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