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ダーウィン[詳細]

目次ダーウィンについて著者紹介関連図書関連情報書評特集


数あるダーウィン本において
疑問の余地ない最高傑作!
S・J・グールド

世界を震撼させた進化論はいかにして生まれたのか?
地道なフィールド・ナチュラリストにして卓越した実験生物学者でもあった
革命児チャールズ・ダーウィンの全生涯。
激動する時代背景とともに、思考プロセスを活写する。

*ジェイムズ・テイト・ブラック・メモリアル賞(英・1991)
*コミッソ賞(伊・1993)
*ワトソン・デイヴィス賞(米国科学史学会・1993)
*ディングル賞(英国科学史学会・1997)
など、数々の賞に輝く世界的ベストセラー。



■目次より

第I巻

序章 悪魔に仕える牧師なのか
1809〜1831
1  転落するキリスト教を受けとめる ◎ルナ・ソサエティの産業エリートたち
2  北のアテネ ◎エディンバラの青春◎恐怖の病院実習
3  苔虫と扇動的な科学 ◎プリニウス協会に入会◎ラマルク崇拝者グラント
4  国教会の命令 ◎医師がだめなら牧師の道◎ケンブリッジの弾圧の霧
5  楽園と懲罰 ◎愛しのファニー・オーエン◎昆虫学クラブに入会
6  ヘンズローと散歩する男 ◎昆虫コレクター◎植物採集に開眼
7  誰もが自分で ◎フンボルトの旅行記を読破◎セジウィックの地質学特訓コース
1832〜1836
8  最後の退場 ◎一生に一度のチャンス◎ビーグル号出航
9  歓喜の混乱状態 ◎サンチャゴ島の第一印象◎ライエル『地質学原理』第二巻を精読
10  別世界の悪霊 ◎未開人ショック◎文明化したフエゴ人の選択
11  揺らぐ基盤 ◎西海岸を北上◎オルソノ山噴火と大地震
12  植民地の暮らし ◎アンデス山脈横断◎ガラパゴス諸島
13  自然の神殿 ◎サンゴ礁理論を実地検証◎自然の神殿への宗旨変え
1836〜1842
14  自分の尾を自賛するクジャク ◎ライエル邸のディナー◎地質学デビュー
15  自然を改革する ◎バベッジ邸の夜会◎『ビーグル号航海記』脱稿
16  障壁を粉砕する ◎ノートブックBの転成説◎地質学会での面従腹背
17  心の中の暴動 ◎ブリーダーからのヒント◎自己組織化する生命原子
18  結婚とマルサス ◎結婚の損益分析◎マルサス『人口の原理』◎エマにプロポーズ
19  恐ろしい闘い ◎『航海記』ついに発売◎ダーウィン家、郊外脱出
1842〜1851
20  世界のはずれ ◎ダウンの村へ◎田舎暮らしの身辺雑記
21  人殺し ◎フッカーに信念を告白◎『南アメリカ』脱稿
22  異形の小さな怪物たち ◎フジツボの包括的研究◎進化論試論に対するフッカーの反応
23  悪魔への贈り物 ◎付録のような雄の発見◎ドクターの臨終
24  ぼくの水療法医 ◎ガリーの冷水療法で甦る◎フジツボとエビ・カニの類縁
25  辛い残酷な損失 ◎アニーの衰弱◎信仰の切れ端をも葬る
原注/訳注/登場人物紹介/ダーウィン=ウエッジウッド家系図

第II巻

1851〜1860
26  資本家の紳士 ◎ロンドン万国博覧会◎スペンサーとハクスリー
27  醜悪な事実 ◎ロイヤルメダル受賞◎科学のクーデターへの戦略
28  酒場と戦艦 ◎クリミア戦争勃発◎海上を旅する種子◎鳩愛好家たちとの交流
29  ぼくのようなひどい恥知らずたち ◎ダウンの会合◎ウォレス論文の衝撃
30  法則と放縦な自然 ◎ライエルの悩み◎分散に関する実験◎無慈悲な自然
31  チンパンジーが何と言うか ◎生きたゴリラの反響◎エマのボランティア活動
32  正体暴露 ◎社会主義者ウォレス◎『種の起源』刊行◎賛否の嵐
1860〜1871
33  骨折り損 ◎マルクスの反応◎ウィルバーフォース対ハクスリー
34  類人猿の子宮から ◎主教の席は悪魔の花園◎オーエン対ハクスリー
35  生き埋め状態 ◎植物の愛をデータ分析◎スペンサーの「最適者生存」
36  エメラルド・ビューティ ◎ヘッケルの来訪◎性淘汰の実験
37  性、政治、Xクラブ ◎クジャクの羽の問題◎フッカーの会長講演
38  統合されない推測 ◎トムソンの地球年齢の算定◎『人間の由来』出版
1871〜1882
39  待った、待った、待った ◎食虫植物研究◎マルクスとヘッケルからの献本
40  ひどい偏屈者 ◎交霊会◎『他家受精と自家受精』
41  無神論者にあらず ◎自伝に着手◎グラッドストーン来訪◎植物の性生活
42  ミミズにのめりこむ ◎ラスキン邸訪問◎義兄ジョサイアの死◎地中の賢者たち
43  最後の実験 ◎無神論者ビュッフナー来訪◎『ミミズ』も飛ぶように売れる
44  大聖堂の不可知論者 ◎ウェストミンスター大聖堂への埋葬工作
原注/引用文献/索引/訳者あとがき



■ダーウィンについて

Charles Robert Darwin(1809. 2.12-1882. 4.19)
18世紀イギリス産業革命の担い手、ジョサイア・ウエッジウッドとエラズマス・ダーウィンの孫として生まれる。祖父および父にならい医学を志してエディンバラ大学に進むが、解剖実習に耐えられず挫折。牧師の道に転向し、ケンブリッジ大学で神学、古典語などにとりくむかたわら、自然研究のてほどきもうける。

1932年12月、無給スタッフとしてビーグル号に乗船。南米やガラパゴスをへて36年10月、帰国したときには、一生のテーマを自覚したナチュラリストに変貌。39年1月、エマ・ウエッジウッドと結婚。以後、『ビーグル号航海記』(1840)、『種の起源』(1859)、『人間の由来』(1871) など世界に衝撃をもたらした著作を刊行するかたわら、6男4女をもうける。大地主階級の恩恵をぞんぶんに受けつつ、英国国教会派や保守勢力をラディカルに否定する論証をかためる日々で、生涯心身不調になやまされる。

神を自然界から追放した張本人ながら、没後は英国国教会の象徴、ウェストミンスター大聖堂に葬られる。




■著者紹介

エイドリアン・デズモンド Adrian Desmond
現在ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ生物学科名誉研究員。恐竜温血説の登場を描いたThe hot-blooded Dinosaurs(1975『大恐竜時代』二見書房、1976)でベストセラー作家としてデビュー。ダーウィン以前の進化論争をめぐる大作The Politics of Evolution (1989)では、国際科学史学会ファイザー賞を受賞。

ジェイムズ・ムーア James Moore
ハーヴァード大学科学史の客員準教授、ケンブリッジ大学科学史・科学哲学の客員講師などを歴任し、現在はイギリスの放送大学にあたるオープン・ユニヴァーシティの科学技術史担当上級講師。ダーウィン進化論の受容過程をめぐる処女作The Post-Darwinian Controversies (1979)は、19世紀の進化論と宗教に関する必読図書とされる。




■関連図書(表示価格は税別)

  • ダーウィンと謎のX氏  第三の博物学者の消息 ローレン・アイズリー 2816円
  • ダーウィンの花園  植物研究と自然淘汰説 ミア・アレン 4500円
  • ダーウィンの衝撃  文学における進化論 ジリアン・ビア 4800円
  • エラズマス・ダーウィン  生命の幸福を求めた博物学者の生涯 デズモンド・キング=ヘレ 6500円
  • ロシアの博物学者たち  ダーウィン進化論と相互扶助論 ダニエル・P・トーデス 3800円
  • 英国心霊主義の抬頭  ヴィクトリア・エドワード朝時代の社会精神史 J・オッペンハイム 6500円



  • ■関連情報

    2008年3月 国立科学博物館「ダーウィン展」開催
    東京・上野の国立科学博物館で開催中の「ダーウィン展」は、アメリカ自然史博物館で話題となった展覧会。日本展示の監修者の一人は、本書の翻訳者・渡辺政隆氏。そのため、ダーウィン展はまさしく、ダーウィン伝記の決定版である本書を立体化した内容展開といえる。多数の手稿、手紙、標本などを交えて、祖父に万能学者エラズマス・ダーウィンを抱く進取の家系、父に反対されたビーグル号乗船、進化論へ導いたひらめき、『種の起源』発表までの苦悩など、人間ダーウィン像に迫る。
    ◎ダーウィン展 https://darwin2008.jp/
    東京展

    会場   国立科学博物館 https://www.kahaku.go.jp/
    開館期間 2008年3月18日(火)─ 6月22日(日)
    大阪展
    会場   大阪市立自然史博物館 https://www.mus-nh.city.osaka.jp/
    開館期間 2008年7月19日(土)─9月21日(日)




    ■書評

    2000.1.16 産経新聞 垂水雄二氏[再録]

    1999.11.21 日本経済新聞 富山太佳夫氏[再録]

    1999.11.14 読売新聞夕刊 養老孟司氏
    「色あせぬダーウィン」
    ……この伝記はダーウィンが生きていた当時の英国社会、いわゆるヴィクトリア朝時代を活写しており、進化説の背景やダーウィンのとった態度がなぜであったかが、よくわかるようになっている。原著は91年の刊行で、こうした詳細な伝記が書かれるについては、膨大な数の手紙を含めたダーウィンの資料が公刊されたことが大きい。……

    1999.10.7 朝日新聞 長谷川真理子氏
    ……本書は、表面的にはビクトリア朝イングランドの紳士そのもののような生活を送りながら、世の中をひっくり返す学説を展開した男の、精神的波乱万丈の生涯の検証である。
    しかし、過去の人物であるから、伝記には必ず伝記作家の観点による脚色が入る。本書の著者らは社会的要因を重視する研究者なので、ダーウィン個人を、あの当時の歴史的、社会的背景の中でとらえようとする。私自身は、科学の営みは、もう少し社会や政治を超越したところで働いていると思うので、著者らの描き方に全面的に賛成ではない。
    なにはさておき、本人自身がたいへんに興味深い生活を送った興味深い人物である。これほどのスケールの学者は、科学が細分化した現代では、もう二度と現れることはないのかもしれない。




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