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◎1B時代から、BTRONを使い続ける編集者(『TiPO PLUS究極活用術』『超漢字超解説』担当)がお届けする「超漢字情報」は、TRONプロジェクトにまつわる最新の話題を掲載していきます。

TRONプロジェクト基礎講座

2003年4月15日、NHKの人気番組「プロジェクトX」にて、「TRON(トロン)」が取り上げられ、大反響を呼びました。「『プロジェクトX』でTRONのことを初めて知って、もっと詳しく知りたいのだけど、どうしたらいいの?」と思っている人のために、TRONの全体像をおさらいしたいと思います。>>>

T-Engineフォーラム始動!

昨年のTRONSHOWで大々的に発表された「T-Engineプロジェクト」が多くの企業の賛同を得て、「T-Engineフォーラム」として本格的にスタートすることになりました。22社の参加企業名を見れば、誰もが知る半導体、情報機器メーカーばかりということに気づかれるでしょう。そしてフォーラムの会長には、坂村健教授が就任します。T-Engineは多機能化する組み込みシステムの開発環境を規格化し、ミドルウェアの流通を促進することで、開発期間とコストの短縮を目指そうというもの。そこで注目されるキーワードが「ユビキタス」であり「情報家電」です。7月から、T-Engine規格に基づいた開発プラットフォーム製品がリリースされ、いずれそれを用いた製品が市場に登場するでしょう。コンピュータが身の回りのあらゆるモノの中に入り込み、それらが相互に連携を取りながら、ダイナミックに動作する社会における基盤作りこそ、TRONプロジェクトの真髄。T-Engineは「どこでもコンピュータ」社会の実現に向けての、大いなる一歩なのです。

120万円は高いか安いか、高精細版超漢字システム登場

5月末発売の「TRONWARE Vol.75」のグラビアページで紹介されていた超高解像度モニターに対応した超漢字。これが正式に「高精細版超漢字システム」として、パーソナルメディアから発売されることになりました(OSとPC込み)。IBM社のこのモニターを使ったシステムで、QXGA(2048×1536ピクセル)の高解像度(XGAサイズで4面分!)の世界で超漢字4を利用できます。実は5月25日のBTRON Clubの例会では、すでに会員向けに同システムのデモンストレーションが行なわれました。ディスプレイの解像度が高いほど一覧性が上がり、作業効率も増加するわけですが、ここまでくると正に別世界といった印象。これだけの解像度で運用するとなるとシステム自体に改良を加える必要があり、それが今回の「高精細版」というわけです。また、同じくIBM社のこちらのモニターに対応した超漢字システムも準備中とのこと(3840×2400ピクセル!)。こちらもBTRON Clubで公開されましたが、画面表示にビデオカード2枚が必要というシロモノで、表示のクオリティは「紙そのもの」です。個人で運用するのは値段的にも難しいですが、夢とロマンと懐具合に巨大な余裕のある方はどうぞ。

坂村教授、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の所長に就任

身の回りのあらゆる物にコンピュータが埋め込まれ、それらが相互に連携し合うことで生まれる超機能分散システムこそは、TRONプロジェクトの究極の目標です。分かりやすく言うと「どこでもコンピュータ」になります。最近は、TRONの発想と似た「ユビキタス・コンピューティング」という言葉が聞かれるようになり、またも社会がTRONプロジェクトに追い付いてきた形です。それを象徴するかのように、東京大学と日立、NEC、東芝、富士通研究所、三菱電機、NTTデータ、KDDIと、横須賀市などが設立した研究運営会社の横須賀テレコムリサーチパーク(YRP)による産官学協同のYRPユビキタス・ネットワーキング研究所が3月下旬に設立されました。その所長には、TRONプロジェクトリーダーの坂村健教授が就任しています。同研究所では、5年をかけて、ユビキタス社会に必要とされる共通の技術基盤の確立を目指すとのことです。

ノルティア・オーダー始動

TRONプロジェクトとは直接関係はないのですが、ユニークな組織が活動を開始したので、お知らせします。「超機能分散環境(Ubiquitus Computing)の基盤を整備し、 超機能分散環境の健全な発展に寄与する」ことを目的とした特定非営利活動法人ノルティア・オーダーです。当面は、今から100年後においても互換性を保障できるような「オープンなデータ仕様」について研究を重ねていく予定だとか。BTRONでもオープンなデータ仕様として「TAD規格」を定めていますし、TRONプロジェクトの究極の目標であるHFDSと、ノルティア・オーダーの活動方針は重なる点が多いように思われます。現在、会員募集中とのことで、興味のある方はまずはホームページへ。

プロジェクトリーダーの新刊『21世紀日本の情報戦略』発刊

久々の更新です。岩波書店から坂村プロジェクトリーダーの本『21世紀日本の情報戦略』が刊行されました。前著『情報文明の日本モデル』(PHP新書)の続編的な内容で、ITバブルがはじけた現在の日本が、今後どのような情報戦略を取っていくべきかについて持論を展開しています。「グローバルスタンダード」という幻影への妄信、アメリカ流を持ち込めば全てうまく行くと信じる人々への批判など、おなじみ坂村節が楽しめます。なお、今年はプロジェクトリーダーの著書が各社からいろいろと刊行される予定らしく、話題のユビキタス・コンピューティングに関する本が近日刊行予定とか(残念ながら工作舎ではないんですよ)。そうそう『痛快! コンピュータ学』(集英社文庫)も出ましたね。

デジタルミュージアムIIIでeTRONカードをゲット!

新年最初の超漢字情報は、坂村プロジェクトリーダーがプロデュースする「デジタルミュージアムIII」の話題からです。東京大学の本郷キャンパス内にある東京大学総合研究博物館は、明治以来東京大学が収蔵してきた約600万点にも及ぶ資料を、広く一般に開放・展示することを目的としたユニバーシティーミュージアムの草分け的存在です。なにせ、東京大学に納められているのは、掛け値なしの「本物」ばかり。坂村教授は同博物館で、最新のデジタル技術を応用した「新しい博物館の在り方」の研究を行ない、その成果を自らプロデュースしてきました。今回で3回目を迎えるデジタルミュージアムでも、TRONプロジェクトで培われたテクノロジーを応用して、様々な試みがなされているようです(すいません、筆者はまだ足を運んでいません)。注目は、会場で販売されているパンフレットに同梱されているeTRONカードではないでしょうか。eTRONアーキテクチャーは、高度なセキュリティの元で、電子実体を安全にやり取りできるように作られた仕様で、「どこでもコンピュータ」を目指す21世紀のTRONプロジェクトの重要な要素技術です。ぜひ会場で、eTRONカードの使い心地と、東京大学の本物コンテンツの魅力に触れてみてください。会期は、2月24日まで(月曜休館日)で、開館時間は午前10時から午後5時まで(入館は4時30分まで)。営団地下鉄丸の内線・都営大江戸線「本郷三丁目」駅あるいは南北線「東大前」駅が最寄り駅です。

2001年分はこちら




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